63 / 68
つがう
第七話
しおりを挟む
今日は朝から雪がちらついている。
本格的に雪降る冬の到来だ。
そして今日からオレたちは『つがい休暇』に入る。
使用人たちは年末年始の準備でバタバタしている時期だけど、長期休暇がとれるタイミングは貴重だから仕方ない。
「これでヒートが来るといいけど……」
オレは手にした瓶を眺める。
ヒート周期を整えるために服用を始めた自作の魔法薬『ヒートくるZ』では効き目が弱かったようだ。
だからオレは満を持して『ヒートくるきっとくるZ』を新開発した。
毒々しいピンク色した液体が入った小瓶は、オレにヒートをもたらしてくれるのか、否か。
オレの魔法薬研究の成果が今、試されるっ!
「って、大げさだな」
とはいえ。今のオレには、ちょっぴりだけだがそんな気分も混入中である。
なぜなら、せっかく『つがい休暇』に入るというのにヒートがくる気配がないからだ。
通常はヒートの周期に合わせて『つがい休暇』に入るらしいが、オレの周期はあってないようなもんだから分からない。
だからといって、ソレを待っていたら『つがい休暇』に入るタイミングを失ってしまう。
ふたりの予定が合うタイミングを見つけられただけで良しとするか。
それもルノの場合には無理矢理もぎとった感があるのだ。
待ってたらいつになるか分からない。
ヒートの来ない『つがい休暇』に意味があるのだろうか? とは思うけど。
ルノに言ったら『ソレはソレ。コレはコレ』と、やたらと目をギラつかせて力説していたが。
意味が分からない。
「まぁ、来なきゃ来ないで仕方ない、か」
オレは毒々しいピンク色した液体、『ヒートくるきっとくるZ』を一気に飲み干した。
ちなみにオレにはネーミングセンスはない。
でも出来るだけのことをするのがオレ流だ。
ルノは執務室で最後の追い込みをしている。
休暇中に困ることのないよう、事前に済ませられる仕事は全て済ませてくるようだ。
どうしたんだ、オレの旦那さま、とってもアルファっぽい。
『困ることのないように』と、言っている間、やたらと鼻息荒くて目がギラついていたのが気にかかるけど。
まぁ、大丈夫だろう。
ルノが仕事をしている間に、オレの方は『つがい休暇』中の準備をしている。
期間の予定としては二週間。
必要に応じて延長できるらしい。最長で四週間。
万が一、それ以上になったらルノだけは仕事に戻るらしい。
そう。オレに関しては、四週間以上、エッチしっぱなしでもオッケーなんだって。
しかも延長アリ。
なんだそりゃ。って感じだ。
「このくらいあれば大丈夫かなぁ……」
オレは寝室にあるテーブルの上に瓶を並べてつぶやく。
瓶の中にはピンクやらパープルやらグリーンやらの液体が入っていて賑やかだ。
「こっちは体力回復用のポーションで、こっちは媚薬入りのローション……」
四週間分となると、かなりの量だ。
「これじゃ足りないかなぁ? ジョエル兄さまが追加で持ってきてくれるって言ってたけど……」
できれば、つがい休暇中は身内を遠ざけておきたいものだ。
もちろん『ヒートくるきっとくるZ』も用意してある。念のため四週間分だ。
「まぁ自分で作れるといっても、アレの間はヘロヘロになっちゃうだろうから実際には作れないよね」
だからこその事前準備だ。
魔法薬の類は、食事のように他人へ気軽に頼めないのが難点である。
「使用期限もあるから仕方ないか。魔法薬はコレで納得するとして、と」
あとはなるようになれだ。
オレも男だ。
つがい休暇、ドーンと来いっ!
本格的に雪降る冬の到来だ。
そして今日からオレたちは『つがい休暇』に入る。
使用人たちは年末年始の準備でバタバタしている時期だけど、長期休暇がとれるタイミングは貴重だから仕方ない。
「これでヒートが来るといいけど……」
オレは手にした瓶を眺める。
ヒート周期を整えるために服用を始めた自作の魔法薬『ヒートくるZ』では効き目が弱かったようだ。
だからオレは満を持して『ヒートくるきっとくるZ』を新開発した。
毒々しいピンク色した液体が入った小瓶は、オレにヒートをもたらしてくれるのか、否か。
オレの魔法薬研究の成果が今、試されるっ!
