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魔族の恋人
揶揄わないで *
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来る時と同じようにお姫様抱っこで城に戻る。
バルコニーについてもお姫様抱っこのままだった。
「足フラフラだろ? どこ行くんだ? 連れて行ってやるよ」
正直ありがたい。
「それなら、お風呂入りたいから、そこまで連れてってくれる?」
「ああ」
スタスタと歩いて脱衣所でそっと降ろされた。
まだ立てない。
立てるまで待とうとしたけれど、ラムカに服を脱がされそうになる。
「ちょ、ちょっと⁉︎ そこまで頼んでない!」
「甘えとけよ」
「やだってば!」
抵抗虚しく全裸にされた。
羞恥心で真っ赤になりながらキッと睨む。
「可愛い抵抗するなって」
ラムカは笑いながら服を脱ぎだした。
慌てて視線を逸らした。
「何考えてんの⁉︎」
「風呂に入れてやるんだよ。俺も入ろうと思ってたから丁度いいだろ?」
「いいよ! やめてよ!」
「もう遅い」
そのままお姫様抱っこされて、浴室へ連れてかれる。
腰が抜けているので、暴れるのもラムカをポカポカと叩くぐらいだ。
浴室にあった椅子に座らされて、頭を洗われた。
「泡が目に入るよぉ!」
「はははっ」
乱暴だよ……!
浴室内は、ちょっとした銭湯みたいでいいのだけれどシャワーがない。
ジャバーッと頭からお湯を掛けられてギュッと目を閉じる。
一生懸命に顔についた水を切っていれば、背後から腰に腕が回ってきて椅子からラムカの胡座の上に移動させられた。
胡座の上にちょこんと座る形になる。
足に力が入らなくてまだ立てない!
「やめてってば!」
「ほら、抵抗するな。気持ち良く洗ってやるって」
もこもこの泡をつけて、ラムカの手が体を這う。
優しくも撫でるような手つきがゾクゾクする。
足の指まで丁寧に撫でるから気持ち良くなってくる。
首筋をチュッと音を立てて吸われた。
「んっ……それ! 洗うのと違う!」
「そうか? お前の肌、触り心地いいな……それに……なんか……甘い……」
首筋に何度もキスされて舐められながら、胸を両手でクルクルと洗われる。
勃ちあがった胸の尖りを更にイジられる。
「あっ……そんな風にしたら……ダメだって……!」
ラヴィアスが毎日イジっていたから胸はもう気持ちがいい。
ラムカの手は俺のモノへ伸ばされて、上下に動かして洗われた。
泡のおかげで滑りがいい。
「もう……やめて……」
羞恥心と気持ち良さで震える。
ラムカは、クスクスと笑う。
「勃ってんじゃん」
ムクムクと勃ち上がってきていた自分のモノが硬くなっていくのがわかる。
「やめて……お願い……」
背後を振り返って涙目でラムカに訴える。
「すっげぇそそる……」
ラムカは涙の溜まった目元をペロリと舐めた。
すると、驚いて目を見開いた。
「お前……体液も甘いのか……? おい、もっとこっち向け」
強引にキスされて、口内を舐め回される。
その間も手は止まらずに動かされる。
「は、ははっ……たまらないな……。俺さぁ……お前が本気で欲しくなった……」
熱のこもった声音は冗談に聞こえない。
腕を掴んで必死で止めようとする。
「んっ、あっ、いやだってば……!」
「本当に嫌か? ビクビク震えて……体は正直だ。ほら、イケよ」
「やだやだ……! もうやめてよぉ……!」
ボロボロと涙をこぼして泣きながら訴えれば、ラムカの動きがピタリと止まった。
ひっくと嗚咽が漏れる。
「なんだよ……そんなに泣くなよ……」
「やだってばぁ……」
ラムカは、チッと舌打ちして手を離すと、体を流してから風呂から出してくれた。
服を着せられている間もずっと涙が止まらなかった。
「悪かったって……泣くなよ……」
これが泣かずにいられますか……?
