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第24章 全てはアルタシャのために?
第1264話 無数の神々に迫られ
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考えてみればオレがここに来たのも別に自力ではなく、テセルに案内されて神造者の施設を使ったからだ。
そんなわけでオレは戻り方など全く知らない。
だいたい世界を自由にわたれるなら、元の世界にでも帰れるはずだが、もちろんそんな事は出来ない――アルタシャのままで戻っても、誰もオレだと分かってはくれないだろうけど。
しかしこのままでいるわけにはいかない。
こういう場合は強く意識したら、人の世界に戻れるのか?
頭の中で先ほどこの世界に飛び込んだ施設のイメージを浮かべる。
しかし何も起きない。
冷静に考えて見れば当たり前か。
今までは神の領域に入るのは多くの場合、その領域の支配者である神に呼び入れられたか、強い関わりのある場所を用いたものだった。
要するにオレには自力で神の領域に入る能力も出る能力も無かったと言う事だ。
こうなった場合は、近くの神々を頼るしかないだろう。
『どうしました?』
イロールが少しばかり首をかしげつつ問いかけてくる。
ちょっとばかり格好悪いが、ここはイロールに助けを求めるのが一番手っ取り早い。他は殆ど男神なので、下手に借りを作るとどんな要求をされるか分かったもんじゃない。
「実は……人間の世界に戻る方法が分からないのです」
『そうですか。それならよい方策がありますよ』
おお。あっさりと答えが見つかったようだ。やはり「聞くは一時の恥」だな。
そしてイロールはいかにも嬉しげに笑顔で答える。
『これからずっとアルタシャをわたくしは神の領域で一緒に暮らせますね』
「はあ?違いますよ。神の領域から人間の世界に戻る方法を伺っているんです」
『知りません。むしろなぜわたくしが知っていると思えるのですか?』
あっさりと答えられた。
「そんな馬鹿な? なぜですか?」
幾ら何でもおかしいだろ。千年神をやっているイロールがなぜそんな事も知らないんだ。
『当たり前です。神そのものが人の世に姿を顕現させる事が出来ないのは、アルタシャもよく知っているはずですよ』
そうだった。この世界ではあくまでも神の現し身である化身を送り込む事は出来ても、神そのものが人間の世界に姿を見せる事は無いのだ。
しかし神の世界に入って、また人間の世界に戻ったものもいるはずだ。
もちろんその多くは神自身によって引き入れられたのだろうが、望まれていないのに入り込んで活動し、場合によっては神を討った話もある。
伝説にそういう例もある以上、不可能なことではなかろう。
いや。神造者の場合は、それがむしろ当たり前だったはずだ。
「だけど神の世界から戻った英雄だっている筈ですよ」
『そうですね。人の基準では人生をかけて長年に渡り努力し、神の領域への道を見出して苦労の末に神の元にまでたどり着くものが、ごく僅かながらいます。もちろんわたくしに会いにきたものたちのことも覚えていますよ』
「その彼らの帰った道はご存知ないのですか……」
『なぜわたくしが客人の帰り道まで知っていると思うのです?』
そう言われるとこちらも返す言葉がない。
伝説ではそんな英雄のたどった道は下手をすれば、何十年もかかったようだから、とてもやっていられない。
さんざん映像化された西遊記あたりでも、天竺にたどり着くことなく旅の半ばで話が終わってしまうものが多かったことを思い出す。
『帰れないのならば仕方ありませんね』
イロールは妙に嬉しそうだ。いや。周囲を見渡すと神々もその多くが期待に満ちた視線を注いでいるぞ。
『アルタシャよ。改めて我が領域に来てもらえぬか?』
『何をいう。我が城こそがアルタシャにふさわしい』
『吾は高望みなどせぬ。だから一時で構わぬから吾の領域に来てもらえぬかな?』
どいつもこいつもオレを嫁にする気満々だな。神々の場合、殆どは男女ともに何股かけようと問題ないので、好き放題に言っているのだ。
元の世界だったら、たまに「本人の知らないうちに結婚届を出されて、結婚した事にされてしまっていた」なんて報道を目にする事があったが、この世界では神の場合はそんなの当たり前なのだ。
『これだけたくさんの神々から求愛されるとは、わたくしも誇らしいです』
神に人間の基準は適用されない事は散々、思い知っているが自分が同じだからと言って『娘』まで一緒だと思わんでくれ。
「すいません! わたしは人間の世界に戻りたいのです! だから皆さんの申し出はありがたいのですけど、お断りさせていただきます!」
もっとキツい言葉でぶった切ってやりたいけど、そういうことをすると逆上して何をするか分からないからな。
元の世界の神話でも、何も悪い事をしていないのに神だの精霊だのの求愛を断っただけでひどい目に遭わされた例は多々あったからな――求愛を受けてひどい目に遭うこともまた珍しくは無いのだが。
そんなわけで一応は面目を立てる形で、求婚は全部ぶった切らせてもらう。
出来れば一刻も早く、この「神々の求婚者の群れ」とは離れたいのだが、何かよい方法はないのだろうか。
本当に「一難去ってまた一難」というか、もう「何難」なのか数えるのも億劫だ。
そんなわけでオレは戻り方など全く知らない。
だいたい世界を自由にわたれるなら、元の世界にでも帰れるはずだが、もちろんそんな事は出来ない――アルタシャのままで戻っても、誰もオレだと分かってはくれないだろうけど。
しかしこのままでいるわけにはいかない。
こういう場合は強く意識したら、人の世界に戻れるのか?
