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つがう

第二話

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「あっ…………ルノ、そこ……あっ、やっ……」

 ルノの指先が器用にオレの体の上を滑る。

「ふふふ。ミカエルはココが好きだよね」

 オレの弱い所を確実についてくる学習能力の高さは、流石アルファというところか。

 ちなみに、いまルノの指先は胸の飾りあたりをうろついている。

「ぁ……もぅ……ルノのスケベ……」

 オレとルノはラブラブだ。

 そうなれば『番いたくなるのは当然』という思いと、『番うまでもない』という相反する思いが湧いてくる。

 オレはどちらかというと『番うまでもない』派だった。

 噛まれるの痛そうだし。結婚はしたからどっちでもいいかなー、と、思っている。

 ところが最近。少々、懸念材料が出てきてしまったのだ。

◆◆◆

「妊娠する気がしない」

「気のせいじゃないか?」

 ある日、何気なく発したオレの言葉をルノがまともに受け止めることはなかった。

「ミカエルは若いし、オメガ男性なんだから妊娠しやすいハズだよ?」

「……」

 いっぱしのオメガ評論家みたいなことを言い始めたルノを、オレは胡乱な目で見る。

 付け焼刃のオメガ評論家に、オレの不安など分からない。

 普通のオメガ男性はヒート管理のための魔法薬など服用してはいないのだ。

 お母さまが残していってくれた処方だが、という前提で作られたモノとは限らない。

 長年服用している魔法薬は、オレの生活を楽にしてくれるし安全なものだ。

 だが、オメガ男性としての特徴である『孕む体』を維持できているかどうかの自信は全くない。

「医者も問題はないと言っていただろう?」

「まぁ、そうだけどさぁ……」

 診てもらったことは事実だが医師は『オメガに関しては情報が乏しくて確かなことは分からない』とも言っていた。

 …………………………………………目安となるのは、あくまでヒートだ。

 ヒート時が圧倒的に妊娠確率が高い。

 そしてオレにはヒートが来ない。

「媚薬を盛られた時にはヒートが来たじゃないか。だから大丈夫だよ」

 ルノはそう言うけれど。

 それって媚薬を使わないとヒートが来ない、ってことじゃない?

 媚薬を盛られた日から三ヶ月以上が経った。

 魔法薬の処方を変えるなどしているが、ヒートが自然に来る気配はない。

「でも媚薬は役割が違うから、ヒートの誘発薬も作ろうかと思って」

「安全なのかい?」

「オレの腕を信じてないの? 自分が使うんだもん、安全なの作るよ」

 と、言ったものの。

 安全な魔法薬は効果が薄い。

 使い始めてさほど日数がたっていないこともあり、まだ効果を感じることはなかった。

◆◆◆


「あっ……ヤァ……ルノ、そこ……」

 オレの中でルノ自身が暴れている。

 ヒート中でなくても、オメガなオレはアルファを簡単に迎え入れてしまう。

 ルノは手慣れたもので、翌日に疲れを残さない程度に抱く。

 体力面においてはアルファであるルノには及ばないが、オレもオメガにしては体力があるほうだ。

 結果、毎日なかなか激しい運動をしている。

「んっ……ハァ……ココがイイんだろ? キミは」

 早々にオレのイイトコロを覚えてしまったアルファは執拗にソコを攻めてくる。

 腰を突き上げながらも、手と唇にも良い仕事をさせてくるのだから、コチラとしてはたまらない。

「あぁ……だからって、しつこすぎ。もう限界」

 オレはもう何度が欲を吐き出した後だから、簡単に快感から解放されることがない。

 快感を得られていても腹の底に溜まっていくソレがまたキツイ。

「アァ、ミカエル……安心してくれ。私も限界だ……」

 ルノはたくましい腕でオレをガッと抱きしめると、ひと際激しく腰を動かす。

 甘い嬌声が止まらないオレの上で、愛しいアルファの荒い息がどんどん余裕をなくしていく。

 それがまた快感を誘う。

 たまらなくなったオレはルノの背中に爪を立てた。



 ……と、まぁ、今夜もこうしてルノと仲良くしているわけだが、オレにヒートが来ているわけじゃない。

 ラブラブとヒートはイコールで結ばれないようだ。

 少なくとも、オレの場合は。

 今夜もふたりして気持ちよく昇りつめたが、それだけでは問題が解決しない。

 人生って難しいね。
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