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【中編 二万一千文字文字くらい】イケメンと棚ぼた婚~惰性で妥協の婚約をしてましたが相手有責で破棄できた上に幸せな結婚までしちゃった私の話~

仕事に生きるわ 生きるために(切実)7

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「アイリス君。この紐は、キミのモノかな?」

「はい、そうです。サットン子爵さま。書類を綴る紐が見当たらなかったので、とりあえず手持ちのモノを使いましたの」

「ほう。なかなか素敵な紐だね?」

「そうですか? ありがとうございます。その紐は、母の手ほどきで私が作ったモノです」

「おや、手作りなのかい? 上手に作るね」

「いえいえ。私の作るモノなど、たいしたことはありません。母の作るモノは素晴らしいのですけれど……簡単なモノしか私には作れませんので。ウォーカー商会に居た時には包装に使うために、空き時間に作っていましたわ。」

「ほう? 商品だったんだね」

「そんな商品だなんて大袈裟ですわ。簡単に作れるモノですもの。空き時間に作ったモノを、お菓子などを入れる巾着袋に使っていました」

「ふぅん。コレは単体でも売れそうだけどな?」

「ふふ。お客さまには喜んで頂けていたようですけど。私の作ったモノなどはまだまだで……」

「いやいや、十分だよ。そう言えばキミの母君は、国外の方だったね?」

「はい。我が国へ亡命してきた王族のひとりです。いまは無くなってしまった国ですけれど……そこの伝統文化だったそうですわ」

「ああ……文化継承の一環か」

「ええ。小さな国だったそうですから、伝統文化を継承するのも王族の役割だったと聞いてますわ」

「そうか……と、言う事は。コレを作っている所は無いんだね?」

「おそらくですが。何処も作ってはいないと思います」

「ふぅ~ん。そうか。……コレは作り方に種類があるのかな?」

「はい。私は出来ませんが、母が作るモノは……」

 サットン子爵は私の説明を真剣に聞いて下さいました。

 私はと言えば、こんな事を話して何になるのかしら? と、疑問でしたが。

 まさか、この後にあのような展開が待っているとは。

 夢にも思いませんでしたわ。
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