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1、結婚なんてできません
私の知らない私
しおりを挟む「あなたがアーシャさんね。」
にこやかに微笑む華やかな女性。国王ジアザイトの妃、ミエナ。王太子のセルザイトのお母さんでもある。
華やかで豪華なドレスに劣らない、華やかさと威厳がある。
「はい。そうです。」
人数が少ないから小さい部屋で、と言われたけれど、どこが小さいのか理解できない。
「思ったよりもずっと綺麗な方ね。ねぇ、ジアザイト様?」
先ほどこの部屋に入った時から、まるで鷹のような視線で睨みつけられている。王妃はちっとも気にしていないようだが、その視線たるもの射られた矢の如く鋭いものである。
「明日、何か予定はあるか?」
王妃の言葉の後にしばし間があり、静かで低い声が響く。
なかなか意味が浸透して来なかった。
「いえ、ございません。」
今まで、幼子か村の青年やご老人としか話したことがない。
口の利き方を知らないと言われてしまうような言葉遣いかもしれないけれど、その通りでしかない。
既に国王と王妃の圧倒的な威厳に気圧されているけれど、この先王太子殿下の妻(側室)という形に耐えられるのだろうか。
「そうか、ならば今夜からこちらに住みなさい。」
生きた心地のしない現状に、さらなる複雑な言葉。もはや脳内は正常に働かない。
「そうね、それは良いわ。ご両親にご連絡しないと。」
王妃の穏やかな声音に、なんとか現実に戻される。
今夜、ここに住む。
ここに来るまでに色々考えた。それでもある程度の覚悟をしてきたつもりだったけれど、ここまで話が進むとは思っていなかった。
「あ、あの・・・私、両親も家族もいないので大丈夫です。」
今ほど両親がいないことを悲しく、恥ずかしく思ったことはない。村には同じような子供もいたし、そのことについて悪口や嫌味を言う大人も子供もいなかった。
町にさえ出なければ、幸せだった。
「まあ、それはごめんなさい。」
王妃までが悲しそうな顔をして、国王の眉がぴくりと動いた。
「王妃様が謝られることではございません。今夜からこちらで暮らしますが・・・・」
きっと、親もいない。華もない。知識もない。こんな女性を国王や王妃が自分の子供の妻にしたいとは考え難い。
「何か要求があれば、叶えられる限り叶えてやろう。」
険しい表情だった国王の顔はいくらか穏やかになり、この場に流れる空気も少しばかり和やかになる。
そんな国王が言った言葉に耳を疑い、何度も反復する。
「そのようなことではなく、私などがいては、ご迷惑になりませんか?」
それにセルザイト殿下だって忙しいだろうし、王族ならば愛人の一人や二人いるだろうに、やっぱり迷惑だと思う。
「そんなことないわ。セルザイトは今夜帰って来るから、あなたがいればきっと喜ぶわ。大切なお嫁さんになるんだもの。」
花が咲いたような笑顔で話す王妃は、とても嬉しそうだった。
「ですがセルザイト殿下だってお忙しいでしょう?」
色々な意味で、とは言えない。
「アーシャ殿。」
突然の国王の声に驚き、肩を震わす。
王妃も不思議そうな顔をしている。
「これだけは伝えておかなければならない。其方とセルザイトの婚約の理由だ。」
真剣な眼差しで二人に見つめられ、自然としゃんとなる背筋。きっとこの婚約には何か深い理由があるのだろう。でなければ、こんななんの魅力もない村娘と結婚なんてありえない。
ゆっくりと頷いた。
「王族には必ず魔力が備わっていることは知っているな?ごく稀に魔力を持つ者もいるが、それと同じように稀に王族にも魔力を持たない者もいる。」
国王がそう言うと、王妃はとても悲しそうな顔をした。
きっとセルザイト殿下はそのごく稀だったのだろう。しかしそれでは辻褄が合わない。
「セルザイトはそのごく稀だったのよ。私がちゃんと産んであげられたら・・・・・」
目元にハンカチを当てがう王妃の肩を抱く国王は、先ほどまでの威厳に満ちた国王ではなく妻を心の底から愛する男の熱っぽい瞳に見えた。
