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クズ教師編
隣の家のクズ教師
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高校3年の夏休みの前に、家を出た。
と言っても、親の許可は取っている。
アパートに住む事も了承済みで、勉強が疎かにならないように家賃も支払って貰える。
親が再婚同士でくっついて、家にいるのが気まずくなって家を出るってよくある話だった。
食費ぐらいは自分で稼ぐつもりでアルバイトをしている。
そこのカフェは夜の9時まで開いていて、そこで雇って貰えた。
高校生で数時間しか働けないと言ったけれど、事情を考慮してくれて融通もきかせてくれる。
その日もアルバイトが終わって家に帰ろうとした所だった。
アパートの2階に上がる鉄骨階段の途中で、男女が言い争っていた。
「最っ低な男ね!」
「一回寝ただけで彼女気取り? いい迷惑。やめて欲しいね」
男の方が最低な事を言っている。
そんな事よりも、階段で揉めることをやめて欲しい。
どうしようかと思っていれば、パァンッと肌を打つ音が響いた。
女の人はカンカンとヒールで階段を鳴らして俺の横を通り過ぎていく。
うわぁ……あの男殴られた……。
「ちっ。ハズレだったね」
殴られたその男は、舌打ちすると階段に座り込んでタバコを取り出して火をつけた。
俺の部屋、2階なんだけど……。
仕方なくその男を見ないようにして横を通り過ぎようとした。
「君──碓氷だよね?」
横を通り過ぎる時に自分の名前を呼ばれた。驚いてその男を見れば見覚えがあった。
「せ、先生……」
笹森創志──俺の高校の教師だった。
こいつ──普段はにこやかに教壇に立っているくせに女と痴話喧嘩とかするんだ。
しかもタバコを吸っているなんて……。
笹森創志は、普段はスーツを綺麗に着こなして、温厚でニッコリと笑うイメージの先生だった。
人当たりも良く、生徒からも人気だ。
俺の真っ黒な髪と違い、ほんのりと茶色の髪は地毛らしく、笹森の切長の目に合っていた。
瞳も黒というよりは、ほんのりと茶色かった。
高い鼻に薄い唇……色気がある微笑み……。
印象は猫だ。それも血統書付きの気品があって気位の高い猫。
笹森がフーッと吐き出した煙が電灯にぼんやりと照らされて、やけに綺麗に見えた。
「先生、タバコなんて吸うんですね」
嫌味のつもりで言った。
「学校じゃ吸わないですよ。内緒にしておいて下さい」
ニッコリ笑顔を向けられた。
さっきの事を思い出すと、笹森の笑顔が胡散臭く見えた。
笹森は本当に内緒なのかと思うぐらい気にした様子はなかった。
「こんな時間に何やってたんですか?」
あ……俺の方がやばい。
高校は届出のないアルバイトは禁止だ。
急いでアルバイトを決めてしまったので、届出はまだだった。
「友達の家に行った帰りです」
ニッコリ笑顔で答える。
嘘をつく事も時には必要だ。
「家、ここですか?」
「はい」
探られるような視線が嫌だった。
笹森は、タバコを携帯灰皿に入れると立ち上がった。
「さっきの見ました?」
笑顔なのに威圧されているような気がする……。
「いいえ」
やっぱり笑顔で答えた。
答えはこれしかない。
「そうですか。なら良かったです。君の家は2階ですか? 僕もです。一緒に行きましょう」
笹森は、ニコニコしながら2階へ行ってしまった。
仕方なく自分の部屋へ行きアパートの鍵を開けてドアを開けたら、笹森も右手隣の一つ奥の部屋のドアを開けた。
「もしかして──お隣さん?」
「そう……みたいですね……」
笑顔が引きつりそうだ……。
「一人暮らしですか?」
「はい」
「どうして?」
「先生に関係ないですよね?」
さっき笹森がしたのと同じように笑顔で牽制する。
プライベートな事を話すのは嫌いだ。
「──碓氷千宙でしたね? 優等生の君が一人暮らし……ねぇ?」
少し楽しそうな気がするのは気のせいか?
