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クズ教師編 創志視点

最高のプレゼント 創志視点

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 ベッドの上には、俺と千宙だけ。
 この世に二人しかいないみたいだ。

「ちぃくん……好きだよ……両想いって嬉しいね……」

 千宙と付き合えて嬉しくて、キスばかりしていた。
 千宙に触れようとすると指先が震える。
 初めての時ですら、こんなにも緊張しなかった。

「先生、本当にあのヤリチンのクズ教師ですか?」

 クスクスと笑われたら、恥ずかしかった。

「さ、寒いからだよ……」
「それなら、ほら、もっとくっついて……」

 千宙は、妖艶に微笑んで俺の腕をスッと撫でる。
 どこでこんなの覚えたんだ……。

「無理だよ……想像以上なんだ……。好きな人相手だと……こんなにも上手くいかないものなんだね……」
「俺が抱いてあげましょうか?」

 驚く事に、グルリと反転して見下ろされた。
 それだけじゃなく、首に舌を這わせて鎖骨を甘噛みされた。
 対抗心に火がついたとでも言うのだろうか。このままされたままというのは性に合わない。
 同じように反転して位置を戻せば、千宙はニヤリと笑った。
 震えも止まって、上手く乗せられた事に気付く。
 しかも、この感じ……。

「ちぃくんって……初めてじゃないよね?」
「男の人は初めてですよ」

 初めてじゃないだろうとは思っていたけれど、やっぱり気に入らない。
 男でも女でも俺より先にこの体に触れた人がいるのかと思うと悔しい。

「俺は先生なら、抱いても抱かれてもいいですよ」

 この子……本当に予想外すぎて俺が手玉に取られる未来が見えた。
 それも悪くないとか思う自分もいるんだからどうしようもない。

「俺はタチ専門……それに、絶対俺の方が抱きたいと思ってる」

 それは確実だ。

「だったら──早くしろ……。俺も色々限界なんだよ」

 俺の指先を口に含んだ千宙は、その指先を舌で絡め取る。

 くちゅ……ちゅくぅ……。

 指先を舐めながら、千宙の視線が訴えてくる──『俺が欲しいだろ?』

 指先から全身に熱が駆け巡る。
 とんでもない子だ──。

「ははっ……ちぃくん……君、エロくて……最高……」

 千宙を味わいたくて、夢中で体を愛撫した。
 胸の頂を舐めていれば、ビクッと反応してくる。

「んっ……」

 千宙から声が漏れれば興奮が高まる。
 千宙が俺で反応する。理性なんてとっくになくなっていた。やばいな……。

 夢中で胸を愛撫していれば、そっと頭を撫でられた。

「──創志……」

 今、名前呼んだ……?

 視線を千宙に合わせれば、千宙は俺の頬に手を伸ばして、優しく微笑んだ。

「創志──」

 鼓膜に響いた声は、すごく色っぽかった。
 聞き間違えじゃない。
 千宙が俺の名前を呼んだ。
 カッと体が熱くなって信じられないくらい心臓が鳴る。
 まともに千宙が見れない……。