「君が悪いわけではない。単なる悪質な偶然なのだから。
アーシャ、そこで其方が必要なのだ。」
こちらを向き直った国王は、王妃同様に悲しそうだった。
「私にできることなど限られていますが・・・・」
魔力なんてものは持ち合わせていないし、魔力の代わりになるようなものも無い。
「過去の書類から一つ分かったことがある。女性が魔力を持っている場合、その子は必ず魔力を持って生まれる。魔力を持った女性を散々探した結果、アーシャ殿、其方しかいなかったのだ。」
国王の話からするとまるで、自分に魔力があるみたいだ。国王も王妃も、セルザイト殿下が魔力を持っていないことをとても気に病んでいるように見える。
「ですが、私には魔力のようなものはございません。」
やっぱり間違いだったのだ。始めから、おかしいと思っていた。ただの一般の娘と王族の結婚など、夢物語でしかない。
「そうか・・・ならばそこの窓を見てごらん。」
国王は正面の方にある窓を指差した。
言われた通り窓の前に行き、覗き込む。豪華で広大な庭はたくさんの木や花、植物がたくさん育っている。
綺麗に整っている木々を見ると、手が行き届いていることがよく分かる。
「とても綺麗なお庭ですね。」
見惚れるほど綺麗だった。村では無造作に咲く花々がほとんどだった。人の手が入らない自由な美しさもあったが、きちんと手入れをされている花々も綺麗だ。
「噴水の周りの花が枯れてしまったのよ。庭師の方も頑張ってくれたのだけれど病気が広がってしまってね。もう直ぐ花が咲く頃だったのに・・・・」
気づくと国王も王妃もすぐ後ろに立っていて、耳元で王族の鈴を転がしたような澄んだ声が聞こえた。
王妃の言った通り、噴水の周りに円状に植えられた花は茶色になり、美しいとは言えない。
「君は植物に詳しいそうだね、まだ咲く可能性はありそうかい?」
植物について村では色々教えてもらったり、本を読んだりもしたけれど、詳しいというほどではないだろう。
枯れた花を見直す。きっとこの花が咲いたら綺麗だったのだろう。もしかしたらまだ咲けるかもしれない。そんな気がした。
「咲けるかもしれません。私は咲いてほしいと思います。」
国王に対して「かもしれない」なんていけないような気もするけれど、仕方がない。その程度の知識しか、備わっていない。
枯れたあの花はきっと、しばらくすれば根本から引き抜かれ、新たな花が植えられる。次の年、後数ヶ月、数週間、数日あれば咲いていたかもしれない。小さな蕾をつけていたかもしれない。それなのにもう咲くことを許されない。
ーー咲いてほしい・・・・・・
「話で聞いてそれなり理解していたつもりだったのだがな・・・・」
国王の静かな声に振り向き、目が合うとにこりた暖かな笑顔を向けてくれた。とても優しそうな笑顔に、セルザイト殿下も優しい方だったら良いなと思う。
「もう明日には別の花を植える予定だったのよ。きっとみんな驚くわ。」
なんの話だろうと首を傾げる。なんだか自分だけ話に置いてけぼりな気がする。ちゃんと話を聞いていたはずなのに、ついさっきの記憶がくすんでいる。
「本当に知らなかったのだな。枯れた花を見て驚くだろうな。」
そう言われ、もう一度枯れた花に目を向ける。
驚く、その言葉の通りに驚いた。先ほどまで枯れていたはずの花が、色とりどりの花を咲かせ、生き生きと太陽の光を浴びていた。
そういえば国王は、王族なのだから魔力が使える。だからなのかな、と純粋に思った。
「国王陛下がなさったのですか?」
「私にはこれほどの魔力は無い。全て其方が行ったことだろう?」
魔力なんてないはずだし、両親もごく一般。過去に何かあったこともなく、おそらく魔力なんてものはない。
「信じないのなら、魔術師に診てもらうと良いだろう。おそらく、アーシャ殿ほど優れた魔力を持つ者は一般、王族共にいないだろう。
そのため少々若いが、其方との婚姻を選んだのだ。」
同時にたくさんの現実を突きつけられ、この状況、そして未来に喜んで良いのか分からない。