心の中で舌打ちする。
「僕は、引っ越してきたばかりです。一応隣にだけは挨拶しようと思っていたんですよ。でも、いつ行ってもいないですよね。さっきまで何してたんですか?」
「一人暮らしなんてできたら、遊び歩くのは普通です」
アルバイトをしていたと勘づかれないようにと顔を引きつらせないようにするのが精一杯だった。
「そんな事よりも、先生、ほっぺ真っ赤ですね。早く冷やした方がいいですよ」
話を違う方向に持っていこうと思う。
「やっぱり見てたね」
笹森は、自分の部屋のドアを閉めて鍵を掛け直した。
こちらにやってきて半開きだった俺の家のドアを開けて勝手に中に入ってしまう。
「先生!」
俺の咎める声も無視して、勝手に電気をつけると室内をキョロキョロと物色する。
布団とテーブルがあるだけの部屋だった。
一般的なアパートと同じ作りのワンルームの間取りは笹森の部屋も同じはずだ。
「殺風景な部屋だねぇ~。テレビもないの?」
口調が変わった。猫をかぶるのをやめたらしい。
「そう思うなら出て行って下さい」
後を追いかけて俺も中に入った。
「早く冷やした方がいいって君が言ったんだよ? 自分でやるの面倒なんだよね。手当てしてよ」
座り込んでしまった。
こんなに厚かましい人だったとは思わなかった。
ニコニコと忌々しい。
「冷やしたら出て行って下さいね……」
今度こそ笑顔が引きつる。
仕方なくビニール袋に氷と水を入れて、簡易な氷嚢を作り、笹森に手渡そうとした。
けれど、笹森は赤くなっていた頬を俺の方にズイッと差し出してくる。
「やって」
「は?」
いい加減にして欲しい。
「そんな事も自分でできないヤリチンのクズ教師なんですか?」
笑顔で氷嚢を放り投げてやった。
ベシャッと殴られた頬に当たって落ちた氷嚢を笹森は思わず手で受け止めた。
「君、そんな事も言うんだ」
笹森の顔も少し引きつった。
「碓氷くんさ、もしかして、いつもは猫かぶってんの?」
「それは先生ですよね? ヤリチンのクズ教師だったなんて他の先生や生徒が知ったらどうなると思いますか?」
黒い笑顔というものができるなら、今がそうだろう。
これ以上は放っておいて欲しいと脅すつもりでそう言った。
笹森はクスクスと不敵に笑うと、俺の腕を掴んでグイッと引っ張った。
渡した氷嚢がガシャンと音を立てて床に落ちた。
「っ⁉︎」
バランスを崩して笹森の腕の中に倒れ込む。
「口止めだよ──」
そう言って、俺の唇に唇を押し付けた。
フワリと甘いようなタバコの香りがした。
殴ろうと思って掴まれていない方の腕を振り上げたけれど、その腕も掴まれてしまう。
少ししてチュッと音を立てて離れると、笹森は不敵に笑う。
「そのクズ先生とキスなんてまずいんじゃない? 優等生の碓氷くん」
こいつ……逆に俺を脅そうとしているわけだ。
「俺は別にかまいませんよ。笹森先生は、生徒に無理矢理手を出した最低教師になるんじゃないですか?」
「どうかなぁ? 君の人望と俺の人望を天秤に掛けてみる?」
「…………」
俺自身も笹森が言うように学校での自分は優等生だ。俺が学校には何も言わないってわかっているんだろう。
学校で素で話した事はないし、面倒な事は避けたい。けれど、このまま笹森に負けたくないというような気持ちもある。
「先生は、男もイケるクズ教師なんですね」
「そう。俺、両方イケるクズ教師なの。同じ相手ってすぐに飽きるでしょ? 気持ちいい事は女も男もあまり変わらないよ。試してみる?」
笹森の妖艶に笑う顔は、何か得体の知れないものを思わせてゾクリとした。
「気持ち悪いですね……」
笹森を真っ直ぐ見れなくて視線を逸らす。
「言うねぇ。まぁ、生徒に手を出すと面倒だからしないよ。安心してよ」
「今キスしましたよね?」
「それはそれ。これはこれ」
「やっぱりクズ教師ですね」
笹森はフフフと笑って気にした様子はない。
腕を解放されれば、落とした氷嚢を拾って笹森の隣にしゃがみ込み、頬に当ててやった。
「あれ? 結局やってくれるんだね」
