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間に合った? 蒼斗視点
しおりを挟む とぼとぼとカフェに戻れば、女性客はもういなかった。
圭介と和也は、叔父と楽しそうに話していて忙しくはなさそうだった。
「蒼斗、間に合った?」
圭介は俺に気付くと心配そうに問いかけてきた。
「間に合ったけど……間に合わなかった……かな……」
自分自身を嘲笑う。
せっかくトモくんが一緒に帰ろうって言ってくれたのに、俺が不機嫌っだったのが悪い。
店長は、何かを察したのか微笑んでくれる。
「蒼斗、片付けが終わったらあがっていいよ」
「ああ……はい」
テーブル席の片付けをして、洗い物を終えた。
服を着替えて戻ってきて、圭介と和也で一緒にカフェを出た。
辺りはもう暗くなっていて、行き交う人達が家路を急いでいた。
「圭介先輩って電車じゃないんですか?」
和也が圭介に問いかけた。
「俺はこれからお姉さんとデートなの」
圭介は得意げに笑う。今度は誰だ?
「何人もいるお姉さんとデートだとさ」
「蒼斗、人聞き悪いじゃん」
圭介は幼馴染で家も近いけれど、ほとんど家に帰っていない。両親は忙しいらしい。
だから、女性の家から学校に来るのは当たり前みたいな事になっている。
「和也は?」
「電車なんですけど、トモと八木澤先輩とは方向が違うんですよね」
だからいつも電車では見ないのか。
そんな風に話しているうちに駅に着く。
圭介は駅から女性の車に乗り込んだ。
和也と一緒に駅の改札を通る。
ホームが違うので和也とも別れた。
いつものホームの階段をいつもの足取りで下りる。
いつもと同じなのに、トモくんが居ないというだけで色褪せている気がした。
何度目かのため息をついた。
周りにはあまり人は居ない。
ベンチに座っている同じ学校の制服を見つけた。
こんな時間に同じ学校のやつとか珍し──その顔を見た瞬間、ドクンと心臓が跳ねた。
俺の体は無意識にその人の元へ走ったんだ。
そこにいるはずのない人がいた──。
圭介と和也は、叔父と楽しそうに話していて忙しくはなさそうだった。
「蒼斗、間に合った?」
圭介は俺に気付くと心配そうに問いかけてきた。
「間に合ったけど……間に合わなかった……かな……」
自分自身を嘲笑う。
せっかくトモくんが一緒に帰ろうって言ってくれたのに、俺が不機嫌っだったのが悪い。
店長は、何かを察したのか微笑んでくれる。
「蒼斗、片付けが終わったらあがっていいよ」
「ああ……はい」
テーブル席の片付けをして、洗い物を終えた。
服を着替えて戻ってきて、圭介と和也で一緒にカフェを出た。
辺りはもう暗くなっていて、行き交う人達が家路を急いでいた。
「圭介先輩って電車じゃないんですか?」
和也が圭介に問いかけた。
「俺はこれからお姉さんとデートなの」
圭介は得意げに笑う。今度は誰だ?
「何人もいるお姉さんとデートだとさ」
「蒼斗、人聞き悪いじゃん」
圭介は幼馴染で家も近いけれど、ほとんど家に帰っていない。両親は忙しいらしい。
だから、女性の家から学校に来るのは当たり前みたいな事になっている。
「和也は?」
「電車なんですけど、トモと八木澤先輩とは方向が違うんですよね」
だからいつも電車では見ないのか。
そんな風に話しているうちに駅に着く。
圭介は駅から女性の車に乗り込んだ。
和也と一緒に駅の改札を通る。
ホームが違うので和也とも別れた。
いつものホームの階段をいつもの足取りで下りる。
いつもと同じなのに、トモくんが居ないというだけで色褪せている気がした。
何度目かのため息をついた。
周りにはあまり人は居ない。
ベンチに座っている同じ学校の制服を見つけた。
こんな時間に同じ学校のやつとか珍し──その顔を見た瞬間、ドクンと心臓が跳ねた。
俺の体は無意識にその人の元へ走ったんだ。
そこにいるはずのない人がいた──。
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