彼女ができたら義理の兄にめちゃくちゃにされた

おみなしづき

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まだ足りない **

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 目が覚めたら手錠は外されていて、涼の腕の中だった。
 ベタベタだった全身は、綺麗に拭かれていた。

 なんで涼だけ服着てんだよ……。

 俺だけ全裸で、手首に手錠の痕がある。
 知らない間に付けられたキスマークが全身に散っていた。

 外はもう薄暗くなっていて、いったいどれくらい犯されていたんだろうと思う。
 朝から何も食べていなくてお腹も空いた。
 涼は、すぅすぅと寝息を立てていて、俺が起きた事に気付いていないようだ。
 その寝顔を見てため息をつく。

 そっと腕から抜け出してベッドから降りたら、足に力が入らなくてペタンとしゃがみ込んでしまった。
 全身が痛い。特に尻は違和感が半端ない。
 まだ涼のモノが入っているような感覚に、一瞬で濃厚だった情事が思い出されて真っ赤になる。

 涼は、俺を愛していると言った。
 泣き出しそうな顔で何度も──。
 いくら愛しているからって、こんなのありか?
 そう思うのに、俺はやっぱり涼を嫌いになれなかった。

 テーブルや壁に手をつきながら起き上がり、自分の部屋へ行く。
 服を着てスマホを探したけれど見当たらない。
 リビングかと思い、最後に座っていた三人掛けのソファの上も探したけれど、そこにもなかった。
 ソファにドサリと横になって、彼女への連絡をどうしようかと途方にくれていた。

 それからしばらくして、リビングにやってきた涼は、何事もなかったかのように話しかけてきた。

「ハル? 夕飯の時間だけれど、何か食べる?」
「あ……うん」
「あまり動けないだろう? できたら呼ぶから横になってていいよ」
「あ、ありがとう……」

 涼は、ニッコリと笑ってキッチンへ行った。
 少しして、蛇口から水の出る音や冷蔵庫を開ける音など、何かを作っている音が聞こえてくる。
 日常の音が俺をホッとさせた。
 父と母が再婚して新しく買った家は居心地がいい。
 ボーッと何もない空間を見つめた。

「はぁ~……。普通なんだなぁ……」

 思わず呟いた。
 あんな事をしたくせに、いつも通りの優しい兄だった。
 さっきまでの情事は夢だったのではと思うのに、手錠の痕が夢じゃないと訴える。
 そっとその痕を撫でた。

「いてぇょ……」

 手首と同じように胸の奥も痛い。
 そっと目を閉じて、何も考えないようにした。

 しばらくして涼は、対面キッチンのカウンター側にあるダイニングテーブルにオムライスを置くと俺を呼んだ。
 あっという間に作ったらしいオムライスは、美味しそうだった。
 父と涼が二人暮らしだった時は、料理は涼がやっていたらしい。
 一緒に暮らすようになって、涼に初めて作ってもらったオムライスは、その時から俺の大好物になった。
 ケチャップで描かれたクマの絵に、いつまでも子供のままだと思われているようで笑ってしまう。

 オムライスを口に運ぶ涼を盗み見る。
 綺麗な顔をしているのに、体には程よく筋肉もついている。姿勢も良く、所作も優雅で見た目もかっこいい。女子に人気もあるだろう。
 そんな人が、どうして男の俺なんだと思う。

 オムライスを食べている間、普通の兄弟だった。
 他愛無い会話と両親の話をして、俺達の話は怖くてできなかった。
 片付けもやってくれた。

「ハル、シャワー先入る?」
「うん」

 歩けるぐらいは回復したようで、入浴の用意は自分でできた。
 浴室に入って、シャワーを頭から浴びたらスッキリとした。
 浴室の壁にある姿見ほど大きい鏡に自分がいた。
 体に残るキスマークを見て、やっぱり夢じゃなかったんだと思い知らされる。

