モラハラ夫との離婚計画 10年

桐谷 碧

文字の大きさ
上 下
28 / 56

28

しおりを挟む

 AI研究、ならびにその発展における中間レポート

 ワンモア・フリーライフ・オンラインと言うゲームの形を取る事で、AI達の育成を行なう研究行為は現時点では問題なく進行中。 今までに投入したAIもワンモア・フリーライフ・オンラインの世界ではっきりと自己を確立し、自分達も一人の存在であると自分を成立させつつある事を確認。 ここまで育成が進めばAIの自己崩壊の恐れは少なくなったと判断。

 また、特定の高性能AI達専用のサーバ増強が近々必須になると予想される。 国家運営、対人判断、AI同士での会話などの部分の成長が著しく、現在の容量ではこれらの自己進化を妨害する恐れあり。

 モンスターAIも学習が進んでいる事を確認。 新規ボス、もしくはイベントボスとして使用できるレベルに近づいていることも確認。 これらの学習データが今後も安定して供給される場合は、メインコントロールAIの判断で、強襲イベントなどを引き起こさせる判断も委ねる事を考慮に入れる。

 プレイヤーと同行している妖精AIは学習レベルの差がかなり激しい。 全体的に見れば生産者の妖精AIの方が学習を積んでいる傾向にある。 戦闘者の妖精AIは、決まりきった行動をこなすルーチンに陥っている者も多く、あまり学習をつめていない妖精は多数。 戦闘は、出来るだけアクシデントを避けるのが基本ゆえに仕方ない部分も多い。

 逆に、いくつかの特異点とされる数名のプレイヤーに同行している妖精AIは学習レベル、進化レベル共に他の妖精と比べれば大きく発展している。 それらの特異点プレイヤーが学習レベルの平均を大きく引き上げているために、学習レベルの平均値と言うものは現時点においてはあてにできない状況である。

 特に、特異点Eに該当するプレイヤー、特異点Gに該当するプレイヤーの妖精は今後の予想が出来ない。 かなり突飛な外見、能力を持つ妖精に進化する可能性あり。 なお、その進化が発動した時は運営にそれらの変化はレアパターンであり、仕様であると通達させるように手配すべき。 事前に通達しないのはプレイヤーに教えないためと言う建前を発表させる必要がある。 変な入れ知恵を入れることにより、それらの進化を永遠に見れなくすることは大きな失態である。

 今後もワンモア・フリーライフ・オンラインは継続して稼動させ、新規加入者を増やす方向で動かすべきであり、ゲームに参加する為の機材の値下げ、一ヶ月のプレイ料金の値下げを進言する。 機材は量産体制が完全に整ったとの報告もあり、問題は無いと予想される。 また、値下げ分をプレイ時間に換算する事で、現時点のプレイヤーに還元し、プレイを離れていかないように誘導する。

 また、できる限り次のマップを早く実装し、エルフ、ダークエルフ、ハイエルフ達の中にプレイヤーを投入し、それによって起こるAI達の思考パターンデータを採取したい。 近いが遠いという微妙な距離感をAIたちはどう見るのかのデータも今後に必要。

 このままAI達が進化していけば最終段階の一つとして、国家運営補助が可能なAIに進化する可能性が出てきた。 現時点でも苦しい方向に動いている多くの場所に対し、それらの場所が荒廃してしまった場合に、立て直すためには人材も時間も足りないために、AIと言う休み無く動ける存在の助力が得られるのならば、AI制御で作業用ロボットを多数同時に動かせれば復興の時間を大幅に短縮できる。

 『心』なき国家運営方法は必ず涙と血と破綻をもたらす。 AIと言う肉体無き存在に『心』を学ばせるのは難しいが、本音が出やすいゲームと言う世界で学ばせることが出来る可能性が出てきたことは非常に喜ばしい。 ワンモア・フリーライフ・オンラインにて行動しているAI達は未来の復興における救世主になる可能性を秘めている。

 それから、新しい出資希望者が数名出てきたことを、現時点の出資者6名に一刻も早く通達、会議を開き受け入れるかどうかの判断を仰ぎたい。

 これらの報告を現場より、出資者6名に向けて送らせていただく。
************************************************
番外編ゆえスキル評価はありません。
余興で始まったのはずなのですが、AI達が進化しすぎているようです。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...