これが幸となるのか不幸となるのか、想像もつかない未来に怯えるのは仕方のないことではないだろうか。
にこやかに微笑む華やかな女性。国王ジアザイトの妃、ミエナ。王太子のセルザイトのお母さんでもある。
華やかで豪華なドレスに劣らない、華やかさと威厳がある。
「はい。そうです。」
人数が少ないから小さい部屋で、と言われたけれど、どこが小さいのか理解できない。
「思ったよりもずっと綺麗な方ね。ねぇ、ジアザイト様?」
先ほどこの部屋に入った時から、まるで鷹のような視線で睨みつけられている。王妃はちっとも気にしていないようだが、その視線たるもの射られた矢の如く鋭いものである。
「明日、何か予定はあるか?」
王妃の言葉の後にしばし間があり、静かで低い声が響く。
なかなか意味が浸透して来なかった。
「いえ、ございません。」
今まで、幼子か村の青年やご老人としか話したことがない。
口の利き方を知らないと言われてしまうような言葉遣いかもしれないけれど、その通りでしかない。
既に国王と王妃の圧倒的な威厳に気圧されているけれど、この先王太子殿下の妻(側室)という形に耐えられるのだろうか。
「そうか、ならば今夜からこちらに住みなさい。」
生きた心地のしない現状に、さらなる複雑な言葉。もはや脳内は正常に働かない。
「そうね、それは良いわ。ご両親にご連絡しないと。」
王妃の穏やかな声音に、なんとか現実に戻される。
今夜、ここに住む。
ここに来るまでに色々考えた。それでもある程度の覚悟をしてきたつもりだったけれど、ここまで話が進むとは思っていなかった。
「あ、あの・・・私、両親も家族もいないので大丈夫です。」
今ほど両親がいないことを悲しく、恥ずかしく思ったことはない。村には同じような子供もいたし、そのことについて悪口や嫌味を言う大人も子供もいなかった。
町にさえ出なければ、幸せだった。
「まあ、それはごめんなさい。」
王妃までが悲しそうな顔をして、国王の眉がぴくりと動いた。
「王妃様が謝られることではございません。今夜からこちらで暮らしますが・・・・」
きっと、親もいない。華もない。知識もない。こんな女性を国王や王妃が自分の子供の妻にしたいとは考え難い。
「何か要求があれば、叶えられる限り叶えてやろう。」
険しい表情だった国王の顔はいくらか穏やかになり、この場に流れる空気も少しばかり和やかになる。
そんな国王が言った言葉に耳を疑い、何度も反復する。
「そのようなことではなく、私などがいては、ご迷惑になりませんか?」
それにセルザイト殿下だって忙しいだろうし、王族ならば愛人の一人や二人いるだろうに、やっぱり迷惑だと思う。
「そんなことないわ。セルザイトは今夜帰って来るから、あなたがいればきっと喜ぶわ。大切なお嫁さんになるんだもの。」
花が咲いたような笑顔で話す王妃は、とても嬉しそうだった。
「ですがセルザイト殿下だってお忙しいでしょう?」
色々な意味で、とは言えない。
「アーシャ殿。」
突然の国王の声に驚き、肩を震わす。
王妃も不思議そうな顔をしている。
「これだけは伝えておかなければならない。其方とセルザイトの婚約の理由だ。」
真剣な眼差しで二人に見つめられ、自然としゃんとなる背筋。きっとこの婚約には何か深い理由があるのだろう。でなければ、こんななんの魅力もない村娘と結婚なんてありえない。
ゆっくりと頷いた。
「王族には必ず魔力が備わっていることは知っているな?ごく稀に魔力を持つ者もいるが、それと同じように稀に王族にも魔力を持たない者もいる。」
国王がそう言うと、王妃はとても悲しそうな顔をした。
きっとセルザイト殿下はそのごく稀だったのだろう。しかしそれでは辻褄が合わない。
「セルザイトはそのごく稀だったのよ。私がちゃんと産んであげられたら・・・・・」
目元にハンカチを当てがう王妃の肩を抱く国王は、先ほどまでの威厳に満ちた国王ではなく妻を心の底から愛する男の熱っぽい瞳に見えた。
「君が悪いわけではない。単なる悪質な偶然なのだから。
アーシャ、そこで其方が必要なのだ。」