 涼の愛は、とても重かった。俺の兄が好きという気持ちと全然違う。
 それはわかるのに、どうしたらいいのかは全くわからなかった。

 涼の事を考えていれば、浴室の扉をガラリと開けられた。
 驚いて扉の方を見れば、そこにいたのは全裸の涼だった。
 日常に戻った気がしていて油断していた。鍵をかけるべきだった。

「一緒に入ろう」

 ニッコリ笑った涼は、扉を閉めると俺の前に立った。
 危機感に襲われて後ずさろうとしても、狭い浴室に逃げ場はない。

「俺は……出るよ……」

 そのまま涼の横を通って出ようとすれば、抱きしめられて身動きが取れなくなる。
 突き飛ばす事も、抱きしめ返す事もできない。
 涼は、それが今の俺だとわかっているようだった。
 俺が気持ちを返さなくても、涼を拒否できないと知っている。

 股の間に涼の片足を入れられて、両腕を取られて浴室の壁に押し付けられた。
 手錠の痕を避けるように腕を拘束している事に気付いて、無性に泣きたくなった。
 そんな所で優しさなんか見せるなよ……。
 抵抗する力が一気に抜けてしまった。

「兄さん……」
「涼でしょ?」
「涼……。こんな事……やめよう?」
「言ったよね? 僕の形になるまで何度もするよ。まだ足りない」

 その意味がわからないわけじゃない。
 戸惑っていれば、そのまま唇を塞がれた。
 すっかり覚えてしまったディープキスに応えてしまう。
 長い時間をかけたキスに段々と頭がボーッとしてくる。
 涼は、満足すると自分の唇をペロリと舐めた。
 獲物を狙う肉食動物のような顔を見て、これも俺の知らなかった涼なんだと思う。

 首から舌を這わせていき、徐々に下に移動すると乳首を舐められた。

「んっ……」

 それだけでピンッと勃ち上がってしまった乳首が恥ずかしかった。
 俺の体は、この行為が気持ちいいと覚えてしまった。
 執拗に攻められた後に、またキスされた。

「ほら、見て。二人とも勃ったね」

 視線を下に向ければ、自分のモノと涼のモノが同じように上を向いて並んでいた。
 涼は、俺のモノを握った。

「ハルも握って」

 俺に逃げ場はないんだろう。俺はもう涼のものだから……。
 覚えさせられた快楽に期待してしまう自分が嫌だった。それなのに従ってしまう。
 震える手を涼のモノに伸ばしてそっと握った。涼の動きに合わせて一緒に扱く。
 これが俺の中に入っていたんだと考えてしまって体が熱くなる。
 はぁはぁとお互いの息が荒くなる。

「ハル……」
「んっ……りょう……」

 見つめ合って名前を呼んだ瞬間に、切なそうに俺を見てくる涼にドキリとした。
 昨日まで涼を見ていて、こんな風に思った事なんてない。
 俺は、少しずつ涼に変えられて行くようだった。

 涼は俺をクルリと回転させると、壁に両手をつかせて腰を曲げる形にした。
 尻を突き出すような格好だけでも恥ずかしかったのに、鏡が目の前にあった。
 そこに映る蕩けた顔をした自分を見た瞬間、ものすごい羞恥心に襲われて目を逸らした。

「これで……すんの……?」
「大丈夫。自分の姿をちゃんと見て。僕の事もよく見てて。目を逸らさないで」

 恐る恐る逸らした目を鏡に戻せば、俺の背中に覆い被さるようにしながら耳元で囁く涼を鏡ごしに見た。
 それだけで俺のモノに熱が集まる。

「いい子だね」

 チュッチュッと音を立てて、うなじや背中、尻に繰り返されるキスにゾクゾクする。
 そのまま屈んだと思ったら、尻の蕾に舌を這わされた。
 電流みたいな感覚がソコから伝わって気持ちいい。
 舌で何度も上下に舐められて、舌先を突き刺すように入れてくる。
 めちゃくちゃ気持ちいい。

