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浮気されて
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聞いてくれよぉ~。
俺は会社員で、出張があって……。
出張から予想外で早く帰れれば、恋人が待つ家に一直線に帰ろうって思うじゃん。
恋人のケンちゃんは、早く帰れた事を喜んでくれると思ったんだ。
だけど、アパートの扉を開けたら知らない靴があったんだ。
嫌な予感はするけれど、ケンちゃんは、新しい靴を買ったのかもしれないって希望なんか持っちゃって……。
気を取り直して、リビングに行けば、寝室からあんあん聞こえてきちゃって……。
『ケンちゃぁぁん。もっとぉ……』
『お前はいつも欲しがりだな』
呆然としたよね……。
ケンちゃん……そう呼んでんの俺だけじゃなかったんだよ。
ベッドが激しく軋む音がして……。
いつもって言ってたし、どう考えても初めての浮気とかじゃないわけで……。
俺と毎日一緒に寝てるベッドの上でいつもそんな事してたと思うと吐きそうになったね。
君ならどうする?
大好きな恋人が自分の出張中に浮気だぞ⁉︎
①突撃する
②そのまま出ていく
まぁ、どっちかの選択しかないわけで……。
俺の場合は……②だったんだ。
恋人と知らない誰かが裸で抱き合っているシーンなんて見たくなかったからな……。
でもさ、そのまま出て行くのも悔しいだろ?
だから、寝室のドアをドカッと蹴って『別れる!』って叫んでから家を出てきたんだぁ……。
電話がガンガン来たけど、言い訳なんか聞きたくないし、話なんかしたくないから着信拒否にしてやった。
と、ここまでを居酒屋でやけ酒していた俺に、声を掛けてきた知らない男の子にぶちまけた。
俺も相当酔っていたんだと思う。
知らない子だし、まぁいっかってそんな気持ちだったし、この暗く陰った気持ちを誰かに聞いて欲しかったんだ。
「それは辛かったですね。でも、そんな男と別れられて良かったんですよ」
話を聞いて慰めてくれる子をじっと見つめる。
キリッとした眉に二重で少し目尻が下がっていて人懐っこい感じがする子だった。
どう見ても俺より年下だよな……。
名前、龍彦くんだったよな。
こんなに優しく慰めてくれる子に話を聞いてもらえて良かった。
そんな風に思っていれば、店員さんがこちらにやってきた。
「ラストオーダーになります」
「もうそんな時間かぁ……出張だったから、お泊まりセットはここにあるんだけど……行く所なんかないなぁ……今からじゃその辺のホテルなんて取れないかなぁ?」
悩んでいると龍彦くんが、ガシッと手を握って来てびっくりする。
「なら、うちに来ればいいじゃないですか!」
「本気で言ってんの?」
思わず笑ってしまう。
でも、龍彦くんが真剣に見つめるから笑いを引っ込めた。
「ありがたいけどぉ……俺、龍彦くんに何もしてやれないよぉ?」
「いいんです! 正親さんが僕の家に来てくれるだけで充分ですよ!」
「本当? じゃあお邪魔しちゃおっかなぁ」
「はい! ぜひ!」
やっぱり俺は相当酔っていたんだと思う。
それに、彼氏に浮気されて、どうでもいいって気持ちもあったと思うんだ。
じゃなきゃ知らない相手の家に行く事なんてなかったはずだ。
◆◇◆
オートロックの豪華なマンション。
なんの仕事をしているのか気になるけれど、今はそれどころじゃない。
「あ……龍彦くん……待って……俺、そんなつもりじゃ……」
「正親さん……」
家に入った途端、両腕を取られた。
そのままドアに押し付けられて、物欲しそうに見つめられた。
薄い唇は柔らかそうだ……。
俺はキツめな顔をしているから、俺とは大違いのイケメンに見つめられてドキドキする。
「正親さん……抱かせて下さい。お願いします……」
一晩泊めてもらうのに体で払うのか。
それもありなのかな……。
でも、初めて会った子と?