「って、大げさだな」
とはいえ。今のオレには、ちょっぴりだけだがそんな気分も混入中である。
なぜなら、せっかく『つがい休暇』に入るというのにヒートがくる気配がないからだ。
通常はヒートの周期に合わせて『つがい休暇』に入るらしいが、オレの周期はあってないようなもんだから分からない。
だからといって、ソレを待っていたら『つがい休暇』に入るタイミングを失ってしまう。
ふたりの予定が合うタイミングを見つけられただけで良しとするか。
それもルノの場合には無理矢理もぎとった感があるのだ。
待ってたらいつになるか分からない。
ヒートの来ない『つがい休暇』に意味があるのだろうか? とは思うけど。
ルノに言ったら『ソレはソレ。コレはコレ』と、やたらと目をギラつかせて力説していたが。
意味が分からない。
「まぁ、来なきゃ来ないで仕方ない、か」
オレは毒々しいピンク色した液体、『ヒートくるきっとくるZ』を一気に飲み干した。
ちなみにオレにはネーミングセンスはない。
でも出来るだけのことをするのがオレ流だ。
ルノは執務室で最後の追い込みをしている。
休暇中に困ることのないよう、事前に済ませられる仕事は全て済ませてくるようだ。
どうしたんだ、オレの旦那さま、とってもアルファっぽい。
『困ることのないように』と、言っている間、やたらと鼻息荒くて目がギラついていたのが気にかかるけど。
まぁ、大丈夫だろう。
ルノが仕事をしている間に、オレの方は『つがい休暇』中の準備をしている。
期間の予定としては二週間。
必要に応じて延長できるらしい。最長で四週間。
万が一、それ以上になったらルノだけは仕事に戻るらしい。
そう。オレに関しては、四週間以上、エッチしっぱなしでもオッケーなんだって。
しかも延長アリ。
なんだそりゃ。って感じだ。
「このくらいあれば大丈夫かなぁ……」
オレは寝室にあるテーブルの上に瓶を並べてつぶやく。
瓶の中にはピンクやらパープルやらグリーンやらの液体が入っていて賑やかだ。
「こっちは体力回復用のポーションで、こっちは媚薬入りのローション……」
四週間分となると、かなりの量だ。
「これじゃ足りないかなぁ? ジョエル兄さまが追加で持ってきてくれるって言ってたけど……」
できれば、つがい休暇中は身内を遠ざけておきたいものだ。
もちろん『ヒートくるきっとくるZ』も用意してある。念のため四週間分だ。
「まぁ自分で作れるといっても、アレの間はヘロヘロになっちゃうだろうから実際には作れないよね」
だからこその事前準備だ。
魔法薬の類は、食事のように他人へ気軽に頼めないのが難点である。
「使用期限もあるから仕方ないか。魔法薬はコレで納得するとして、と」
あとはなるようになれだ。
オレも男だ。
つがい休暇、ドーンと来いっ!
0
お気に入りに追加
309
あなたにおすすめの小説
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた8歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。
ただ、愛されたいと願った。
そんな中、夢の中の本を読むと時分の正体が明らかに。
普通に恋愛して幸せな毎日を送りたい!
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、新たな恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
辺境は独自路線で進みます! ~見下され搾取され続けるのは御免なので~
紫月 由良
恋愛
辺境に領地を持つマリエ・オリオール伯爵令嬢は、貴族学院の食堂で婚約者であるジョルジュ・ミラボーから婚約破棄をつきつけられた。二人の仲は険悪で修復不可能だったこともあり、マリエは快諾すると学院を早退して婚約者の家に向かい、その日のうちに婚約が破棄された。辺境=田舎者という風潮によって居心地が悪くなっていたため、これを機に学院を退学して領地に引き籠ることにした。
魔法契約によりオリオール伯爵家やフォートレル辺境伯家は国から離反できないが、関わり合いを最低限にして独自路線を歩むことに――。
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています
不憫王子に転生したら、獣人王太子の番になりました
織緒こん
BL
日本の大学生だった前世の記憶を持つクラフトクリフは異世界の王子に転生したものの、母親の身分が低く、同母の姉と共に継母である王妃に虐げられていた。そんなある日、父王が獣人族の国へ戦争を仕掛け、あっという間に負けてしまう。戦勝国の代表として乗り込んできたのは、なんと獅子獣人の王太子のリカルデロ! 彼は臣下にクラフトクリフを戦利品として側妃にしたらどうかとすすめられるが、王子があまりに痩せて見すぼらしいせいか、きっぱり「いらない」と断る。それでもクラフトクリフの処遇を決めかねた臣下たちは、彼をリカルデロの後宮に入れた。そこで、しばらく世話をされたクラフトクリフはやがて健康を取り戻し、再び、リカルデロと会う。すると、何故か、リカルデロは突然、クラフトクリフを溺愛し始めた。リカルデロの態度に心当たりのないクラフトクリフは情熱的な彼に戸惑うばかりで――!?
隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@軍神騎士団長1月15日発売
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
人形となった王妃に、王の後悔と懺悔は届かない
望月 或
恋愛
「どちらかが“過ち”を犯した場合、相手の伴侶に“人”を損なう程の神の『呪い』が下されよう――」
ファローダ王国の国王と王妃が事故で急逝し、急遽王太子であるリオーシュが王に即位する事となった。
まだ齢二十三の王を支える存在として早急に王妃を決める事となり、リオーシュは同い年のシルヴィス侯爵家の長女、エウロペアを指名する。
彼女はそれを承諾し、二人は若き王と王妃として助け合って支え合い、少しずつ絆を育んでいった。
そんなある日、エウロペアの妹のカトレーダが頻繁にリオーシュに会いに来るようになった。
仲睦まじい二人を遠目に眺め、心を痛めるエウロペア。
そして彼女は、リオーシュがカトレーダの肩を抱いて自分の部屋に入る姿を目撃してしまう。
神の『呪い』が発動し、エウロペアの中から、五感が、感情が、思考が次々と失われていく。
そして彼女は、動かぬ、物言わぬ“人形”となった――
※視点の切り替わりがあります。タイトルの後ろに◇は、??視点です。
※Rシーンがあるお話はタイトルの後ろに*を付けています。
愛とは呼ばないでください!
蒼空くらげ
BL
『これよりレイン・マーガレットの処刑を始める!!』
狂ったのは僕か世界か君か?
とある罪で処刑されたはずのレインだが、処刑された10年後にレンという公爵家の嫡男(16)として生まれ変わっていて自分がレイン・マーガレットだったと思い出した。
新たな人生やり直しだ!と意気込んだのに、過去の知り合い達がレンを放って置くはずもなくて?!?!
「溺愛?愛?いえ!結構です!!今世は自由に生きたいので放って置いてください!!」
俺の婚約者は悪役令息ですか?
SEKISUI
BL
結婚まで後1年
女性が好きで何とか婚約破棄したい子爵家のウルフロ一レン
ウルフローレンをこよなく愛する婚約者
ウルフローレンを好き好ぎて24時間一緒に居たい
そんな婚約者に振り回されるウルフローレンは突っ込みが止まらない
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる