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入学後
四人部屋 メルフィス視点
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先生達にディノ達と一緒の部屋がいいと掛け合うとあっさり了承された。
「と、いうわけで、今日からメルフィスも同じ部屋です」
「どういうわけ……」
ニコニコするディノに、ケフィンの顔が引きつっている。
「ディノは、案外自分の思った通りに動く人なんだね……」
エーベルトにもため息混じりで言われている。
「だ、だめだったか……?」
そうだよな……俺と一緒なんて嫌だろう……。
ディノが特殊なんだ……。
シュンとしながら言えば、二人は首を横に振った。
「とんでもない! 王族なんてどう接したらいいのかわからないんですよ。言葉遣いで不敬とかなります?」
「お前達には普通の同級生として接して欲しい」
「あー良かった。じゃあメルフィス。よろしくな」
ニカッと笑うケフィンの順応性の高さに驚く。
「僕もなるべくみんなと同じようにするからね」
「ああ。ありがとう」
ケフィンもエーベルトも俺を受け入れてくれた。
今日から四人部屋……やばい……嬉しい。
微笑ましい光景に心が温かくなる。
「それじゃ、みんなで飯行くか」
ケフィンの言葉に頷いて、みんなでご飯を食べに行った。
その日の夕食はいつもより美味しく感じた。
◆◇◆
風呂は部屋に添え付けの浴室があるのでそこに順番で入る。
風呂からあがると、ケフィンは自分のベッドでゴロゴロしていて、エーベルトはソファに座っていた。
最後に風呂に行ったのはディノだった。
エーベルトが俺に声を掛けてくれる。
「メルフィス、僕の特性ブレンド茶、飲む?」
「え?」
「おい。王子なんだから毒味とか必要なんじゃないか?」
「あ、そっか」
「いや! そんな事ない。もらおう」
う、嬉しい~~~!
今まで一人部屋で、お風呂上がりにお茶を飲もうなんて言ってくれる人はいなかった。
エーベルトの対面にあるソファに座れば、俺の前にブレンド茶を置いてくれた。
ニコニコしてくれるエーベルトに感謝してお茶を飲む。
ミントのような爽やかさが鼻に抜けて風呂上がりの火照った体に丁度いい。
「美味しい……あ、ありがとう……」
照れるけれど、お礼を伝える事は大事だ。
「ふふっ。どういたしまして」
エーベルトはなんだか安心する雰囲気がある。
「俺にもくれよ」
「もう、仕方ないなぁ」
エーベルトは、ケフィンにもお茶を入れてあげた。
すると、ケフィンは当たり前のように俺の隣にやってきた。
隣に座ってくれるなんて……感動だ……!
嬉しくて赤くなる顔を手で隠す。
「教えておくぞ。ディノからはお茶をもらうなよ」
ケフィンがため息混じりで言った。
「え? なんでだ?」
「この前苦いお茶飲まされた。あいつ性格悪いんだよ。タチの悪いイタズラばっかりするんだ。吹き出したらそれ見てめちゃくちゃ笑うんだぞ!」
想像できるな……。
「ふふっ。でも、僕にはしないよ。されるのはケフィンだけ」
そういえば、俺は揶揄われたのを思い出す。人を見ているらしい。それなら俺はやられる可能性がある……なんか悔しい。
「年上のくせに子供っぽいんだ」
ケフィンの意見にエーベルトと一緒に同意して笑う。
そのうちにディノが戻ってきた。
「あ。ずるい。僕の分のお茶もください」
「はいはい」
エーベルトって世話好きなのかな。
ディノの分のお茶を持って戻ってくる。
ディノはエーベルトの隣に座って髪を拭く。
濡れた髪に色気を感じてドキリとした。
なんでディノなんかにドキドキするんだ……。
「エーベルト、拭いて下さい」
「本当めんどくさがりなんだから」
ディノは、エーベルトにタオルを手渡して後ろを向いて、わしゃわしゃと拭かれている。
ディノが動物みたいに可愛く思えて、俺もやってあげたいと思ってしまった……。
「髪を拭くの面倒です。今度髪を乾かす魔道具作ろうかな……」
「え? そんなの出来るの?」
「髪を乾かせるくらいの風が出る魔法陣を作って魔道具に刻めば、できなくはないと思いますよ」
魔法陣を作る? 本気か?
なんでもない事のように言っているけれど、独自の魔法陣を作るのは案外難しい。
脳内のイメージを陣にそのまま反映させるのは、ズレが生じる場合が多いからだ。
できない訳じゃないけれど、時間は掛かるだろう。
まさか髪を乾かす為だけに本当に自分で作ろうなんて思ってないよな?
