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【”願い石”を見つけられたら、
どんな願い事でも叶えられる。
森の女神さまが叶えてくれる。
そんな言い伝えがあるんだよ。

仲良し兄弟が”願い石”を見つけて願い事を叶えてもらえるHappyHappyなお話し。】

知ってるよ?そのお話しは、何度も何度も読んだもの。
しーちゃんもひーちゃんも大好きだった。
絵本では、月の女神さまだったけど。
”願い石”は、悪い人が見つけちゃったら真っ黒な石になって消えちゃうんだよ。
だから、願いを叶えてもらえる人に悪い人はいないんだよ!
ん?ちょっと待って…
待ってね?
むーちゃんとるーちゃんが”願い石”見つけたんだよね?
それで、願ったのが

【かぁさまをください】

で…

私が来た…

ん?

何で?

目が覚めるまで1週間もかかったの?

それに…お母さんを願ったんだよね?

私で良かったの?
間違えたとかじゃなくて?

私がグルグルといろんなこと考えてたら
スターリーさんが言ったの…

『里來がこの世界に来たことで、元の世界にいる里來の家族に消えない悲しみを抱えさせてしまった…。本当に申し訳ない。』

みんな、心配してるかなぁ。
悲しんでるかなぁ。
悲しでるよね。
しーちゃんとひーちゃん泣いてるだろうな…大丈夫か…な…

「…ゴメンナサイ…」

ちいさな声がした。

涙を零さないように、むーちゃんがるーちゃんの手を繋いでる。
るーちゃんは…やっぱり目線は遠くを見てる。

絵本の中では、”願い石”で願いが叶えられたらHappyHappyでお話しは終わっちゃうけど…現実は、続きがあっていろんな人の感情もあるんだもんね。

”願い石”
どんな願いも叶えられる。

だけど…幸せで楽しいことばかりじゃないこともあるんだね。
時には、残酷なこともあるんだよね。
私は、家族と離れ離れになって全く別の世界にいる。
目が覚めたら別の世界だったから、お別れも出来なかった。
元の世界で、私はどんな扱いになってるんだろう…死んじゃった?神隠しみたく行方不明?失踪?それも、わからない。
悲しくて、辛いって思う気持ちもあるよ?
でもさ…

王様が謝っちゃダメだよ

あんな悲しそうな
辛そうな
「ゴメンナサイ」

言わせたくない。
あんな顔させたくない。
って思っちゃう。

双子ちゃんたちには、元気に笑ってて欲しい。
そんな風に思ってる私は…やっぱり甘いのかなぁ。

いちごちゃん・みかんちゃんが心配そうに私の頬にスリスリしてる…
ありがとね。

なんかさ…
スターリーさんが話してくれたこと。

”元の世界に戻る方法は今の僕たちにはわからない。
もしかしたら何か方法があるのかも知れないけれど、この国の中にその謎を解き明かせる人はいない。”
それってさ…
もう、元の世界には帰れない。
もう、家族には会えない。
ってことだよね。
凄く悲しいよ…もどかしい。
悲しくて…悔しい。
何で私がって思う気持ちもあるけど…

「スターリーさん。誤魔化さずにちゃんと話してくれてありがとう。何となくもう帰れないかも…って思ってたんです。
実際、『帰れない』って言葉にされちゃたら…ショックでした。
何で?家族に会いたい。帰りたい。って思うけど…無理なんだってちゃんと受け止めていきたいです。
悲しんでばかりいたら、元の世界の家族に笑われちゃう。
ねっ?私が帰れないのに、みんなの方が辛そうだよ?みんなの方が泣きそうだよ?
もう”ごめん”は、要らない。


私…大丈夫じゃないよ。
そんな強くない。
だから、悲しくて泣いちゃう日はぎゅぅって抱きしめてね?
寂しい日は一緒に寝てね?
理由もないけど、ワガママ言う日は一緒にワガママに付き合ってね?

そして…私を受け止めて。
私を必要として。」

私が涙ポロポロこぼしながら両手を広げたら…双子ちゃんたちがぎゅぅって抱きしめてくれた。
そして、夜は双子ちゃんたちと同じベッド寝ることになったから一緒に眠ったんだけど…私は眠れなかった。

だから、こっそりガーデンに向かおうと部屋を出たら…

スターリーさんが来た。

『里來?どうした?』

「んと眠れないからガーデンに行きたくて…」

『一緒に行こう』
って…2人で行くことになっちゃったよ?

偶然かな?

スターリーさんって、イケメンだよねぇ
王様だし婚約者さんとか居ないのかな?
ハマっててよく読んでた異世界ものの小説なら、いるはずだよね?
私が、歩くペースに合わせてゆっくり歩いてくれてるんだろうな。

って考えながら見つめてたら…
ガーデンに着いた。
2人して、座ったんだけど…
遠すぎない?
声張らないと聞こえないと思うんだけど?


『里…そん…に…………ないで…』

って、耳が真っ赤になってる…?何で?

「え?あ…ごめんなさい。良く聞こえないくて…?スターリーさん…あの…もう少し近くに座ってもいいですか?」

って言いながら、近くに移動したんだけど
しばらく、下を向いたままのスターリーさんが片手で目元を押さえながら

『里來…僕は女性とあまり接点が無かったんだ。だから、慣れていないんだよ…気遣いができなくて嫌な思いをさせてしまうことがあるかもしれないから、その時は…言って欲しい。里來には、笑っていて欲しいから。』

《ボン!!》

って音が聞こえちゃったんじゃないかってくらい一気に真っ赤になっちゃったよね…。
あわわわわ…

「あの…ごめんなさい。私も男性とお付き合いした事がなくて距離感がわからないかも知れないんで…。」

やだ…どうしたらいいの?



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