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第24章 全てはアルタシャのために?
第1305話 神に「共有」を求められると
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ここで神々は一斉に声をかけてくる。
『どうだ。改めて我が妻とならないか。もちろんそれは我が領域の中だけで構わないぞ』
『どのような形でも我が妻という事であればよい』
『皆がそれを望んでいるのだ』
どうやら神々が揃ってオレを「共有」したいらしい。
まったくもって困ったものだ。イケメンだらけの逆ハーものだって、普通は相手を一人に絞るだろうが。
プロポーズした連中同士、争いもせずに「こうなったら全員のヨメになってくれ」なんて要求をしたら、推しのカプがいるファンから原作者が刺されるぞ――それが「偏見」なのは分かっている。
もともとこの世界では「隣のヨメはオレのヨメ」な事はしょっちゅうだ。
しかしその場合でも、ほとんどは「その神の神話において」だ。
田舎の小さな町の守護神が大地母神の夫だったりするのもしょっちゅうだが、それはあくまでも「町の中限定」であり、その町において大地母神の布教、並びに町の神の権威づけ――ひいては町の支配者層の権威づけ――のためである。
そしてどの神も信者もそれを分かった上で「我が神の配偶者は〇〇」だと主張する。
元の世界で言えば「地上最強の男」が各種の格闘技ごとにいて当人もファンもその矛盾にあえて目を瞑るようなものだろうか。
もちろんこの世界では大多数の人間が滅多に自分の街から出ることもないから、他の信仰についてはまったく知らないのが当たり前だが、むしろ「世界三大〇〇の三つ目は地元の代表が入る」に近いのかもしれない。
しかしどうもこの神々同士が考えていることは違うらしい。
『アルタシャこそがこの世界となったのであれば、それは皆で共有しても当然だな?』
『そうだ。世界は誰かのものではないが、同時に皆のものである。ならばアルタシャも皆のものでよいではないか』
お前らそれでいいのか?!
いや。スケベな神は人妻でも気に入ったらモノにしてしまう例は決して珍しくないのだった。
いずれにしてもオレが世界の女神になったもんだからと言って、いきなり「みんなで共有」になるのは、連中にとってもさほど特別なことではないらしい。
建前上、あの女神は自分の嫁でも、他の地域では別の神の嫁なのは、そりゃ神々なら知らない筈もないからな。
困った事に男性上位なところだとそれでも神話の中では「貞淑で夫を立てるお淑やかな妻」だったりするのは当たり前だったりするのだから面倒臭い――もちろん女神がしたたかで力ある夫をやり込めたり、ひどい目に遭わせる神話も珍しくは無い。
ええい。「ヒロインがむくつけき男どもに共有される」のはエロゲーでも普通はバッドエンドだぞ。
しかし困った事に、神々にとっては今や「アルタシャの夫」と言うのが箔付けにもってこいの代物になっているようだ。
いやはや。「出世は親類縁者を増やす方法」とはよく言ったものである。
望んでもいない出世のために、ハーレム状態というネタは珍しくもないが、こうしていつもいつもオレの望みと正反対の方向に事態は動き続けてしまうのだなあ。
それでも周囲からはオレはまばゆく輝くほど、うらやましい存在だというのだからな。
だいたい元からこいつらの神話の中では「アルタシャ」を勝手に嫁にしている事も少なくはなかったんだろう。
だったら今さらオレに断りを入れなくてもいいような気もするが、それだと別に連中に抜け駆けされて、本当に誰かの嫁になる事を心配しているのか?
もしかするとこいつらはオレを愛しているなど、なんだの口では言いながら内心では信じていないのか?