こちらを向き直った国王は、王妃同様に悲しそうだった。
「私にできることなど限られていますが・・・・」
魔力なんてものは持ち合わせていないし、魔力の代わりになるようなものも無い。
「過去の書類から一つ分かったことがある。女性が魔力を持っている場合、その子は必ず魔力を持って生まれる。魔力を持った女性を散々探した結果、アーシャ殿、其方しかいなかったのだ。」
国王の話からするとまるで、自分に魔力があるみたいだ。国王も王妃も、セルザイト殿下が魔力を持っていないことをとても気に病んでいるように見える。
「ですが、私には魔力のようなものはございません。」
やっぱり間違いだったのだ。始めから、おかしいと思っていた。ただの一般の娘と王族の結婚など、夢物語でしかない。
「そうか・・・ならばそこの窓を見てごらん。」
国王は正面の方にある窓を指差した。
言われた通り窓の前に行き、覗き込む。豪華で広大な庭はたくさんの木や花、植物がたくさん育っている。
綺麗に整っている木々を見ると、手が行き届いていることがよく分かる。
「とても綺麗なお庭ですね。」
見惚れるほど綺麗だった。村では無造作に咲く花々がほとんどだった。人の手が入らない自由な美しさもあったが、きちんと手入れをされている花々も綺麗だ。
「噴水の周りの花が枯れてしまったのよ。庭師の方も頑張ってくれたのだけれど病気が広がってしまってね。もう直ぐ花が咲く頃だったのに・・・・」
気づくと国王も王妃もすぐ後ろに立っていて、耳元で王族の鈴を転がしたような澄んだ声が聞こえた。
王妃の言った通り、噴水の周りに円状に植えられた花は茶色になり、美しいとは言えない。
「君は植物に詳しいそうだね、まだ咲く可能性はありそうかい?」
植物について村では色々教えてもらったり、本を読んだりもしたけれど、詳しいというほどではないだろう。
枯れた花を見直す。きっとこの花が咲いたら綺麗だったのだろう。もしかしたらまだ咲けるかもしれない。そんな気がした。
「咲けるかもしれません。私は咲いてほしいと思います。」
国王に対して「かもしれない」なんていけないような気もするけれど、仕方がない。その程度の知識しか、備わっていない。
枯れたあの花はきっと、しばらくすれば根本から引き抜かれ、新たな花が植えられる。次の年、後数ヶ月、数週間、数日あれば咲いていたかもしれない。小さな蕾をつけていたかもしれない。それなのにもう咲くことを許されない。
ーー咲いてほしい・・・・・・
「話で聞いてそれなり理解していたつもりだったのだがな・・・・」
国王の静かな声に振り向き、目が合うとにこりた暖かな笑顔を向けてくれた。とても優しそうな笑顔に、セルザイト殿下も優しい方だったら良いなと思う。
「もう明日には別の花を植える予定だったのよ。きっとみんな驚くわ。」
なんの話だろうと首を傾げる。なんだか自分だけ話に置いてけぼりな気がする。ちゃんと話を聞いていたはずなのに、ついさっきの記憶がくすんでいる。
「本当に知らなかったのだな。枯れた花を見て驚くだろうな。」
そう言われ、もう一度枯れた花に目を向ける。
驚く、その言葉の通りに驚いた。先ほどまで枯れていたはずの花が、色とりどりの花を咲かせ、生き生きと太陽の光を浴びていた。
そういえば国王は、王族なのだから魔力が使える。だからなのかな、と純粋に思った。
「国王陛下がなさったのですか?」
「私にはこれほどの魔力は無い。全て其方が行ったことだろう?」
魔力なんてないはずだし、両親もごく一般。過去に何かあったこともなく、おそらく魔力なんてものはない。
「信じないのなら、魔術師に診てもらうと良いだろう。おそらく、アーシャ殿ほど優れた魔力を持つ者は一般、王族共にいないだろう。
そのため少々若いが、其方との婚姻を選んだのだ。」
同時にたくさんの現実を突きつけられ、この状況、そして未来に喜んで良いのか分からない。
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