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痴漢とは
しおりを挟む 痴漢とは、女性に対して淫らな行為を仕掛ける男のこと。
らしいが……男に対して淫らな行為を仕掛ける男はどうなんだろうか?
満員電車のドア側で片方の尻に男の象徴を押し付けられている男はそうそう居ないと思う。
最初は勘違いかと思った。
鞄が当たっているだけなのかと。
それに、俺は男だし、あり得ない事だと思い込んでいた。
けれど、いくら混んでいるからと電車内で、ギュウギュウと押し付けられていたらおかしいと思うのは当然だ。
鞄かと思っていたソレは男の象徴で、その人の股の間についているモノ。
鞄と間違えるほど硬くなっていたソレをギュウギュウ押し付けられて、スリスリ擦り付けられたら、男の俺も泣きそうだ。
はぁはぁと荒い吐息が間近に聞こえて気持ち悪い。
ここで俺が「この人痴漢です!」と言った所で、お前男だろで終わる案件だ。
それどころか、痴漢をされたと勘違いした男として笑い者になりそうだ。
電車が揺れた。その拍子に位置をずらした男は、俺の耳に囁いた。
「僕の事……罵って……」
ゾワリと鳥肌が立った。
俺の目尻がつり上がっていて、睨んでもいないのに睨んだと言われた事はある!
薄い唇が皮肉っぽく見えて、笑ってもいないのに嘲笑ったと言われた事もある!
でも、俺自身にそんな趣味はない!
「ねぇ……次の駅で降りてよ」
「ふざけんなよ! 降りるわけないだろ!」
「ああ……いいよ……もっと……もっと頂戴……」
はぁはぁと息を荒くする男に背筋が寒くなる。
朝から満員電車ではぁはぁ言う男なんてホラー以外にない!
怖い! この人怖いよ!
本物の変態に出会うと人はパニックを起こすようだ。
どうにか離れてくれないかと位置をずらそうとすると、狭い電車内では、男の人の足を踏みつけてしまった。
「ああっ……! はぁ、はぁ……そんな事してくれるなんて……」
気持ち悪い! もう嫌だ!
こんな見た目のせいでおかしな痴漢に襲われるとか人生の汚点だ。
学校までもう少しの辛抱だ。
各駅停車の電車よ、新幹線ぐらいで走ってくれ!
そう祈っていると、男は俺の股の間へ手を伸ばしてくる。
「君のソレでさ……いっぱい虐めて欲しいなぁ」
いーやーだぁー!
必死に抵抗して、相手の男をキッと睨む。
普通のサラリーマンじゃん!
こんな人が男に痴漢とか信じられない!
「その目……いいね……ゾクゾクする……」
気持ち悪いぃぃぃ!
目を合わせたらダメな人だったぁぁ!
すかさず顔を背ける。
それでも、男の人の動きは止まらない。
「や……やめろ……!」
か細い声での抵抗は、相手の男には通用しない。
そんな事はわかっていても、どうしようもできない。
涙目で必死に抵抗する。
誰か……誰か助けて!
そう思った瞬間に男と俺の間に足を入れて遮り、男を睨んでくれた人がいた。
隣に立っていたようで、そこそこ身長のある俺よりも、更に身長が高くて見下ろされた。
綺麗な黒髪がサラリと揺れて、切れ長の目がかっこよくて、通った鼻筋と形のいい唇が顔面に綺麗に収まっている。
同じブレザーにネクタイ……同じ男子校の制服だった。
らしいが……男に対して淫らな行為を仕掛ける男はどうなんだろうか?
満員電車のドア側で片方の尻に男の象徴を押し付けられている男はそうそう居ないと思う。
最初は勘違いかと思った。
鞄が当たっているだけなのかと。
それに、俺は男だし、あり得ない事だと思い込んでいた。
けれど、いくら混んでいるからと電車内で、ギュウギュウと押し付けられていたらおかしいと思うのは当然だ。
鞄かと思っていたソレは男の象徴で、その人の股の間についているモノ。
鞄と間違えるほど硬くなっていたソレをギュウギュウ押し付けられて、スリスリ擦り付けられたら、男の俺も泣きそうだ。
はぁはぁと荒い吐息が間近に聞こえて気持ち悪い。
ここで俺が「この人痴漢です!」と言った所で、お前男だろで終わる案件だ。
それどころか、痴漢をされたと勘違いした男として笑い者になりそうだ。
電車が揺れた。その拍子に位置をずらした男は、俺の耳に囁いた。
「僕の事……罵って……」
ゾワリと鳥肌が立った。
俺の目尻がつり上がっていて、睨んでもいないのに睨んだと言われた事はある!
薄い唇が皮肉っぽく見えて、笑ってもいないのに嘲笑ったと言われた事もある!
でも、俺自身にそんな趣味はない!
「ねぇ……次の駅で降りてよ」
「ふざけんなよ! 降りるわけないだろ!」
「ああ……いいよ……もっと……もっと頂戴……」
はぁはぁと息を荒くする男に背筋が寒くなる。
朝から満員電車ではぁはぁ言う男なんてホラー以外にない!
怖い! この人怖いよ!
本物の変態に出会うと人はパニックを起こすようだ。
どうにか離れてくれないかと位置をずらそうとすると、狭い電車内では、男の人の足を踏みつけてしまった。
「ああっ……! はぁ、はぁ……そんな事してくれるなんて……」
気持ち悪い! もう嫌だ!
こんな見た目のせいでおかしな痴漢に襲われるとか人生の汚点だ。
学校までもう少しの辛抱だ。
各駅停車の電車よ、新幹線ぐらいで走ってくれ!
そう祈っていると、男は俺の股の間へ手を伸ばしてくる。
「君のソレでさ……いっぱい虐めて欲しいなぁ」
いーやーだぁー!
必死に抵抗して、相手の男をキッと睨む。
普通のサラリーマンじゃん!
こんな人が男に痴漢とか信じられない!
「その目……いいね……ゾクゾクする……」
気持ち悪いぃぃぃ!
目を合わせたらダメな人だったぁぁ!
すかさず顔を背ける。
それでも、男の人の動きは止まらない。
「や……やめろ……!」
か細い声での抵抗は、相手の男には通用しない。
そんな事はわかっていても、どうしようもできない。
涙目で必死に抵抗する。
誰か……誰か助けて!
そう思った瞬間に男と俺の間に足を入れて遮り、男を睨んでくれた人がいた。
隣に立っていたようで、そこそこ身長のある俺よりも、更に身長が高くて見下ろされた。
綺麗な黒髪がサラリと揺れて、切れ長の目がかっこよくて、通った鼻筋と形のいい唇が顔面に綺麗に収まっている。
同じブレザーにネクタイ……同じ男子校の制服だった。
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