ケフィンとエーベルトと顔を見合わせる。
二人とも同じように思っているようだった。
「と、ところで、メルフィスのベッドは?」
そういえばそうだ。
ケフィンに言われて思い出す。
「それが、急だからベッドは明日届くみたいなんですよね」
「え? じゃあ、どうするつもりなんだ?」
ケフィンが俺の代わりに問いかけてくれる。
「僕と一緒に寝ればいいんじゃないですか? メルフィス、あっちが僕のベッドですよ。眠くなったら横になって下さい」
ディノはそう言って自分のベッドを指差した。
一緒に……寝る? ディノと……?
なんでもないように言っているのは、俺を意識していないとわかっているけれど、問題は俺だ!
ディノとなんて眠れる自信がない……!
助けて欲しいとケフィンとエーベルトを見つめたけれど、思い切り視線を逸らされた。
◆◇◆
観念してベッドに入ったけれど、全く眠れなかった。
そっと隣で眠るディノを窺う。
目を閉じているとまつ毛が長いのだとわかる。
暗闇でもわかるくらい白い肌が浮かび上がって見えて綺麗だ。
薄い唇は柔らかそうで、触れたいような欲求に襲われた。
くそ……なんでこんなに意識してるんだ……欲求不満かよ……。
ゴロリとディノに背を向ける。
今まで、俺が意識した事があるのはエルドだけだ。
リンゼイの『今でも好きだよ』と言った時の顔を思い出す。
俺は、エルドの事は憧れていただけで、リンゼイみたいに強い想いはないと思う──……。
じゃあディノは……?
背後にディノがいるというだけで、胸がドキドキする。
これ以上は考えるな!
布団を被ってやり過ごした。
◆◇◆
「メルフィス? 寝れたか?」
「ああ……」
ケフィンに起こされて眠い目を擦りながら上半身を起こす。
どうにか寝れたみたいだ……。
「ディノ?」
と、ディノも起こそうとして背後を振り返ってベッドから跳ね起きた。
「な……っ! なんでこいつ裸なんだ!」
信じられない。
いつから裸だった!? 布団に入った時からか!?
「気付かなくてよかったな」
「裸で寝るのが好きなんだそうだよ」
ケフィンとエーベルトに苦笑いされた。
こいつら知っていたな!
「二人も知っていたなら教えろよ!」
「ベッド無いんだからしょうがないだろ?」
「知らなかったから寝れたでしょ? それにパンツは履いてるからね」
だったらお前らがベッド貸せば良かっただろと言いたいが、俺は後からきた居候みたいなものだ。
グッと堪えて押し黙る。
「うるさいですよ……」
ディノから聞こえた声にビクッとする。
体を起こすな! こっちを見るな!
男の裸なんて見慣れているはずなのに、真っ赤になってプルプルと震える。
「早く服を着ろーーーーっ!」
俺の叫びが室内にこだまする。
この先がものすごく不安になった……。
「と、いうわけで、今日からメルフィスも同じ部屋です」
「どういうわけ……」
ニコニコするディノに、ケフィンの顔が引きつっている。
「ディノは、案外自分の思った通りに動く人なんだね……」
エーベルトにもため息混じりで言われている。
「だ、だめだったか……?」
そうだよな……俺と一緒なんて嫌だろう……。
ディノが特殊なんだ……。
シュンとしながら言えば、二人は首を横に振った。
「とんでもない! 王族なんてどう接したらいいのかわからないんですよ。言葉遣いで不敬とかなります?」
「お前達には普通の同級生として接して欲しい」
「あー良かった。じゃあメルフィス。よろしくな」
ニカッと笑うケフィンの順応性の高さに驚く。
「僕もなるべくみんなと同じようにするからね」
「ああ。ありがとう」
ケフィンもエーベルトも俺を受け入れてくれた。
今日から四人部屋……やばい……嬉しい。
微笑ましい光景に心が温かくなる。
「それじゃ、みんなで飯行くか」
ケフィンの言葉に頷いて、みんなでご飯を食べに行った。
その日の夕食はいつもより美味しく感じた。
◆◇◆
風呂は部屋に添え付けの浴室があるのでそこに順番で入る。
風呂からあがると、ケフィンは自分のベッドでゴロゴロしていて、エーベルトはソファに座っていた。
最後に風呂に行ったのはディノだった。
エーベルトが俺に声を掛けてくれる。
「メルフィス、僕の特性ブレンド茶、飲む?」
「え?」
「おい。王子なんだから毒味とか必要なんじゃないか?」
「あ、そっか」
「いや! そんな事ない。もらおう」
う、嬉しい~~~!
今まで一人部屋で、お風呂上がりにお茶を飲もうなんて言ってくれる人はいなかった。
エーベルトの対面にあるソファに座れば、俺の前にブレンド茶を置いてくれた。
ニコニコしてくれるエーベルトに感謝してお茶を飲む。
ミントのような爽やかさが鼻に抜けて風呂上がりの火照った体に丁度いい。
「美味しい……あ、ありがとう……」
照れるけれど、お礼を伝える事は大事だ。
「ふふっ。どういたしまして」
エーベルトはなんだか安心する雰囲気がある。
「俺にもくれよ」
「もう、仕方ないなぁ」
エーベルトは、ケフィンにもお茶を入れてあげた。
すると、ケフィンは当たり前のように俺の隣にやってきた。
隣に座ってくれるなんて……感動だ……!
