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「僕は絃5歳です。颯人さんの息子なんだって。今日からここで暮らすのでよろしくお願いします。」
ぺこりと頭を下げる。
片山さんから、教えられた通りにする。
言われたことは、上手にこなせるから。
父だと思われる人は、
固まったままだ。
「えっと…颯人?話し聞けるか?」
って言った人は黒川さん。
母が言っていた。
父は、黒川さんだけを愛していた。
私は、酷いことをしてしまった。
でも、あなたの父は間違いなく
颯人だよって。
ボクには、"愛している"の意味はわからない。
でも、母が言ってたから頷いておいた。
そして、片山さんが話した内容は母が話したことと同じだった。
またか…って思っちゃうよ。
じぃーっと、父と思われる人の顔を見ている。
父と思われる人も、じぃーっと見てる。
不思議な感じがした。
「で…?今日から暮らすと、その子は言っていましたけど?」
そりゃ、そんな挨拶されたら気になるよね?
「もう、以前暮らしていた家は解約されています。帰る場所はありません。彼女が亡くなった後は、私と生活を共にしていましたが明日から私は海外勤務になりますので連れて行くことは困難です。」
ずっと前から明日から日本を出ることは、決まっていたんだよ?
だから、母が死んじゃった後…凄く忙しいのに最優先でボクのこと、してくれてたもんね?
で…今日しかないって決めてたもんね。
逃げられないようにって。
「片山さん?やったか?言いたいこと全部?もう終わった?」
って、黒川さんが聞いた。
「はい。私からお伝えすることは以上です。後は、こちらの書類に全て纏めてあります。」
「そう…ほな、お帰りはあちらへ。忘れ物あっても、取りに来んといてな。あんたの物が忘れてあっても、捨てるし無いから。早う帰りー。お気をつけて。」
黒川さんが片山さんを帰らせてから。
ボクの前にしゃがんでちゃんと顔を見てから
「オレは、協。おまえは…絃やったな?今日から一緒に暮らすんやで?でも、いろんな話しはまた明日や。荷物持ってついてきーや。部屋案内するわ!」
って、言ってくれた。
ボクは、急いで母から預かっていた手紙を出した。
『必ず、黒川さんに直接渡して約束ね』
って言われてたんだ。
だからちゃんと
「黒川さんへ、コレを渡してって預かってた。」
って渡したらさ
「誰から?」
「母から。」
って答えたら…
「そうか…ほな、後から読むわな。ちゃんと受け取ったで!約束やったんやろ?」
「うん。」
ボクは、なにか心がぽわんってなってびっくりした。
初めてのことで、どうしたのかわからなかった。
「絃。おやすみ」
ボクを見てちゃんと言ってくれた。
初めてだ。
まただ…心がぽわんってなった。
「おやすみなさい」
ボクは、ずっと心がぽわんってなったまま眠った…
初めての休日が終わった。
ぺこりと頭を下げる。
片山さんから、教えられた通りにする。
言われたことは、上手にこなせるから。
父だと思われる人は、
固まったままだ。
「えっと…颯人?話し聞けるか?」
って言った人は黒川さん。
母が言っていた。
父は、黒川さんだけを愛していた。
私は、酷いことをしてしまった。
でも、あなたの父は間違いなく
颯人だよって。
ボクには、"愛している"の意味はわからない。
でも、母が言ってたから頷いておいた。
そして、片山さんが話した内容は母が話したことと同じだった。
またか…って思っちゃうよ。
じぃーっと、父と思われる人の顔を見ている。
父と思われる人も、じぃーっと見てる。
不思議な感じがした。
「で…?今日から暮らすと、その子は言っていましたけど?」
そりゃ、そんな挨拶されたら気になるよね?
「もう、以前暮らしていた家は解約されています。帰る場所はありません。彼女が亡くなった後は、私と生活を共にしていましたが明日から私は海外勤務になりますので連れて行くことは困難です。」
ずっと前から明日から日本を出ることは、決まっていたんだよ?
だから、母が死んじゃった後…凄く忙しいのに最優先でボクのこと、してくれてたもんね?
で…今日しかないって決めてたもんね。
逃げられないようにって。
「片山さん?やったか?言いたいこと全部?もう終わった?」
って、黒川さんが聞いた。
「はい。私からお伝えすることは以上です。後は、こちらの書類に全て纏めてあります。」
「そう…ほな、お帰りはあちらへ。忘れ物あっても、取りに来んといてな。あんたの物が忘れてあっても、捨てるし無いから。早う帰りー。お気をつけて。」
黒川さんが片山さんを帰らせてから。
ボクの前にしゃがんでちゃんと顔を見てから
「オレは、協。おまえは…絃やったな?今日から一緒に暮らすんやで?でも、いろんな話しはまた明日や。荷物持ってついてきーや。部屋案内するわ!」
って、言ってくれた。
ボクは、急いで母から預かっていた手紙を出した。
『必ず、黒川さんに直接渡して約束ね』
って言われてたんだ。
だからちゃんと
「黒川さんへ、コレを渡してって預かってた。」
って渡したらさ
「誰から?」
「母から。」
って答えたら…
「そうか…ほな、後から読むわな。ちゃんと受け取ったで!約束やったんやろ?」
「うん。」
ボクは、なにか心がぽわんってなってびっくりした。
初めてのことで、どうしたのかわからなかった。
「絃。おやすみ」
ボクを見てちゃんと言ってくれた。
初めてだ。
まただ…心がぽわんってなった。
「おやすみなさい」
ボクは、ずっと心がぽわんってなったまま眠った…
初めての休日が終わった。
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