同室のイケメンに毎晩オカズにされる件

おみなしづき

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4夜目

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 さすがに俺も考えた。
 浬より遅く寝ればいいんだ。
 そう思って、勉強机に向かう浬の背中をこっそり見ながら浬が寝るのを待った。
 二段ベッドの下段でスマホをいじっていたけれど……。
 夜の10時には寝てしまう俺……やばい……眠い……。

「ふあぁぁ……」

 盛大な欠伸をすれば、浬がこちらを振り向いた。

「ユキ? いつもなら寝ている時間でしょ? 寝たら?」

 寝たら大変な事になりそうで寝れないんだって。

「うぅーん……浬はいつも何時に寝てんの?」

 いつも俺より遅いから全くわからない。

「12時だったり、1時だったり、それ以降かな?」

 まじかよ……そんなに起きていられない。
 この作戦は失敗だ。俺は寝る。
 睡眠欲には勝てない。

「浬ぃ……おやすみぃ……」
「ユキ、おやすみ」

 優しく微笑む浬を見ながら目を閉じた。

     ◆◇◆

 ──っ!

 く、唇になんか感触が……スーッと右から左に動いた。
 あ……指っぽい。
 良かった……浬の唇じゃなかった。

 今日は仰向けで寝ていたみたいだ。

 その指がスッと下に移動して首をスーッとなぞった。

 ゾワゾワする!

 心臓がドキドキと鳴り始める。

 そっと鎖骨を確かめるかの様にまたスーッと指が動いた。

 これ、起きるべきだろ!
 よし、起きるよ! 俺は起きる!

「こんな事バレたら嫌われるよな……」

 毎晩オカズにされているみたいだけれど、不思議な事に嫌いにはなっていないと気付く。

「起きたら無理矢理にでもやっちゃおう。嫌われるなら同じだし」

 なんだと……?
 今不吉な事を言わなかったか?
 やるって言ったか?
 やるって何をだ! 俺の思ってるアレじゃないよな⁉︎

 起きれないじゃないか!

 スッと手が離れればホッと安心した。

 次は髪をそっと撫でられた。
 またしてもドキドキと鳴る心臓。
 起きていると知られたらやられる!
 心臓を止めたい!
 って止めたら死ぬな……。

「透のやつ……気軽に触るなよな」

 お前もな!

 手が離れれば、ジッと観察されている気がして全く動けない。

 衣ずれの音がして、いつもの吐息が聞こえた。
 毎晩って……どれだけ性欲強いんだ。

「ユキの寝顔見てると我慢できない……」

 浬くん、俺じゃなかったら怒られてるからね?

「触りたい……」

 ダメですよ! お触りは禁止ですよ!

 ──チュッ。

 唇に柔らかい感触が……。
 とうとうやられた……
 お前、それファーストキスだからな!

「いつしてもたまらない感触……」

 いつもこっそりしてんじゃねぇよ!

     ◆◇◆

「ユキ? 学校が休みでも朝食は食べに行くんでしょ? 目覚まし鳴ったら起きなよ」

 ダメだ……浬のせいで寝不足。

「起きないとキスするよ」

 バッと起き上がって浬を睨む。

「起きたね」

 ニコニコしてらっしゃいますが、キスしたよね? もう既にしたよね?

「先に行っていいの?」
「すぐ用意するよ……」

 毎晩これじゃ寝不足になる。
 寮の部屋変えて貰おうかな。

 でも……。

 浬にはいつもお世話になっている。
 起こしてくれるのもそうだし、同じ部屋にいても気が楽だ。
 相性は悪くない。
 勉強も教えてくれるし、オカズにされている事以外は何も悪いところが無い。
 むしろ浬は優しいし、気がきく。
 俺は同室が浬で良かったと思っている。
 それを変更するのも、あまり気が進まないんだよな……。
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