男装の公爵令嬢ドレスを着る

おみなしづき

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それからの三人

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 部屋でたっぷり遊んでいたら時間を忘れていた。
 侍女にそろそろレオを帰した方がいいと言われた事でそれに気付く。

「すっかり忘れていたな」
「僕も」
「三人で怒られよう」

 そんな話をしながらレオを城に送って行けば、もちろんこっぴどく怒られた。
 三人して正座だ。私とギルだけだったら石畳の上だっただろうが、レオがいるので下が絨毯である城の一室でだ。
 父に説教される。
 騎士団長として、王族の護衛や城の警護をしている団員の指揮をしたり、自身も同じ仕事をしているのでいつも城にいるのだ。
 レオの護衛に謝って、二度としませんと言わされた。

「護衛の仕事を甘く見るんじゃない。俺の部下になんて事をするんだ。レオフィルド殿下を捜し回ってクタクタだぞ」
「「「申し訳ありません」」」
「何かあってからじゃ遅いんだ。お前達が無事でいられたのは幸運だったのだと思え」
「「「はい」」」
「だが──俺の部下を巻いて逃げ切った事は褒めてやろう」

 その言葉でパッと顔を上げて父を見れば、ニヤリと笑った。
 どうやら説教は終わりのようだ。
 
「お前達も反省したようだから、これで終わりとする。立っていい」

 ホッとして立ち上がれば、父は今度はレオの護衛達に向き直った。
 
「レオフィルド殿下の護衛を最後までやり切れなかった自分を恥じろ。食らいつく気持ちが足りない! これから鍛錬に行くぞ!」
「「「「はい!」」」」

 返事は逞しかったけれど、レオの護衛達が一気に青くなっていた。気の毒だった……。
 そのまま行ってしまう前に父に声を掛けた。

「父さん、お願いがあります」
「なんだ?」
「レオフィルド殿下が、私という友人に会う為に城の外に出る許可が陛下から欲しいのです。その際に、一緒に街に行って遊ぶ許可も必要です」

 父の目が鋭く光った。

「それは、護衛を連れずに歩き回ると言うことか──?」
「何があっても、私とギルが命をかけてレオフィルド殿下を守ります」
「アデルッ!」

 レオが驚いたように名前を呼んだ。
 それに笑顔で答えれば、泣き出しそうな顔をする。
 改めて父に向き直ってお願いする。

「ですので、護衛の人達は一定の距離を保って干渉せず、私達を見守って欲しいのです。そう陛下に提案して頂けますか?」

 逃げ回るよりは、許可をもらって堂々と街を歩く方がいいに決まっている。
 その遊びだって国民の生活を知るには良い事だろう。

「俺からもお願いします」

 勝手にギルの命も賭けたというのに、その事について怒るでもなく、ギルも一緒にお願いしてくれるとは嬉しい。
 私はギルのこういう所が好ましい。

「ギルバート……」

 レオもギルに対して感激している様子だった。
 父は、頷いて嬉しそうに私とギルの頭を撫でてくれた。

「ぜひ伝えよう」

 レオは、泣き出しそうだった顔をキリッとした顔に変えると父に向き直る。

「僕からもお願いしようと思います。一緒に父上を説得して下さいますか?」
「はい。もちろんです」

 そうして、レオの逃亡劇は幕を閉じる。

 レオはその後、陛下から許可をもらい、ちょくちょくシドラスの屋敷に遊びに来るようになる。
 私とギルは鍛錬している事が多いので、レオもそれに参加するようになる。
 現在は、その辺の男より強いだろう。
 もちろん街で遊ぶこともたくさんあった。
 リンゴ飴も何個も食べた。
 三人で共に過ごした時間は、かけがえのないものだった。

     ◆◇◆

 そんなふたりからの婚約の申し込みは、素直に嬉しい。
 ギルは寡黙だけれど優しいやつだし、レオは見た目が可愛らしいのにしっかりしている。
 けれど、どちらかに決めるとなると……全く決まらない。
 私は、手紙を仕舞うと考えることをやめた。
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