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夢遊病者の夢
しおりを挟む薬の副作用による傾眠。
僕の日常はそれによって蝕まれていた。
眠りたくないのに―
身体が一気に重力を感じたように沈む。
また泥のように寝てしまうのか。
ついぞ学校にも通えなくなってしまった。
それでも僕は生きていると言えるのか?
答えはないが考える。刹那、夢に堕ちてゆく。
夢の世界が愉快であれば少しは救われたものの慌てん坊のうさぎなどはどこにも居ない。
灰色の煙がただ広がるだけだった。
退屈だ。退屈は僕に話しかける。
「御機嫌よう。また会ったね」
「前に会った時はどんなだったっけ?」
僕は答えず、聞こえないふりをする。
綺麗なものが見たい。
キラキラした雲に丸い川、煙のような犬、浮かぶ缶コーヒー。赤いWiFiを舐めてみたい。
僕は土を飛ぶのさ。
妄想の世界に心酔する僕に退屈が言う。
「忘れないでおくれ。
君の世界は〝そっち〟じゃないんだよ」
違う!
僕は頭を振りながら思わず大声を出してしまった。
僕はそっちを選びたい。選んだんだ。
「ダメだよ。君は幸せを選ばなきゃ。生きていけるはずだよ」
生きていけるはずだなんてこの僕のなにを見て言っているのだろう。
声を無視して足をもつれさせながら走る。
選んだ方へ。歩みを進める。
―目を開けた。夜、か。
ここは―
満員電車の中スーツを身に纏い、くたびれた顔に見たことのない程に憔悴した僕の顔が窓ガラスに映っていた。
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