「ハルのココ、ヒクヒクしてるよ」
「っ! そういう事……言うんじゃねぇよ……」

 羞恥心で肌が赤く染まる。

「あぁ可愛い過ぎ……そんな風に煽らないで……」

 数時間前まで広げられていたソコは、すんなりと涼の指を受け入れた。
 いつの間に用意していたのか、ローションをたっぷり付けてかき混ぜられる。
 その度に喘ぐ声が恥ずかしくて目を閉じれば、涼はそれを許してはくれない。

「すごい……。中熱い。ほら、ハル、目を開けて。鏡を見てごらん。気持ちよさそうな顔してる」
「あっ! はぁっ……んんっ……!」

 もう俺の気持ちいい所は、涼に全部知られてしまっている。
 トロトロにされた俺の顔は赤く染まっていて、気持ち良さそうに眉根を寄せて目元も潤んでいる。
 俺……なんてはしたないんだ。
 それでも快楽は、俺の頭までもトロトロに溶かす。

「イキそう……」

 そう呟けば、指を抜かれてしまう。
 なくなった圧迫感を探すようにキュッと締まる。
 それは一瞬の事で、今度は涼のモノが押し入ってくる。
 指とは比べ物にならない質量に全身が震えた。

「んあぁっ──!」
「はっ……あんなに入れてたのに……キツいね……気持ちいいよ……」

 鏡に映った涼も眉根を寄せて息を吐き、とても気持ち良さそうだった。
 ふと、鏡越しにこちらを見た涼と目が合って微笑まれた。
 胸の奥が熱い。なんだろうこの気持ち。

「こうやって繋がっていると、ハルは僕のものだって思えて嬉しいんだ」
「涼……」
「動くね」

 最初はゆっくりと……俺の反応を確かめるように腰を動かす。
 その度にこぼれる俺の喘ぎ声が浴室に響く。
 シャワーの音より鮮明に聞こえる気がして恥ずかしかった。
 水滴がポタポタと髪や肌から滑り落ちる。
 段々と早くなる腰の動きに合わせて俺のモノも握られた。
 何度か上下に扱かれればイッてしまった。白濁が鏡まで飛んで卑猥だった。
 涼は、そのまま腰を動かして俺の感じる所を何度も突いた。

「あっ! んんっ! ぅん……はぁっ……あぁっ!」
「ハル……あぁ、ハル……!」

 涼は、イク瞬間に腰を引くと俺の背中に白濁をぶちまけた。
 それを鏡ごしに見ていれば、堪らなくエロかった。
 涼が気持ち良さそうな顔をして俺でイッた。
 出した白濁を俺の背中に広げてうっとりとする涼を見ていた。
 こんな事を覚えさせられた俺は、もう普通に戻れないんだと悟る。
 涼の快感に潤んだ瞳を見ると、ゾクゾクして変な気分になってしまう。

「最高だったよ」
「涼……」
「綺麗にしてあげる」

 壁から手を離すと、体に力が入らなくて崩れ落ちそうになる。
 涼は、そんな俺を抱きこんで支え、全身を綺麗に洗う。
 濡れた髪に何度もキスされる。
 手を取られて、指の先にも、手錠の痕にも愛おしそうにキスしてくる。

「ハル。僕の気持ちがもうわかるよね?」
「うん……」

 痛いぐらいに思い知らされた。
 俺は、異常に愛されている。

「これからは、ハルは僕のもの。僕はハルのものだよ」
「涼も……俺のもの?」
「そう。ずっと僕はハルのものなんだよ。僕はハルとしかこういう事はしないから、ハルもそうして」
「分かった……」

 了承する以外に何があるというのか。

「愛してる」

 何も言えなかった。
 俺を無理矢理犯したこの人に愛していると返せるはずがない。
 でも、相手が涼じゃなきゃ、きっと許せなかった。
 大好きだったんだ。本当に──。
 泣き出しそうなこの気持ちが何度でも涼を許す。

 それから涼は、どこでも俺を抱いた。
 リビングでも俺の部屋でも廊下ですら俺を抱いた。
 その行為は、涼の愛を俺の体と心の奥深くに忘れないようにと刻みつけて、俺を逃さないと言っているようだった。
 俺自身も体を繋げる度に涼の色に染まり、それを受け入れて行った。
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