嬉しくて赤くなる顔を手で隠す。
「教えておくぞ。ディノからはお茶をもらうなよ」
ケフィンがため息混じりで言った。
「え? なんでだ?」
「この前苦いお茶飲まされた。あいつ性格悪いんだよ。タチの悪いイタズラばっかりするんだ。吹き出したらそれ見てめちゃくちゃ笑うんだぞ!」
想像できるな……。
「ふふっ。でも、僕にはしないよ。されるのはケフィンだけ」
そういえば、俺は揶揄われたのを思い出す。人を見ているらしい。それなら俺はやられる可能性がある……なんか悔しい。
「年上のくせに子供っぽいんだ」
ケフィンの意見にエーベルトと一緒に同意して笑う。
そのうちにディノが戻ってきた。
「あ。ずるい。僕の分のお茶もください」
「はいはい」
エーベルトって世話好きなのかな。
ディノの分のお茶を持って戻ってくる。
ディノはエーベルトの隣に座って髪を拭く。
濡れた髪に色気を感じてドキリとした。
なんでディノなんかにドキドキするんだ……。
「エーベルト、拭いて下さい」
「本当めんどくさがりなんだから」
ディノは、エーベルトにタオルを手渡して後ろを向いて、わしゃわしゃと拭かれている。
ディノが動物みたいに可愛く思えて、俺もやってあげたいと思ってしまった……。
「髪を拭くの面倒です。今度髪を乾かす魔道具作ろうかな……」
「え? そんなの出来るの?」
「髪を乾かせるくらいの風が出る魔法陣を作って魔道具に刻めば、できなくはないと思いますよ」
魔法陣を作る? 本気か?
なんでもない事のように言っているけれど、独自の魔法陣を作るのは案外難しい。
脳内のイメージを陣にそのまま反映させるのは、ズレが生じる場合が多いからだ。
できない訳じゃないけれど、時間は掛かるだろう。
まさか髪を乾かす為だけに本当に自分で作ろうなんて思ってないよな?
ケフィンとエーベルトと顔を見合わせる。
二人とも同じように思っているようだった。
「と、ところで、メルフィスのベッドは?」
そういえばそうだ。
ケフィンに言われて思い出す。
「それが、急だからベッドは明日届くみたいなんですよね」
「え? じゃあ、どうするつもりなんだ?」
ケフィンが俺の代わりに問いかけてくれる。
「僕と一緒に寝ればいいんじゃないですか? メルフィス、あっちが僕のベッドですよ。眠くなったら横になって下さい」
ディノはそう言って自分のベッドを指差した。
一緒に……寝る? ディノと……?
なんでもないように言っているのは、俺を意識していないとわかっているけれど、問題は俺だ!
ディノとなんて眠れる自信がない……!
助けて欲しいとケフィンとエーベルトを見つめたけれど、思い切り視線を逸らされた。
◆◇◆
観念してベッドに入ったけれど、全く眠れなかった。
そっと隣で眠るディノを窺う。
目を閉じているとまつ毛が長いのだとわかる。
暗闇でもわかるくらい白い肌が浮かび上がって見えて綺麗だ。
薄い唇は柔らかそうで、触れたいような欲求に襲われた。
くそ……なんでこんなに意識してるんだ……欲求不満かよ……。
ゴロリとディノに背を向ける。
今まで、俺が意識した事があるのはエルドだけだ。
リンゼイの『今でも好きだよ』と言った時の顔を思い出す。
俺は、エルドの事は憧れていただけで、リンゼイみたいに強い想いはないと思う──……。
じゃあディノは……?
背後にディノがいるというだけで、胸がドキドキする。
これ以上は考えるな!
布団を被ってやり過ごした。
◆◇◆
「メルフィス? 寝れたか?」
「ああ……」
ケフィンに起こされて眠い目を擦りながら上半身を起こす。
どうにか寝れたみたいだ……。
「ディノ?」
と、ディノも起こそうとして背後を振り返ってベッドから跳ね起きた。
「な……っ! なんでこいつ裸なんだ!」
信じられない。
いつから裸だった!? 布団に入った時からか!?
「気付かなくてよかったな」
「裸で寝るのが好きなんだそうだよ」
ケフィンとエーベルトに苦笑いされた。
こいつら知っていたな!
「二人も知っていたなら教えろよ!」
「ベッド無いんだからしょうがないだろ?」
「知らなかったから寝れたでしょ? それにパンツは履いてるからね」
だったらお前らがベッド貸せば良かっただろと言いたいが、俺は後からきた居候みたいなものだ。
グッと堪えて押し黙る。
「うるさいですよ……」
ディノから聞こえた声にビクッとする。
体を起こすな! こっちを見るな!
男の裸なんて見慣れているはずなのに、真っ赤になってプルプルと震える。
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