もう少しでイカされそうだった。
「魔族はさ、気持ちいい事が大好きだから……」
「俺は、そういう事は好きな人としかしたくない……」
「ラヴィアスだけ……って事か?」
コクリと頷けば、どうしてかラムカが苦しそうな顔をする……。
「あいつが何しているか知らないのにな……」
「何それ……」
お姫様抱っこでベッドに連れてかれてそっと降ろされる。
ベッドの端に座りながら、俺の頭を撫でた。
「最初はちょっと揶揄うつもりで……でも、お前が可愛いから止まらなくなって……」
「嫌い……もう出てってよぉ……」
「そう言うなって。機嫌直せよ……」
ラムカは俺が泣いている間、ずっと頭を撫でていた。
「なぁ、ごめんって。お前に泣かれると……なんか……嫌なんだよ……」
「やめてって言ったのに……」
「もうしねぇから……一緒に寝ていい?」
ラムカの情けない顔は、知り合ったばかりの時には想像もできない顔だった。
「リディオ……な? お願いだよ……」
「………………寝るだけだからね……」
小さい声でそう言えば、嬉しそうにして横になり、俺をそっと抱きしめた。
「お前の嫌な事はしない。だから、会いに来ていいだろ?」
「うん……俺も一人は嫌だ……ラムカと出かけたの楽しかったから……いいよ……」
「ありがとな」
ラムカに悪気があったわけじゃないのはわかる。
俺はラムカを許すことにした。
◆◇◆
「リディオ、来たぞ」
「ラムカ!」
「なぁ、キスはしていい?」
「やだ」
「いいだろ?」
「やだ」
「けち……」
「やだよ……」
「隙あり」
チュッ。
「やだって言ったのに……」
「ははっ。これ以上はしないからさ」
「出てって」
「ごめんてぇ……」
「嫌い」
「俺は好き」
「俺はラヴィアスが好き」
「なんだよ……もう来ないからな」
「いいよ。バイバイ」
「嘘だってぇ~」
こんな会話に思わず笑ってしまう。
ラムカは、毎日俺の部屋に来て、話し相手になってくれた。
ラヴィアスに会えない時間をラムカが埋めてくれた。
バルコニーについてもお姫様抱っこのままだった。
「足フラフラだろ? どこ行くんだ? 連れて行ってやるよ」
正直ありがたい。
「それなら、お風呂入りたいから、そこまで連れてってくれる?」
「ああ」
スタスタと歩いて脱衣所でそっと降ろされた。
まだ立てない。
立てるまで待とうとしたけれど、ラムカに服を脱がされそうになる。
「ちょ、ちょっと⁉︎ そこまで頼んでない!」
「甘えとけよ」
「やだってば!」
抵抗虚しく全裸にされた。
羞恥心で真っ赤になりながらキッと睨む。
「可愛い抵抗するなって」
ラムカは笑いながら服を脱ぎだした。
慌てて視線を逸らした。
「何考えてんの⁉︎」
「風呂に入れてやるんだよ。俺も入ろうと思ってたから丁度いいだろ?」
「いいよ! やめてよ!」
「もう遅い」
そのままお姫様抱っこされて、浴室へ連れてかれる。
腰が抜けているので、暴れるのもラムカをポカポカと叩くぐらいだ。
浴室にあった椅子に座らされて、頭を洗われた。
「泡が目に入るよぉ!」
「はははっ」
乱暴だよ……!
浴室内は、ちょっとした銭湯みたいでいいのだけれどシャワーがない。
ジャバーッと頭からお湯を掛けられてギュッと目を閉じる。
一生懸命に顔についた水を切っていれば、背後から腰に腕が回ってきて椅子からラムカの胡座の上に移動させられた。
胡座の上にちょこんと座る形になる。
足に力が入らなくてまだ立てない!