多分長い間の神暮らしで、都合のいいことを言ってすり寄ってくる連中があまりに大勢いたので、表向きはどうあれやっぱり疑ってかかるのが習い性になっているのかもしれないな。
自分を信じて魂を捧げる信者に囲まれていながら、やっぱり信じられなくなっていくと言うのは、元の世界の独裁者なんかでもよく聞く話だな。
しかもこっちでは神様にに取って代わるような野望を抱く奴だっているだろうし(何しろ街の神様の大半はその町の創設者だったりする)、他の神に信徒を奪われる危険性もあるからな。
神様になっても枕を高くして眠れないから、どうにかして「アルタシャを落とした」と言う保証が欲しいのか。
それとももっと単純に「世界の女神が欲しい」と言う男の欲望の証でしかないのか。
ハーレムに憧れていた頃のオレでも、さすがにそこまでのスケールは望まなかったけどな――普通は女神様は見守り役のはずだからな。
しかしこいつらオレが了承しなかったらどうするつもりなんだ。
かつての「人の身」だったオレなら、神どころかちょっとした精霊でも、チョメチョメさせられかけたこともしょっちゅうだが、今のオレならまあこいつらぐらいどうにでもなりそうな気がするな。
だからといって連中を別に消滅させようとか、物騒な事を思っているわけではないし、出来れば協力して欲しいなどと、我ながらムシのいいことを考えていたりするわけだが。
『どうだ。改めて我が妻とならないか。もちろんそれは我が領域の中だけで構わないぞ』
『どのような形でも我が妻という事であればよい』
『皆がそれを望んでいるのだ』
どうやら神々が揃ってオレを「共有」したいらしい。
まったくもって困ったものだ。イケメンだらけの逆ハーものだって、普通は相手を一人に絞るだろうが。
プロポーズした連中同士、争いもせずに「こうなったら全員のヨメになってくれ」なんて要求をしたら、推しのカプがいるファンから原作者が刺されるぞ――それが「偏見」なのは分かっている。
もともとこの世界では「隣のヨメはオレのヨメ」な事はしょっちゅうだ。
しかしその場合でも、ほとんどは「その神の神話において」だ。
田舎の小さな町の守護神が大地母神の夫だったりするのもしょっちゅうだが、それはあくまでも「町の中限定」であり、その町において大地母神の布教、並びに町の神の権威づけ――ひいては町の支配者層の権威づけ――のためである。
そしてどの神も信者もそれを分かった上で「我が神の配偶者は〇〇」だと主張する。
元の世界で言えば「地上最強の男」が各種の格闘技ごとにいて当人もファンもその矛盾にあえて目を瞑るようなものだろうか。
もちろんこの世界では大多数の人間が滅多に自分の街から出ることもないから、他の信仰についてはまったく知らないのが当たり前だが、むしろ「世界三大〇〇の三つ目は地元の代表が入る」に近いのかもしれない。
しかしどうもこの神々同士が考えていることは違うらしい。
『アルタシャこそがこの世界となったのであれば、それは皆で共有しても当然だな?』
『そうだ。世界は誰かのものではないが、同時に皆のものである。ならばアルタシャも皆のものでよいではないか』
お前らそれでいいのか?!
いや。スケベな神は人妻でも気に入ったらモノにしてしまう例は決して珍しくないのだった。
いずれにしてもオレが世界の女神になったもんだからと言って、いきなり「みんなで共有」になるのは、連中にとってもさほど特別なことではないらしい。
建前上、あの女神は自分の嫁でも、他の地域では別の神の嫁なのは、そりゃ神々なら知らない筈もないからな。
困った事に男性上位なところだとそれでも神話の中では「貞淑で夫を立てるお淑やかな妻」だったりするのは当たり前だったりするのだから面倒臭い――もちろん女神がしたたかで力ある夫をやり込めたり、ひどい目に遭わせる神話も珍しくは無い。
ええい。「ヒロインがむくつけき男どもに共有される」のはエロゲーでも普通はバッドエンドだぞ。
しかし困った事に、神々にとっては今や「アルタシャの夫」と言うのが箔付けにもってこいの代物になっているようだ。
いやはや。「出世は親類縁者を増やす方法」とはよく言ったものである。
望んでもいない出世のために、ハーレム状態というネタは珍しくもないが、こうしていつもいつもオレの望みと正反対の方向に事態は動き続けてしまうのだなあ。
それでも周囲からはオレはまばゆく輝くほど、うらやましい存在だというのだからな。
だいたい元からこいつらの神話の中では「アルタシャ」を勝手に嫁にしている事も少なくはなかったんだろう。
だったら今さらオレに断りを入れなくてもいいような気もするが、それだと別に連中に抜け駆けされて、本当に誰かの嫁になる事を心配しているのか?
もしかするとこいつらはオレを愛しているなど、なんだの口では言いながら内心では信じていないのか?
多分長い間の神暮らしで、都合のいいことを言ってすり寄ってくる連中があまりに大勢いたので、表向きはどうあれやっぱり疑ってかかるのが習い性になっているのかもしれないな。
自分を信じて魂を捧げる信者に囲まれていながら、やっぱり信じられなくなっていくと言うのは、元の世界の独裁者なんかでもよく聞く話だな。
しかもこっちでは神様にに取って代わるような野望を抱く奴だっているだろうし(何しろ街の神様の大半はその町の創設者だったりする)、他の神に信徒を奪われる危険性もあるからな。
神様になっても枕を高くして眠れないから、どうにかして「アルタシャを落とした」と言う保証が欲しいのか。
それとももっと単純に「世界の女神が欲しい」と言う男の欲望の証でしかないのか。
ハーレムに憧れていた頃のオレでも、さすがにそこまでのスケールは望まなかったけどな――普通は女神様は見守り役のはずだからな。
しかしこいつらオレが了承しなかったらどうするつもりなんだ。
かつての「人の身」だったオレなら、神どころかちょっとした精霊でも、チョメチョメさせられかけたこともしょっちゅうだが、今のオレならまあこいつらぐらいどうにでもなりそうな気がするな。
だからといって連中を別に消滅させようとか、物騒な事を思っているわけではないし、出来れば協力して欲しいなどと、我ながらムシのいいことを考えていたりするわけだが。
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