頭の中で先ほどこの世界に飛び込んだ施設のイメージを浮かべる。
しかし何も起きない。
冷静に考えて見れば当たり前か。
今までは神の領域に入るのは多くの場合、その領域の支配者である神に呼び入れられたか、強い関わりのある場所を用いたものだった。
要するにオレには自力で神の領域に入る能力も出る能力も無かったと言う事だ。
こうなった場合は、近くの神々を頼るしかないだろう。
『どうしました?』
イロールが少しばかり首をかしげつつ問いかけてくる。
ちょっとばかり格好悪いが、ここはイロールに助けを求めるのが一番手っ取り早い。他は殆ど男神なので、下手に借りを作るとどんな要求をされるか分かったもんじゃない。
「実は……人間の世界に戻る方法が分からないのです」
『そうですか。それならよい方策がありますよ』
おお。あっさりと答えが見つかったようだ。やはり「聞くは一時の恥」だな。
そしてイロールはいかにも嬉しげに笑顔で答える。
『これからずっとアルタシャをわたくしは神の領域で一緒に暮らせますね』
「はあ?違いますよ。神の領域から人間の世界に戻る方法を伺っているんです」
『知りません。むしろなぜわたくしが知っていると思えるのですか?』
あっさりと答えられた。
「そんな馬鹿な? なぜですか?」
幾ら何でもおかしいだろ。千年神をやっているイロールがなぜそんな事も知らないんだ。
『当たり前です。神そのものが人の世に姿を顕現させる事が出来ないのは、アルタシャもよく知っているはずですよ』
そうだった。この世界ではあくまでも神の現し身である化身を送り込む事は出来ても、神そのものが人間の世界に姿を見せる事は無いのだ。
しかし神の世界に入って、また人間の世界に戻ったものもいるはずだ。
もちろんその多くは神自身によって引き入れられたのだろうが、望まれていないのに入り込んで活動し、場合によっては神を討った話もある。
伝説にそういう例もある以上、不可能なことではなかろう。
いや。神造者の場合は、それがむしろ当たり前だったはずだ。
「だけど神の世界から戻った英雄だっている筈ですよ」
『そうですね。人の基準では人生をかけて長年に渡り努力し、神の領域への道を見出して苦労の末に神の元にまでたどり着くものが、ごく僅かながらいます。もちろんわたくしに会いにきたものたちのことも覚えていますよ』
「その彼らの帰った道はご存知ないのですか……」
『なぜわたくしが客人の帰り道まで知っていると思うのです?』
そう言われるとこちらも返す言葉がない。
伝説ではそんな英雄のたどった道は下手をすれば、何十年もかかったようだから、とてもやっていられない。
さんざん映像化された西遊記あたりでも、天竺にたどり着くことなく旅の半ばで話が終わってしまうものが多かったことを思い出す。
『帰れないのならば仕方ありませんね』
イロールは妙に嬉しそうだ。いや。周囲を見渡すと神々もその多くが期待に満ちた視線を注いでいるぞ。
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『吾は高望みなどせぬ。だから一時で構わぬから吾の領域に来てもらえぬかな?』
どいつもこいつもオレを嫁にする気満々だな。神々の場合、殆どは男女ともに何股かけようと問題ないので、好き放題に言っているのだ。
元の世界だったら、たまに「本人の知らないうちに結婚届を出されて、結婚した事にされてしまっていた」なんて報道を目にする事があったが、この世界では神の場合はそんなの当たり前なのだ。
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「すいません! わたしは人間の世界に戻りたいのです! だから皆さんの申し出はありがたいのですけど、お断りさせていただきます!」
もっとキツい言葉でぶった切ってやりたいけど、そういうことをすると逆上して何をするか分からないからな。
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そんなわけで一応は面目を立てる形で、求婚は全部ぶった切らせてもらう。
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