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第24章 全てはアルタシャのために?
第1194話 開祖故の苦衷が暴走して
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なぜ世界を生めつくさんばかりにまで廃神が増えてしまったのか。
それは神造者が時代に合わせて信仰を変えていった結果、その開祖までも時代遅れの存在として打ち捨ててしまったからなのだ。
開祖の扱いがこれなのだから、それ以後の神造者の神々など、本当にただの都合のいい道具としか思われていなかったに違いない。
そして打ち捨てられた開祖ジストルはその恨みと憎しみから、その後から次々と廃神に貶められた神造者の神々を引きつけ、その力を増していったに違いない。
元の世界で言えば『廃棄物処分場に捨てられたゴミが集まって力をどんどん蓄え、自分たちを捨てた人間に復讐する』というよくある話が近いだろうか。
しかしこの相手は神造者とその理論であるカミツクリの開祖だから、時代遅れと蔑まれても全ての神造者がその教えを基盤にしていたのは確実だ。
だから力を蓄えた末に、神造者の教えの穴をついて彼らが作り上げた神界に致命的なダメージを与えて崩壊に導くことも出来たのではないか。
「あなたが本当にジストルだとすれば、真実を訴え、改めて人々に崇拝させればいいではありませんか。このような事をすればあなたが心血を注いで作り上げたもの全てが崩壊にしてしまいますよ!」
オレの叫びに対し、ジストルは重々しく答える。
『もちろん我を時代遅れと蔑み、廃神としたことに対する恨みはある。だら今、我が神造者とそれが作ったものを滅ぼそうとしているのは、それだけが理由ではない』
「ならばいったい何が理由なのです?」
『我が望んだのは、つまらぬ信仰の摩擦により人々が混乱し、相争う世界を改めてより多くの人間を幸せにする事だったのだ』
ジストルはそこで口惜しそうな表情を浮かべる。
これが生きた人間だったら、唇を噛んでいたところだろうな。
『我はカミツクリを提唱した結果、故郷の地を追われ、親族からは石を投げられ、数十年に渡る迫害を受けた。だがそれでも真理を貫いてカミツクリを確立させた……』
そう言ってジストルはジリジリとこちらに迫ってくる。
結構な迫力だが、他の神造者にも同じ事をしていたのならば、やはり『説教臭い過去の遺物』と見られたのは理解出来る気がするな。
『しかるに今の神造者達はなんだ? 我の唱えた理想など一顧だにせず、ただ自らの権力や富を追い求め、勢力の拡大ばかり考えている俗物ばかりとなりはてているではないか』
確かにジストルの言っている通りだとは思う。
だが悲しい事に人間というのは、そういう俗物が富や権力を追い求めた結果として進歩しより多くの人間を幸せにしてきた、という一面もまたあるのだ。
しかしジストルは『神造者の開祖』であったからこそ、それが許せないのだな。
「あなたのおっしゃる事は分かります。そしてそれ故にこそあなたが廃神におとしめられてしまったのでしょう」
『そうだ。我の教えを受けた者どもにとってもっとも目障りな存在がこの我だったのだからな……何とも滑稽な事だ』
今度は自嘲の笑みを浮かべているらしい。
「それではあなたはその廃神達を率いて何をするつもりなのですか?」
『もちろん今の過った神造者を全て滅ぼす。そして新たに我の理想を理解する本物の神造者を今度こそ作り上げるのだ』
やはりそうなるのか。
開祖であるが故に融通がきかず、自らの理想を追い求めるが故に、その障害となったのならば自分の教えを受け継いだ者達にも容赦はしないのか。
いや。それだけではないはず。
恐らくジストルは廃神におとしめられた、他の神造者の神々を吸収し続けた結果、その苦痛、怒りや憎しみまでも一身に集めてしまったのではないだろうか。
そしてジストル自身が有していた理想を求める意識とまぜこぜになってしまった事が、この事態を招いたのだな。
「あなたは信仰を求める人々がみな『自分こそが正しい』と唱えて、相争う事を憂慮したのでカミツクリを提唱したのではないのですか?」
『そうだ。だが結局は欲望に呑まれ、ただ『正しい信仰』を弄ぶ者どもに利用されるだけとなってしまったではないか。それはそなたもよく知っているはずだ』
確かにそのこと事態はオレも幾度、思い知らされたか分からない。
だが今の神造者が全員、ジストルが憂慮する人間ばかりだとは思わないし、また彼らを滅ぼすために多大な犠牲を出すことなど認めるわけにはいかないのだ。
『そなたの言わんとする事は分かっているつもりだ。今の神造者共に非があってとしてもこのような破滅を引き起こす理由にはならないと言いたいのだろう?』
「もちろんですよ。あなたもそれが分かっているなら――」
『だが我が何もしなくとも、最終的には今の神造者達は破滅を引き起こす。自らの欲望のためにだ。それもそなたは理解しているはず。だから我は今のうちに奴らを排除して、よりよい世界を新たに作るのだ!』
