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オメガだからって溺愛したわけじゃないんだよっ
第三話
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「ミカエル君はオメガとはいえ男性だ。身体能力だって並みのベータ男性以上だろうし、魔法まで使える。しかも魔法道具作りの天才のうえ商才まであるんだよ。こんな強い子、他に居る?」
アルバスはミカエルを絶賛した。
酒の力で口が滑らかになり過ぎているとはいえ、言っていることは事実でしかない。
「まぁ、それは認めよう。私のミカエルは素晴らしい」
「ふふふ。私の、なんだ?」
「うぉぉぉ、なんだその揶揄う気満々の目はっ。気持ち悪いからヤメロ」
一応国王なんだけどな? と、いった表情を浮かべるアルバスに私は容赦なくツッコむ。
「国王なら何してもいいと思ったら大間違いだからな?」
「ならルノ。ミカエル君を返品するかい?」
「ミカエルは物じゃないっ。そして私がしたいのは返品の逆だ」
確かにミカエルは強い。オメガではあるが男性で、魔力も高く魔道具作りの天才。
オメガ男性としては背も高く、身長は私とたいして変わらない。
しかも、薄茶の髪と瞳を持つ色気のある小悪魔系だ。
惹かれないはずがない。
「私は彼を手に入れたい」
「おっ、いいね、いいね。へたれアルファのキミにしては上出来な発言だ」
「なんだよ、それ」
全く心外なのだが目前の優秀アルファは愉快そうに笑っている。
「ふふ。ルノに女性は合わない。かといって侯爵家に跡取りがいないのは困る。オメガ男性であれば子は成せるし、喧嘩しながらも仲良く生きていけると思ったんだ。さすが私。先見の明がある」
「なんだよ、それ。結局は自画自賛じゃないか」
「でも、事実でしょ?」
胸を張るアルバスは気に入らないが、コイツのおかげでミカエルと出会えた。
そこは感謝すべきだろうか?
しかめっ面の私を見て、アルバスは笑う。
「ふふ。それでどうするの? 迎えに行くんでしょ?」
「行く。迎えに行く。……けど、このままじゃダメなのも分かっている」
「おや、ルノにしては賢い」
アルバスが愉快そうに笑う。
不快ではあるが反論はない。
私はミカエルを失いたくないのだ。
だが、その方法を間違えた。
なら、どうすればよかった?
間違っていると気付いた今でさえ、その答えが私には分からない。
「ミカエルが強いのは分かってる」
「ん、そうだね。王宮でも悪漢を捕まえる手助けをしてくれたようだし。彼は俊敏なタイプみたいだね。一度、手合わせしてみたいな」
「魔法も使える」
「それは知ってるけど、まだ見たことはないな。ぜひ見てみたい」
「魔法道具はオメガのチョーカーはもちろん武器まで自作だ」
「おもしろい武器を使うそうだね。それも気になるよ」
「でも、失うのが怖い。襲われて怪我をさせるのも嫌だ。さらわれたら気が狂う。命を失くすようなことになったら……私は後を追うかもしれない」
「ん。でも帰って来なかったら失ったも同じだね」
「アル~。そこツッコんじゃう?」
私はガックリとうなだれた。
そうなのだ。ホント、そうなのだ。
実家に帰られてしまったら、私はミカエルを失ったも同然なのだ。
「ルノが残念アルファに加えて、捨てられアルファの名を手に入れることになるとは」
「まだ捨てられてないからな⁈」
「今は、だね」
「グッ……」
アルバスに突っ込まれて息をのむ。
このままミカエルが帰って来なかったら、私は捨てられてしまうことになるのだ。
「どうしたらいいんだぁ~」
私は頭を抱えた。
「んっ。そこまで分かってるんだったら、もう少し自分で考えてみたら?」
アルバスはニヤニヤと笑いながら言った。
+。:.゚ஐ♡゚+。:.゚ஐ♡゚+。:.゚ஐ
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アルバスはミカエルを絶賛した。
酒の力で口が滑らかになり過ぎているとはいえ、言っていることは事実でしかない。
「まぁ、それは認めよう。私のミカエルは素晴らしい」
「ふふふ。私の、なんだ?」
「うぉぉぉ、なんだその揶揄う気満々の目はっ。気持ち悪いからヤメロ」
一応国王なんだけどな? と、いった表情を浮かべるアルバスに私は容赦なくツッコむ。
「国王なら何してもいいと思ったら大間違いだからな?」
「ならルノ。ミカエル君を返品するかい?」
「ミカエルは物じゃないっ。そして私がしたいのは返品の逆だ」
確かにミカエルは強い。オメガではあるが男性で、魔力も高く魔道具作りの天才。
オメガ男性としては背も高く、身長は私とたいして変わらない。
しかも、薄茶の髪と瞳を持つ色気のある小悪魔系だ。
惹かれないはずがない。
「私は彼を手に入れたい」
「おっ、いいね、いいね。へたれアルファのキミにしては上出来な発言だ」
「なんだよ、それ」
全く心外なのだが目前の優秀アルファは愉快そうに笑っている。
「ふふ。ルノに女性は合わない。かといって侯爵家に跡取りがいないのは困る。オメガ男性であれば子は成せるし、喧嘩しながらも仲良く生きていけると思ったんだ。さすが私。先見の明がある」
「なんだよ、それ。結局は自画自賛じゃないか」
「でも、事実でしょ?」
胸を張るアルバスは気に入らないが、コイツのおかげでミカエルと出会えた。
そこは感謝すべきだろうか?
しかめっ面の私を見て、アルバスは笑う。
「ふふ。それでどうするの? 迎えに行くんでしょ?」
「行く。迎えに行く。……けど、このままじゃダメなのも分かっている」
「おや、ルノにしては賢い」
アルバスが愉快そうに笑う。
不快ではあるが反論はない。
私はミカエルを失いたくないのだ。
だが、その方法を間違えた。
なら、どうすればよかった?
間違っていると気付いた今でさえ、その答えが私には分からない。
「ミカエルが強いのは分かってる」
「ん、そうだね。王宮でも悪漢を捕まえる手助けをしてくれたようだし。彼は俊敏なタイプみたいだね。一度、手合わせしてみたいな」
「魔法も使える」
「それは知ってるけど、まだ見たことはないな。ぜひ見てみたい」
「魔法道具はオメガのチョーカーはもちろん武器まで自作だ」
「おもしろい武器を使うそうだね。それも気になるよ」
「でも、失うのが怖い。襲われて怪我をさせるのも嫌だ。さらわれたら気が狂う。命を失くすようなことになったら……私は後を追うかもしれない」
「ん。でも帰って来なかったら失ったも同じだね」
「アル~。そこツッコんじゃう?」
私はガックリとうなだれた。
そうなのだ。ホント、そうなのだ。
実家に帰られてしまったら、私はミカエルを失ったも同然なのだ。
「ルノが残念アルファに加えて、捨てられアルファの名を手に入れることになるとは」
「まだ捨てられてないからな⁈」
「今は、だね」
「グッ……」
アルバスに突っ込まれて息をのむ。
このままミカエルが帰って来なかったら、私は捨てられてしまうことになるのだ。
「どうしたらいいんだぁ~」
私は頭を抱えた。
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アルバスはニヤニヤと笑いながら言った。
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