「すごくキスしたいです……あなたに触れたいです……ダメですか?」
恋人がいても、こんな風に激しく求められるは久しぶりだった。
それに……今は人肌が恋しい……。
一回だけなら……。
俺の理性は、彼氏の浮気とアルコールとこの場の雰囲気にいとも簡単に失われた。
「わかった……いいよ」
そう返すと、龍彦くんはすかさず俺の唇を奪った。
激しく口内を舐め回されて、ついて行くのに精一杯だ。
「た、龍彦くん……待って」
「待てません……ほら、僕、こんなにも正親さんの事求めてます……待てなんて言わないで下さい……」
耳元で囁かれて、太ももに龍彦くんのモノを押し付けられた。
まぁ立派。
キスだけでこんなになってくれるなんて胸がキュンとした。
龍彦くんの首に腕を回した。
「違う。ここじゃやだ……ベッドで……ちゃんと抱いて?」
龍彦くんの顔がパッと明るくなった。
「はい!」
めちゃくちゃいい返事だった。
俺は会社員で、出張があって……。
出張から予想外で早く帰れれば、恋人が待つ家に一直線に帰ろうって思うじゃん。
恋人のケンちゃんは、早く帰れた事を喜んでくれると思ったんだ。
だけど、アパートの扉を開けたら知らない靴があったんだ。
嫌な予感はするけれど、ケンちゃんは、新しい靴を買ったのかもしれないって希望なんか持っちゃって……。
気を取り直して、リビングに行けば、寝室からあんあん聞こえてきちゃって……。
『ケンちゃぁぁん。もっとぉ……』
『お前はいつも欲しがりだな』
呆然としたよね……。
ケンちゃん……そう呼んでんの俺だけじゃなかったんだよ。
ベッドが激しく軋む音がして……。
いつもって言ってたし、どう考えても初めての浮気とかじゃないわけで……。
俺と毎日一緒に寝てるベッドの上でいつもそんな事してたと思うと吐きそうになったね。
君ならどうする?
大好きな恋人が自分の出張中に浮気だぞ⁉︎
①突撃する
②そのまま出ていく
まぁ、どっちかの選択しかないわけで……。
俺の場合は……②だったんだ。
恋人と知らない誰かが裸で抱き合っているシーンなんて見たくなかったからな……。
でもさ、そのまま出て行くのも悔しいだろ?
だから、寝室のドアをドカッと蹴って『別れる!』って叫んでから家を出てきたんだぁ……。
電話がガンガン来たけど、言い訳なんか聞きたくないし、話なんかしたくないから着信拒否にしてやった。
と、ここまでを居酒屋でやけ酒していた俺に、声を掛けてきた知らない男の子にぶちまけた。
俺も相当酔っていたんだと思う。
知らない子だし、まぁいっかってそんな気持ちだったし、この暗く陰った気持ちを誰かに聞いて欲しかったんだ。
「それは辛かったですね。でも、そんな男と別れられて良かったんですよ」
話を聞いて慰めてくれる子をじっと見つめる。
キリッとした眉に二重で少し目尻が下がっていて人懐っこい感じがする子だった。
どう見ても俺より年下だよな……。
名前、龍彦くんだったよな。
こんなに優しく慰めてくれる子に話を聞いてもらえて良かった。
そんな風に思っていれば、店員さんがこちらにやってきた。
「ラストオーダーになります」
「もうそんな時間かぁ……出張だったから、お泊まりセットはここにあるんだけど……行く所なんかないなぁ……今からじゃその辺のホテルなんて取れないかなぁ?」
悩んでいると龍彦くんが、ガシッと手を握って来てびっくりする。
「なら、うちに来ればいいじゃないですか!」
「本気で言ってんの?」
思わず笑ってしまう。
でも、龍彦くんが真剣に見つめるから笑いを引っ込めた。
「ありがたいけどぉ……俺、龍彦くんに何もしてやれないよぉ?」
「いいんです! 正親さんが僕の家に来てくれるだけで充分ですよ!」
「本当? じゃあお邪魔しちゃおっかなぁ」
「はい! ぜひ!」
やっぱり俺は相当酔っていたんだと思う。
それに、彼氏に浮気されて、どうでもいいって気持ちもあったと思うんだ。
じゃなきゃ知らない相手の家に行く事なんてなかったはずだ。
◆◇◆
オートロックの豪華なマンション。
なんの仕事をしているのか気になるけれど、今はそれどころじゃない。
「あ……龍彦くん……待って……俺、そんなつもりじゃ……」
「正親さん……」
家に入った途端、両腕を取られた。
そのままドアに押し付けられて、物欲しそうに見つめられた。
薄い唇は柔らかそうだ……。
俺はキツめな顔をしているから、俺とは大違いのイケメンに見つめられてドキドキする。
「正親さん……抱かせて下さい。お願いします……」
一晩泊めてもらうのに体で払うのか。
それもありなのかな……。
でも、初めて会った子と?
「すごくキスしたいです……あなたに触れたいです……ダメですか?」
恋人がいても、こんな風に激しく求められるは久しぶりだった。
それに……今は人肌が恋しい……。
一回だけなら……。
俺の理性は、彼氏の浮気とアルコールとこの場の雰囲気にいとも簡単に失われた。
「わかった……いいよ」
そう返すと、龍彦くんはすかさず俺の唇を奪った。
激しく口内を舐め回されて、ついて行くのに精一杯だ。
「た、龍彦くん……待って」
「待てません……ほら、僕、こんなにも正親さんの事求めてます……待てなんて言わないで下さい……」
耳元で囁かれて、太ももに龍彦くんのモノを押し付けられた。
まぁ立派。
キスだけでこんなになってくれるなんて胸がキュンとした。
龍彦くんの首に腕を回した。
「違う。ここじゃやだ……ベッドで……ちゃんと抱いて?」
龍彦くんの顔がパッと明るくなった。
「はい!」
めちゃくちゃいい返事だった。
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