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消しきれない想い
どうして涙が溢れるのか 2
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部屋に水を持って来るようにとゼライに言われ、コップを揺らさないようにゆっくり歩く。きっともう、見合いは終わったのだろう。
ほんの少し鼓動が速くなる。
ゆっくりと音を発てないように、ドアを開ける。部屋を見渡すと、姿が見えない
「ゼライ様?・・・・・ あっ・・・」
部屋の隅に立っていた。
ゼライが女の人とじゃれ合うように抱き合って・・・・
(ゼライ様・・・・・・)
苦しくて、悲しくて・・・・・・
見ていられなくて・・・・・・
静かに、部屋を出た。
自分の部屋に戻り、きぃと小さな音を発ててドアがしまる。突然力が抜けたように、床に崩れ落ちた。
溢れ出て止まらない涙。
拭っても拭っても、頰を伝う冷たいもの。
忘れると決めたはずの気持ち。
悲しくて悲しくて苦しくてたまらない。でも、とっくに気づいていた距離。結ばれることなど、初めから無かった。それなのに溢れ出る涙は、なかなか止まらなかった。
ゼライ様・・・・・・・
お望みでなくても愛しております・・・・
どうにもならない気持ちに、きちんと蓋をして明日からまた生きて行く。
ほんの少し鼓動が速くなる。
ゆっくりと音を発てないように、ドアを開ける。部屋を見渡すと、姿が見えない
「ゼライ様?・・・・・ あっ・・・」
部屋の隅に立っていた。
ゼライが女の人とじゃれ合うように抱き合って・・・・
(ゼライ様・・・・・・)
苦しくて、悲しくて・・・・・・
見ていられなくて・・・・・・
静かに、部屋を出た。
自分の部屋に戻り、きぃと小さな音を発ててドアがしまる。突然力が抜けたように、床に崩れ落ちた。
溢れ出て止まらない涙。
拭っても拭っても、頰を伝う冷たいもの。
忘れると決めたはずの気持ち。
悲しくて悲しくて苦しくてたまらない。でも、とっくに気づいていた距離。結ばれることなど、初めから無かった。それなのに溢れ出る涙は、なかなか止まらなかった。
ゼライ様・・・・・・・
お望みでなくても愛しております・・・・
どうにもならない気持ちに、きちんと蓋をして明日からまた生きて行く。
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