ジストルは改めて断言した。
それは開祖故に抱いている今の神造者への深い怒りとそして悲しみの成せる業のようにオレには思えた。
それは神造者が時代に合わせて信仰を変えていった結果、その開祖までも時代遅れの存在として打ち捨ててしまったからなのだ。
開祖の扱いがこれなのだから、それ以後の神造者の神々など、本当にただの都合のいい道具としか思われていなかったに違いない。
そして打ち捨てられた開祖ジストルはその恨みと憎しみから、その後から次々と廃神に貶められた神造者の神々を引きつけ、その力を増していったに違いない。
元の世界で言えば『廃棄物処分場に捨てられたゴミが集まって力をどんどん蓄え、自分たちを捨てた人間に復讐する』というよくある話が近いだろうか。
しかしこの相手は神造者とその理論であるカミツクリの開祖だから、時代遅れと蔑まれても全ての神造者がその教えを基盤にしていたのは確実だ。
だから力を蓄えた末に、神造者の教えの穴をついて彼らが作り上げた神界に致命的なダメージを与えて崩壊に導くことも出来たのではないか。
「あなたが本当にジストルだとすれば、真実を訴え、改めて人々に崇拝させればいいではありませんか。このような事をすればあなたが心血を注いで作り上げたもの全てが崩壊にしてしまいますよ!」
オレの叫びに対し、ジストルは重々しく答える。
『もちろん我を時代遅れと蔑み、廃神としたことに対する恨みはある。だら今、我が神造者とそれが作ったものを滅ぼそうとしているのは、それだけが理由ではない』
「ならばいったい何が理由なのです?」
『我が望んだのは、つまらぬ信仰の摩擦により人々が混乱し、相争う世界を改めてより多くの人間を幸せにする事だったのだ』
ジストルはそこで口惜しそうな表情を浮かべる。
これが生きた人間だったら、唇を噛んでいたところだろうな。
『我はカミツクリを提唱した結果、故郷の地を追われ、親族からは石を投げられ、数十年に渡る迫害を受けた。だがそれでも真理を貫いてカミツクリを確立させた……』
そう言ってジストルはジリジリとこちらに迫ってくる。
結構な迫力だが、他の神造者にも同じ事をしていたのならば、やはり『説教臭い過去の遺物』と見られたのは理解出来る気がするな。
『しかるに今の神造者達はなんだ? 我の唱えた理想など一顧だにせず、ただ自らの権力や富を追い求め、勢力の拡大ばかり考えている俗物ばかりとなりはてているではないか』
確かにジストルの言っている通りだとは思う。
だが悲しい事に人間というのは、そういう俗物が富や権力を追い求めた結果として進歩しより多くの人間を幸せにしてきた、という一面もまたあるのだ。
しかしジストルは『神造者の開祖』であったからこそ、それが許せないのだな。
「あなたのおっしゃる事は分かります。そしてそれ故にこそあなたが廃神におとしめられてしまったのでしょう」
『そうだ。我の教えを受けた者どもにとってもっとも目障りな存在がこの我だったのだからな……何とも滑稽な事だ』
今度は自嘲の笑みを浮かべているらしい。
「それではあなたはその廃神達を率いて何をするつもりなのですか?」
『もちろん今の過った神造者を全て滅ぼす。そして新たに我の理想を理解する本物の神造者を今度こそ作り上げるのだ』
やはりそうなるのか。
開祖であるが故に融通がきかず、自らの理想を追い求めるが故に、その障害となったのならば自分の教えを受け継いだ者達にも容赦はしないのか。
いや。それだけではないはず。
恐らくジストルは廃神におとしめられた、他の神造者の神々を吸収し続けた結果、その苦痛、怒りや憎しみまでも一身に集めてしまったのではないだろうか。
そしてジストル自身が有していた理想を求める意識とまぜこぜになってしまった事が、この事態を招いたのだな。
「あなたは信仰を求める人々がみな『自分こそが正しい』と唱えて、相争う事を憂慮したのでカミツクリを提唱したのではないのですか?」
『そうだ。だが結局は欲望に呑まれ、ただ『正しい信仰』を弄ぶ者どもに利用されるだけとなってしまったではないか。それはそなたもよく知っているはずだ』
確かにそのこと事態はオレも幾度、思い知らされたか分からない。
だが今の神造者が全員、ジストルが憂慮する人間ばかりだとは思わないし、また彼らを滅ぼすために多大な犠牲を出すことなど認めるわけにはいかないのだ。
『そなたの言わんとする事は分かっているつもりだ。今の神造者共に非があってとしてもこのような破滅を引き起こす理由にはならないと言いたいのだろう?』
「もちろんですよ。あなたもそれが分かっているなら――」
『だが我が何もしなくとも、最終的には今の神造者達は破滅を引き起こす。自らの欲望のためにだ。それもそなたは理解しているはず。だから我は今のうちに奴らを排除して、よりよい世界を新たに作るのだ!』
ジストルは改めて断言した。
それは開祖故に抱いている今の神造者への深い怒りとそして悲しみの成せる業のようにオレには思えた。
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