「やめてってば!」
「ほら、抵抗するな。気持ち良く洗ってやるって」
もこもこの泡をつけて、ラムカの手が体を這う。
優しくも撫でるような手つきがゾクゾクする。
足の指まで丁寧に撫でるから気持ち良くなってくる。
首筋をチュッと音を立てて吸われた。
「んっ……それ! 洗うのと違う!」
「そうか? お前の肌、触り心地いいな……それに……なんか……甘い……」
首筋に何度もキスされて舐められながら、胸を両手でクルクルと洗われる。
勃ちあがった胸の尖りを更にイジられる。
「あっ……そんな風にしたら……ダメだって……!」
ラヴィアスが毎日イジっていたから胸はもう気持ちがいい。
ラムカの手は俺のモノへ伸ばされて、上下に動かして洗われた。
泡のおかげで滑りがいい。
「もう……やめて……」
羞恥心と気持ち良さで震える。
ラムカは、クスクスと笑う。
「勃ってんじゃん」
ムクムクと勃ち上がってきていた自分のモノが硬くなっていくのがわかる。
「やめて……お願い……」
背後を振り返って涙目でラムカに訴える。
「すっげぇそそる……」
ラムカは涙の溜まった目元をペロリと舐めた。
すると、驚いて目を見開いた。
「お前……体液も甘いのか……? おい、もっとこっち向け」
強引にキスされて、口内を舐め回される。
その間も手は止まらずに動かされる。
「は、ははっ……たまらないな……。俺さぁ……お前が本気で欲しくなった……」
熱のこもった声音は冗談に聞こえない。
腕を掴んで必死で止めようとする。
「んっ、あっ、いやだってば……!」
「本当に嫌か? ビクビク震えて……体は正直だ。ほら、イケよ」
「やだやだ……! もうやめてよぉ……!」
ボロボロと涙をこぼして泣きながら訴えれば、ラムカの動きがピタリと止まった。
ひっくと嗚咽が漏れる。
「なんだよ……そんなに泣くなよ……」
「やだってばぁ……」
ラムカは、チッと舌打ちして手を離すと、体を流してから風呂から出してくれた。
服を着せられている間もずっと涙が止まらなかった。
「悪かったって……泣くなよ……」
これが泣かずにいられますか……?
もう少しでイカされそうだった。
「魔族はさ、気持ちいい事が大好きだから……」
「俺は、そういう事は好きな人としかしたくない……」
「ラヴィアスだけ……って事か?」
コクリと頷けば、どうしてかラムカが苦しそうな顔をする……。
「あいつが何しているか知らないのにな……」
「何それ……」
お姫様抱っこでベッドに連れてかれてそっと降ろされる。
ベッドの端に座りながら、俺の頭を撫でた。
「最初はちょっと揶揄うつもりで……でも、お前が可愛いから止まらなくなって……」
「嫌い……もう出てってよぉ……」
「そう言うなって。機嫌直せよ……」
ラムカは俺が泣いている間、ずっと頭を撫でていた。
「なぁ、ごめんって。お前に泣かれると……なんか……嫌なんだよ……」
「やめてって言ったのに……」
「もうしねぇから……一緒に寝ていい?」
ラムカの情けない顔は、知り合ったばかりの時には想像もできない顔だった。
「リディオ……な? お願いだよ……」
「………………寝るだけだからね……」
小さい声でそう言えば、嬉しそうにして横になり、俺をそっと抱きしめた。
「お前の嫌な事はしない。だから、会いに来ていいだろ?」
「うん……俺も一人は嫌だ……ラムカと出かけたの楽しかったから……いいよ……」
「ありがとな」
ラムカに悪気があったわけじゃないのはわかる。
俺はラムカを許すことにした。
◆◇◆
「リディオ、来たぞ」
「ラムカ!」
「なぁ、キスはしていい?」
「やだ」
「いいだろ?」
「やだ」
「けち……」
「やだよ……」
「隙あり」
チュッ。
「やだって言ったのに……」
「ははっ。これ以上はしないからさ」
「出てって」
「ごめんてぇ……」
「嫌い」
「俺は好き」
「俺はラヴィアスが好き」
「なんだよ……もう来ないからな」
「いいよ。バイバイ」
「嘘だってぇ~」
こんな会話に思わず笑ってしまう。
ラムカは、毎日俺の部屋に来て、話し相手になってくれた。
ラヴィアスに会えない時間をラムカが埋めてくれた。
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