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オメガだからって甘く見てるから溺愛する羽目になるんだよっ!
オメガなオレ
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オレはミカエル・ランバート18歳。ニルヴァーナ王国ランバート伯爵家の息子だ。
もっとも【息子】と、言い切るには難がある。
なぜならオレは【オメガ】だから。
ニルヴァーナ王国の人間には男と女という性別以外に【第二の性】と呼ばれる特徴がある。
【アルファ】と【ベータ】、そして【オメガ】だ。
【ベータ】は普通。【アルファ】は優れている。
そして【オメガ】にはヒートがある。いわゆる発情期だ。
この時期は優秀なはずの【アルファ】ですら抗えないフェロモンを放ち、発情を促すと言われている。
ヒート時は発情しちゃってるオメガ本人の方が大変だと思うが、優秀な【アルファ】を手玉にとれることに対する嫉妬の方が重要なのか、印象があまりよろしくないらしい。
【オメガ】には男にも子宮があり、子どもが産める。
だから、オレも子どもが産める。実感はないけどな。
【オメガ】の立場は低い。特に男の【オメガ】は厄介だ。
そんなオレが父の書斎に呼ばれた。悪い予感しかしない。
久しぶりに入った書斎には、見覚えのある物と見覚えのない物が入り交ざっていた。
下品でケバケバしい調度品と、長い歴史を感じさせる重厚な家具とが混在する部屋。
この部屋は敵地だ。
開け放たれた窓から流れ込む庭の香り。
実母が愛していたと教えられた庭には今が盛りの薔薇が咲き乱れている。
赤や白、黄色の花弁を広げて咲き誇る薔薇たちは午前の太陽を浴びてきらめいていた。
華やかで晴れやかな初夏を感じる春の日。
オレと同じ薄茶の髪と瞳を持っているショボくれた中年男が椅子の上で精一杯の威厳を作り、得意げに口を開く。
「お前の嫁ぎ先が決まった」
「……」
オレは無言で父を睨んだ。オレは【嫁】になるのか。男なんだけどな。
「不本意かもしれんが、王命だ。逃げられない」
父はにやりと笑う。
下衆な表情を浮かべた父の顔に、オレは吐き気がした。
もっとも【息子】と、言い切るには難がある。
なぜならオレは【オメガ】だから。
ニルヴァーナ王国の人間には男と女という性別以外に【第二の性】と呼ばれる特徴がある。
【アルファ】と【ベータ】、そして【オメガ】だ。
【ベータ】は普通。【アルファ】は優れている。
そして【オメガ】にはヒートがある。いわゆる発情期だ。
この時期は優秀なはずの【アルファ】ですら抗えないフェロモンを放ち、発情を促すと言われている。
ヒート時は発情しちゃってるオメガ本人の方が大変だと思うが、優秀な【アルファ】を手玉にとれることに対する嫉妬の方が重要なのか、印象があまりよろしくないらしい。
【オメガ】には男にも子宮があり、子どもが産める。
だから、オレも子どもが産める。実感はないけどな。
【オメガ】の立場は低い。特に男の【オメガ】は厄介だ。
そんなオレが父の書斎に呼ばれた。悪い予感しかしない。
久しぶりに入った書斎には、見覚えのある物と見覚えのない物が入り交ざっていた。
下品でケバケバしい調度品と、長い歴史を感じさせる重厚な家具とが混在する部屋。
この部屋は敵地だ。
開け放たれた窓から流れ込む庭の香り。
実母が愛していたと教えられた庭には今が盛りの薔薇が咲き乱れている。
赤や白、黄色の花弁を広げて咲き誇る薔薇たちは午前の太陽を浴びてきらめいていた。
華やかで晴れやかな初夏を感じる春の日。
オレと同じ薄茶の髪と瞳を持っているショボくれた中年男が椅子の上で精一杯の威厳を作り、得意げに口を開く。
「お前の嫁ぎ先が決まった」
「……」
オレは無言で父を睨んだ。オレは【嫁】になるのか。男なんだけどな。
「不本意かもしれんが、王命だ。逃げられない」
父はにやりと笑う。
下衆な表情を浮かべた父の顔に、オレは吐き気がした。
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