「脅すより貸しを作る方が笹森先生にはいいと思いました。これは貸しですよ」
笹森は、キョトンとしてからクスクスと笑った。
「君、いい性格してるね」
「先生こそ」
俺よりもいい性格していそうだ。
それ以上、話しはしなかった。話すことがなかったとも言う。
何もないシーンとした部屋でお互いの視線だけを感じる時間だった。
と言っても、親の許可は取っている。
アパートに住む事も了承済みで、勉強が疎かにならないように家賃も支払って貰える。
親が再婚同士でくっついて、家にいるのが気まずくなって家を出るってよくある話だった。
食費ぐらいは自分で稼ぐつもりでアルバイトをしている。
そこのカフェは夜の9時まで開いていて、そこで雇って貰えた。
高校生で数時間しか働けないと言ったけれど、事情を考慮してくれて融通もきかせてくれる。
その日もアルバイトが終わって家に帰ろうとした所だった。
アパートの2階に上がる鉄骨階段の途中で、男女が言い争っていた。
「最っ低な男ね!」
「一回寝ただけで彼女気取り? いい迷惑。やめて欲しいね」
男の方が最低な事を言っている。
そんな事よりも、階段で揉めることをやめて欲しい。
どうしようかと思っていれば、パァンッと肌を打つ音が響いた。
女の人はカンカンとヒールで階段を鳴らして俺の横を通り過ぎていく。
うわぁ……あの男殴られた……。
「ちっ。ハズレだったね」
殴られたその男は、舌打ちすると階段に座り込んでタバコを取り出して火をつけた。
俺の部屋、2階なんだけど……。
仕方なくその男を見ないようにして横を通り過ぎようとした。
「君──碓氷だよね?」
横を通り過ぎる時に自分の名前を呼ばれた。驚いてその男を見れば見覚えがあった。
「せ、先生……」
笹森創志──俺の高校の教師だった。
こいつ──普段はにこやかに教壇に立っているくせに女と痴話喧嘩とかするんだ。
しかもタバコを吸っているなんて……。
笹森創志は、普段はスーツを綺麗に着こなして、温厚でニッコリと笑うイメージの先生だった。
人当たりも良く、生徒からも人気だ。
俺の真っ黒な髪と違い、ほんのりと茶色の髪は地毛らしく、笹森の切長の目に合っていた。
瞳も黒というよりは、ほんのりと茶色かった。
高い鼻に薄い唇……色気がある微笑み……。
印象は猫だ。それも血統書付きの気品があって気位の高い猫。
笹森がフーッと吐き出した煙が電灯にぼんやりと照らされて、やけに綺麗に見えた。
「先生、タバコなんて吸うんですね」
嫌味のつもりで言った。
「学校じゃ吸わないですよ。内緒にしておいて下さい」
ニッコリ笑顔を向けられた。
さっきの事を思い出すと、笹森の笑顔が胡散臭く見えた。
笹森は本当に内緒なのかと思うぐらい気にした様子はなかった。
「こんな時間に何やってたんですか?」
あ……俺の方がやばい。
高校は届出のないアルバイトは禁止だ。
急いでアルバイトを決めてしまったので、届出はまだだった。
「友達の家に行った帰りです」
ニッコリ笑顔で答える。
嘘をつく事も時には必要だ。
「家、ここですか?」
「はい」
探られるような視線が嫌だった。
笹森は、タバコを携帯灰皿に入れると立ち上がった。
「さっきの見ました?」
笑顔なのに威圧されているような気がする……。
「いいえ」
やっぱり笑顔で答えた。
答えはこれしかない。
「そうですか。なら良かったです。君の家は2階ですか? 僕もです。一緒に行きましょう」
笹森は、ニコニコしながら2階へ行ってしまった。
仕方なく自分の部屋へ行きアパートの鍵を開けてドアを開けたら、笹森も右手隣の一つ奥の部屋のドアを開けた。
「もしかして──お隣さん?」
「そう……みたいですね……」
笑顔が引きつりそうだ……。
「一人暮らしですか?」
「はい」
「どうして?」
「先生に関係ないですよね?」
さっき笹森がしたのと同じように笑顔で牽制する。
プライベートな事を話すのは嫌いだ。
「──碓氷千宙でしたね? 優等生の君が一人暮らし……ねぇ?」
少し楽しそうな気がするのは気のせいか?