「ちぃくん……何それ……」

 不意打ちは卑怯だ。

「お返し……かな」

 お返しってさっきの千宙呼びか……。
 普段は先生としか呼ばないくせに、この破壊力はやばい。

 こんなにも心臓に悪いだなんて、俺は千宙に心臓を壊されそうだ──。

「創志……好きだよ……」

 更に追い討ちをかけてくる。
 好きだなんて誰にでも言われた。それが千宙だというだけで、特別な言葉になる。

「ちぃくんは、俺をどうしたいの……?」

 さっきから心拍数が更新されていく……。

「俺から離れられないようにしたい……」

 俺はもうすでに千宙から離れられないと思う。
 それをわかっていないんだからタチが悪い。

「もうすでにメロメロだよ……」
「ぷっ。メロメロってなんですか」

 クスクス笑われて恥ずかしくなる。

「もう黙って──」

 これ以上千宙に喋られたら、俺の心臓がもたない。

 そこからは、お互いの熱を伝え合った。

 千宙は、抱かれるのは初めてだ。
 本当ならすぐにでも中に入りたい欲望を抑えて優しくした。

 それでも、指が三本入った頃にはぐったりとする。

「ちぃくん……やめとく?」
「──先生は……我慢できんの……?」
「できないけど……ちぃくんの為なら我慢する……」
「俺が我慢できない。だから、もう挿れて……」

 眉根を寄せている千宙の顔を覗き込めば、大丈夫だという風に微笑む。
 優しくしたいのに、千宙がそれを許さない。
 千宙のこういう所にゾクゾクする。

「そうやって煽るんだから……優等生どころか問題児だね」
「知らなかった?」

 こんな問題児を相手にして、我慢なんてできなかった。
 そのまま千宙の中へ侵入する。
 優しくしたい。でも、抑えられない──。

「もう少しだから、頑張って……」

 苦しそうな千宙のまぶたにキスを落とす。
 千宙は、シーツを掴んでいた手を俺の首の後ろに回して抱きついてきた。

「本当……ちぃくんって……」

 俺の事を煽るのが上手い。
 やめないで欲しいと態度で表してくる。
 俺の嬉しくなるツボを知っているんじゃないかと思う。

 千宙の中に俺のモノが埋まれば、お互いに大きく息を吐いた。

「──これで俺は……先生のものだね……」

 千宙は、痛みで瞳を潤ませているくせに微笑んだ。
 胸の奥がギュッと掴まれて、千宙を強く抱きしめた。

 予感がする。こんなにも愛おしいと思う相手には、もう二度と出会える事はないんだと──。

「ちぃくん……──ごめん、俺、もう余裕ないや……動くから」
「あっ……先生……ん……」

 ゆっくりとを心がけて動いたけれど、それも最初だけで、そこまで考えられなくなる。

 俺の下で喘ぐ千宙は、肌を赤く染めて、揺さぶる度に内壁が締まる。
 こぼれる吐息も、汗ばむ肌も全てが愛おしい。

 こんな気持ちのいいセックス……初めてだ。

 俺も千宙も夢中で抱き合った。
 最後は二人で一緒にイって抱きしめ合う。
 はぁはぁと荒い呼吸がおさまれば、微笑み合った。

 体も心も繋がったみたいだ。

 後始末をして、布団の中で横になった。
 千宙が俺の胸に擦り寄ってきた。可愛くてそっと抱き寄せる。

「先生……」
「何?」
「浮気するなよな……」

 ギュッと抱きついたと思ったら、そんな事を言われた。

 なんだよ──千宙って、俺の事大好きじゃないか。

 顔がニヤけて止まらない。
 こんな風に誰かの独占欲が心地良かった事なんてない。
 千宙が可愛すぎる。

「しないよ。もうちぃくん以外じゃ勃たない」
「本当か?」
「俺の事信用できないのはわかるけど、信じて」

 信じて欲しくて千宙の顔を俺の方に向けてキスをする。
 舌を絡めるキスは先ほどの熱を思い出す。
 さっき体でも伝えたつもりだ。
 すると、千宙は俺のモノに手を伸ばしてきた。

「ちぃくん?」

 キスしながら握り込んで扱かれる。

「ちぃくん……そんな事したら……勃つよ……っ」

 お構いなしで扱かれて俺のモノは完全に勃ってしまった。

「勃たせたらしたくなるじゃん……」

 目の前に千宙が裸でいるんだ。もう一回したくなってしまった。

「そのつもりで勃たせんだ……」

 こちらを見つめる千宙のドアップが妖艶に微笑む。鼻血が出そうだ……。
 もう一回していいって事だよな。
 抱かれるのは初めてなのに、このエロさ……。
 
「他の人じゃ満足できなくしてやるよ……」

 ガバッとキスされる。
 千宙のキスは気持ちがいい。俺も負けじとそれに応える。

 ──俺は、千宙にどっぷりとハマって抜けられなくなりそうだ。
 
     ◆◇◆

 千宙は、可愛くもあり、カッコ良くもある。
 抱くたびに色気は増して、飽きるどころか千宙じゃないともう無理だ。
 色んな人を相手にしてきた俺が、こんなにも一人に入れ込む事になるとは思ってもいなかった。

 廊下で友人と話す千宙とすれ違う。
 その笑顔は、前の猫を被る笑顔と違う。
 心からとまではいかないが、笑顔に違和感がなくなった。
 いい傾向だとは思うけれど、俺は面白くない。
 そんなのは、俺だけが知っていれば良かった。

 放課後は指導室に行こうと言っていたけれど、日直があるらしい。
 日直と言えば、千宙ともう一人の生徒が残っているはずだ。

 気になって教室へ行き廊下から覗けば、残っていた二人を見掛ける。
 千宙が日誌に書き込んでいて、もう一人の生徒はその前の席に座って何か話していた。
 高校生らしい笑い声が聞こえて、やけに楽しそうに見えた。

「後は俺がやっておくよ」

 千宙が笑顔で言えば、もう一人の生徒はお礼を言いながらこっちに来た。

 廊下で鉢合わせる。

「先生、さようなら」
「日直ご苦労様でした」

 笑顔で挨拶して、その生徒の背中を見送ってから、入れ替わりで千宙の前に行った。

「碓氷くん、さっき何を話していたんですか?」
「当たり障りのない会話しかしてませんよ」
「本当?」

 鉛筆を置いて、日誌を閉じた千宙がクスクスと笑う。

「やきもち?」

 楽しそうな顔が悔しいけれど、その通りだから仕方がない。

「そうみたいだ……」

 素直に言えば、千宙はとろけるような笑顔を見せてくれた。

「先生、可愛いですね」

 こんな顔は俺だけに見せる顔だ。
 ここで嬉しいなんて態度をしないように、そっぽを向いていじけてみせれば、クスクスと笑われた。

「創志──」

 立ち上がった千宙が、キスをするぐらい近付いた。

「千宙……」

 そのまま抱き寄せてキスしようとしたのに、パッと離れられた。
 この宙に浮いた手をどうしたらいいのか……。

 千宙は、日誌を持ち上げて笑う。

「先生、日誌はもう書き終わりました。出したら指導室に行きますから、待っていて下さいね」

 クスクスと笑いながら、俺を置いて歩き出す。
 今のはそのままキスするべきだったと思う。

 寸止めされた~~~っ!

 そう気付いたら、しゃがみ込んでしまいそうになる。

「まったく……」

 揶揄われて悔しいのに、顔がニヤけてしまうのは、こんなにも千宙が好きだからだ。

 指導室で二人きりになったら、揶揄う事なんてできなくしてやる。
 あの生意気な問題児を、自分の下に組み敷く快感を思い出して、足早に指導室へ向かった。
 
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