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DIYと隣人
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日曜日。私はホームセンターに行って、補修剤を購入してきた。よく分からないが、パテなるもので大丈夫だと思われる。少なくともサイトで調べた限りではこれで間違いない。
そういうわけで、人生で初のDIYに挑戦してみる。『土曜日は書店に行き、お気に入りのカフェでコーヒーを購入。日曜日はDIYを行った』と表現すると、まるで私の人生が実に充実しているように聞こえるから不思議である。実際はそうではないことは明白だ。
いずれにせよ、この穴を塞がなければ今後の生活に支障があり得るところなので、最善は尽くそうと思う。
「これで……大丈夫なのか?」
思わず、誰もいない室内で呟く。少なくとも固まっているように思うし、見た目上穴は完全になくなった。もちろん、明らかに補修した跡は存在するものの、何となく塞げたのでかなりの満足感はある。上から再度カレンダーを貼れば完全な状態だ。
少なくとも最善は尽くした。穴がない以上、今後お隣さんにご迷惑をかけられることも、ご迷惑をおかけすることもないだろう。
なぜだか良いことをした気分になった私は、たまの贅沢ということで外食をすることにした。季節ごとに一度しか行かないが、一応行きつけの寿司屋で楽しむことにしようじゃないか。アンコン仕立てのライトグレーのジャケットに細身のジーンズを合わせ、私にしては比較的カジュアルな格好で家を出た。足取りは間違いなく軽かったし、もちろんお隣さんの声なんて聞こえもしなかった。
翌朝。珍しく私は少し寝坊をした。自分らしからぬ土日を過ごしたせいかもしれない。もちろん、寝坊したと言っても普段起床する時間よりも十分程度遅くベッドを出ることになっただけなので、始業時間に間に合わないなどということはない。しかし、昨晩は少し調子に乗っていつもよりも食べ過ぎたせいか、朝食を食べるほどの胃の余裕はなかった。そういうわけで冷蔵庫にあった少しだけボケているりんごを半分だけ胃にいれるにとどめた。
さて、そろそろ仕事を始めようか――
「今日はー、お仕事お休みー! あさからーげえむしちゃうー!」
調子外れの歌声がどこからともなく流れてくる。私は手に持っていたマグカップを危うく床にぶちまけるところだった。その声が誰のものなのかなんて考える必要もない。
私は恐る恐る壁の方に目をやる。カレンダーは……マスキングテープで留めていたはずの下部が外れ、床に落ちかかっている。そして、床には私の拳程度の大きさの白い粘土のようなもの。うん、昨日丹精込めて私がこしらえたパテであるのは間違いない。
私は諦め半分でカレンダーをめくってみる。そこには何事も無かったかのように、私の掌よりも少しだけ小さいくらいの穴がぽっかりと存在しているのだった。
一体なぜ――
私は茫然自失となり、しばらくの間その暗い空洞を眺めていた。そして、はっと我に返って、結局ぎりぎりで遅刻しないくらいの時間に、イントラネットにアクセスし、『勤務開始』のボタンをクリックする羽目になってしまった。
不思議で少しおかしな歌詞を載せた彼女の歌は、ずっと私の部屋に響いていた。
そういうわけで、人生で初のDIYに挑戦してみる。『土曜日は書店に行き、お気に入りのカフェでコーヒーを購入。日曜日はDIYを行った』と表現すると、まるで私の人生が実に充実しているように聞こえるから不思議である。実際はそうではないことは明白だ。
いずれにせよ、この穴を塞がなければ今後の生活に支障があり得るところなので、最善は尽くそうと思う。
「これで……大丈夫なのか?」
思わず、誰もいない室内で呟く。少なくとも固まっているように思うし、見た目上穴は完全になくなった。もちろん、明らかに補修した跡は存在するものの、何となく塞げたのでかなりの満足感はある。上から再度カレンダーを貼れば完全な状態だ。
少なくとも最善は尽くした。穴がない以上、今後お隣さんにご迷惑をかけられることも、ご迷惑をおかけすることもないだろう。
なぜだか良いことをした気分になった私は、たまの贅沢ということで外食をすることにした。季節ごとに一度しか行かないが、一応行きつけの寿司屋で楽しむことにしようじゃないか。アンコン仕立てのライトグレーのジャケットに細身のジーンズを合わせ、私にしては比較的カジュアルな格好で家を出た。足取りは間違いなく軽かったし、もちろんお隣さんの声なんて聞こえもしなかった。
翌朝。珍しく私は少し寝坊をした。自分らしからぬ土日を過ごしたせいかもしれない。もちろん、寝坊したと言っても普段起床する時間よりも十分程度遅くベッドを出ることになっただけなので、始業時間に間に合わないなどということはない。しかし、昨晩は少し調子に乗っていつもよりも食べ過ぎたせいか、朝食を食べるほどの胃の余裕はなかった。そういうわけで冷蔵庫にあった少しだけボケているりんごを半分だけ胃にいれるにとどめた。
さて、そろそろ仕事を始めようか――
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調子外れの歌声がどこからともなく流れてくる。私は手に持っていたマグカップを危うく床にぶちまけるところだった。その声が誰のものなのかなんて考える必要もない。
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不思議で少しおかしな歌詞を載せた彼女の歌は、ずっと私の部屋に響いていた。
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