心の中で舌打ちする。
「僕は、引っ越してきたばかりです。一応隣にだけは挨拶しようと思っていたんですよ。でも、いつ行ってもいないですよね。さっきまで何してたんですか?」
「一人暮らしなんてできたら、遊び歩くのは普通です」
アルバイトをしていたと勘づかれないようにと顔を引きつらせないようにするのが精一杯だった。
「そんな事よりも、先生、ほっぺ真っ赤ですね。早く冷やした方がいいですよ」
話を違う方向に持っていこうと思う。
「やっぱり見てたね」
笹森は、自分の部屋のドアを閉めて鍵を掛け直した。
こちらにやってきて半開きだった俺の家のドアを開けて勝手に中に入ってしまう。
「先生!」
俺の咎める声も無視して、勝手に電気をつけると室内をキョロキョロと物色する。
布団とテーブルがあるだけの部屋だった。
一般的なアパートと同じ作りのワンルームの間取りは笹森の部屋も同じはずだ。
「殺風景な部屋だねぇ~。テレビもないの?」
口調が変わった。猫をかぶるのをやめたらしい。
「そう思うなら出て行って下さい」
後を追いかけて俺も中に入った。
「早く冷やした方がいいって君が言ったんだよ? 自分でやるの面倒なんだよね。手当てしてよ」
座り込んでしまった。
こんなに厚かましい人だったとは思わなかった。
ニコニコと忌々しい。
「冷やしたら出て行って下さいね……」
今度こそ笑顔が引きつる。
仕方なくビニール袋に氷と水を入れて、簡易な氷嚢を作り、笹森に手渡そうとした。
けれど、笹森は赤くなっていた頬を俺の方にズイッと差し出してくる。
「やって」
「は?」
いい加減にして欲しい。
「そんな事も自分でできないヤリチンのクズ教師なんですか?」
笑顔で氷嚢を放り投げてやった。
ベシャッと殴られた頬に当たって落ちた氷嚢を笹森は思わず手で受け止めた。
「君、そんな事も言うんだ」
笹森の顔も少し引きつった。
「碓氷くんさ、もしかして、いつもは猫かぶってんの?」
「それは先生ですよね? ヤリチンのクズ教師だったなんて他の先生や生徒が知ったらどうなると思いますか?」
黒い笑顔というものができるなら、今がそうだろう。
これ以上は放っておいて欲しいと脅すつもりでそう言った。
笹森はクスクスと不敵に笑うと、俺の腕を掴んでグイッと引っ張った。
渡した氷嚢がガシャンと音を立てて床に落ちた。
「っ⁉︎」
バランスを崩して笹森の腕の中に倒れ込む。
「口止めだよ──」
そう言って、俺の唇に唇を押し付けた。
フワリと甘いようなタバコの香りがした。
殴ろうと思って掴まれていない方の腕を振り上げたけれど、その腕も掴まれてしまう。
少ししてチュッと音を立てて離れると、笹森は不敵に笑う。
「そのクズ先生とキスなんてまずいんじゃない? 優等生の碓氷くん」
こいつ……逆に俺を脅そうとしているわけだ。
「俺は別にかまいませんよ。笹森先生は、生徒に無理矢理手を出した最低教師になるんじゃないですか?」
「どうかなぁ? 君の人望と俺の人望を天秤に掛けてみる?」
「…………」
俺自身も笹森が言うように学校での自分は優等生だ。俺が学校には何も言わないってわかっているんだろう。
学校で素で話した事はないし、面倒な事は避けたい。けれど、このまま笹森に負けたくないというような気持ちもある。
「先生は、男もイケるクズ教師なんですね」
「そう。俺、両方イケるクズ教師なの。同じ相手ってすぐに飽きるでしょ? 気持ちいい事は女も男もあまり変わらないよ。試してみる?」
笹森の妖艶に笑う顔は、何か得体の知れないものを思わせてゾクリとした。
「気持ち悪いですね……」
笹森を真っ直ぐ見れなくて視線を逸らす。
「言うねぇ。まぁ、生徒に手を出すと面倒だからしないよ。安心してよ」
「今キスしましたよね?」
「それはそれ。これはこれ」
「やっぱりクズ教師ですね」
笹森はフフフと笑って気にした様子はない。
腕を解放されれば、落とした氷嚢を拾って笹森の隣にしゃがみ込み、頬に当ててやった。
「あれ? 結局やってくれるんだね」
「脅すより貸しを作る方が笹森先生にはいいと思いました。これは貸しですよ」
笹森は、キョトンとしてからクスクスと笑った。
「君、いい性格してるね」
「先生こそ」
俺よりもいい性格していそうだ。
それ以上、話しはしなかった。話すことがなかったとも言う。
何もないシーンとした部屋でお互いの視線だけを感じる時間だった。
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