弱みを握られた風紀委員は天敵に奴隷にされる

おみなしづき

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本編

そして危機は訪れる

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※モブに襲われるシーンがあります。苦手な方はご注意下さい。



────────────



 そんな事があった数日後。
 放課後に特別室へと足を向けていた。

 すると、途中の廊下で知らない生徒に進路を塞がれた。

「有栖川さん。一緒に来てもらえますか?」

 小柄で可愛らしい子達だ。
 俺の事知っている?

「どこへ?」
「少しお話があるんです」
「ここじゃダメか?」

 その子達は、困ったような顔をする。

「えっと、ここではちょとぉ」
「なんの話だ?」
「あの……獅貴さん達の事で相談があって……」

 なんで俺に?
 そう思ったけれど、獅貴達の話だと言われたら気になった。
 不思議に思いながらもその子達の後をついて行った。

 多目的ホールと呼ばれる教室は、小さなコンサートホールの様になっていて、大きなスクリーンが正面にある。
 ここで色んな教材をみたりする。

 ズラリと並んだ椅子を通り過ぎてスクリーンの前で足を止めた。
 スクリーンの前は比較的広くなっている。
 なんでここ? と、不思議に思いながらも向き合った。

 すると、他にも何人も室内に入ってきた。
 すぐ近くに来るやつもいれば、遠巻きで見物するようなやつもいる。
 最初の生徒達と違って比較的体格の良い生徒達だ。
 同級生の知っている奴もいた。
 少し嫌な感じがする……。

「で? 話って?」
「有栖川さんが特別室に出入りするようになって呼ばれなくなりました」

 何の話かわからない。

「あなたのせいですよ」
「え?」

 キッと睨まれてしまった。

「圭虎さん……もう僕とやらないって……」
「圭虎さんだけじゃないです! 獅貴さんも穂鷹さんも……呼んでくれません!」

 読めてきた。
 この子達──今まで獅貴達の取り巻きだった子達か。

「あれだけ嫌がらせしても特別室に通うなんてどんな神経してるの⁉︎」

 もしかして……ここ数日あった出来事が脳裏を過ぎっていく。
 あの数々の不思議な出来事はこの子達が……?

 嫌がらせだったんだ……。
 そうじゃないかとは思っていたけれど、心当たりがなかった為に勘違いだとも思っていた。
 定番の嫌がらせが地味に精神を疲労させていた。
 しっかり心にはダメージがあった……。

「あなたが余計な事言ったんでしょ⁉︎」
「俺は何も言っていない……」
「嘘だ! あの人達があなた一人で満足するわけないでしょ!」

 あれ? 俺が獅貴達の奴隷だって知っている?

「あなたの事──調べました」

 写真の束を投げつけられて、バラバラと床に落ちる。
 一枚手に取って見てみれば、俺がバイトしてる時の隠し撮りだった。
 確認すれば、アパートに入っていく写真もあるみたいだ。
 うわっ……三人とキスしているのもある。
 時々感じた視線はこれか……。
 
 一般人と知られた──血の気が引いて指先が冷えていく。

 嫌がらせも俺が一般人だと知ったからするようになったんだ……。

「獅貴さん達の奴隷でしょ!」
「奴隷のくせに調子に乗るなよ!」
「側にいるのが奴隷一人だけなんて、こんな事なかった! 独り占めするなよ!」

 言いたい放題だ……。

 後から入ってきた数人の生徒にニヤニヤと詰め寄られて後ずさる。
 こいつらの方がヤバそうだ……。

「まさか兎和が奴隷だったなんてな」
「俺、ずっとお前とやってみたかったんだ」
「お前ら最悪だな……」

 視線を逸らしたら負けだ。
 弱者だからって抵抗しない訳じゃない。

「この人数相手に睨むって、いい根性してるよな」

 囲まれて腕を取られた。
 引っ張られて、床に倒される。
 その拍子に眼鏡が外れて、カシャンと床に落ちてしまった。

「わぁお。写真を見た時は信じられなかったけど、本当に兎和だったんだな」
「眼鏡でも綺麗な顔してるって思ってたけど、素顔は本当美人……」

 床に打ち付けられた肩が痛い。
 苦痛に顔を歪めて耐える。
 そうしている間に、腕を押さえ込まれた。

「ふざけるな! 離せ!」

 足だけは取られまいと必死にバタつかせる。

「うわっ! あぶねぇ!」
「暴れるならこれ使って」
「なんだ?」
「媚薬入りの水」
「そりゃあいい」

 媚薬⁉︎
 顔を押さえられて、無理矢理口を開けさせられた。

「……んんっ……ごほっ! ……ごくっ」

 小瓶の中身を口に入れられて飲まされた。
 ほんのりと甘い香りと味がした。
 暴れたから半分ぐらいは口の外に出たはずだ。

「結構こぼれたな……」 
「二、三滴で効くやつ十滴は入れといたから」

 半分飲まないって計算済み?
 全部飲んでたらどうすんだ!

 こいつら本当に最悪だ……!

「奴隷は奴隷らしくやられちゃえ。そうしたら圭虎さんもあんたなんて相手にしなくなる」

 クスクスと笑われて青ざめる。
 こんな事されるとは全く思っていなかった。
 何かないのかと視線を彷徨わせても何も見つからない。
 いやらしい笑い方をするやつらの顔しか見えない。
 ブレザーのボタンに手をかけられて必死で抵抗する。
 
「離せって!」
「10分ぐらいで効くと思うけど、ちゃんと押さえてなきゃ」
 
 段々と暴れるのが疲れてきた。
 ブレザーのボタンは外されて、シャツのボタンも外されつつある。
 足も押さえられて動けなくなってしまった。

「抵抗しないでさ、俺らと楽しめばいいじゃん」
「嫌に決まってるだろ!」
「神宮寺達とはしてるのに?」

 獅貴達は無理矢理だったけれど、こんな事はしなかった。
 悔しい。
 なんで一般人ってだけでこんな目に遭わないといけないんだ!
 みんなどうかしてる!

「綺麗な肌してんだな……」

 シャツのボタンも外されて、腹を撫でられた。
 ゾワゾワと鳥肌が立った。

「やめろ……!」

 獅貴達に触れられるのとは全く違う。
 こんな事で獅貴達に触れられるのが嫌じゃなかったんだとわかるなんて……。

 やばい……体が火照ってきた……。
 はぁはぁと息が上がる。
 押さえ込んでいた奴らがゴクリと喉を鳴らす。

「なぁ、効いてきたんじゃね? エロい……」
「早くやろうぜ」
「ははっ。ここキスマーク付けてる。遠慮しなくていいな」

 体は熱いのに、触られると気持ちが悪い。

「綺麗な乳首……」
「触るなよ……!」

 乳首をイジられても全然気持ちいいだなんて思わない。

 けれど、時間が経つにつれて、薬が効いているのか感覚が敏感になってくるようだった。
 気持ち悪いのに体が反応するようになる。
 ビクッと震えてしまった。

「お。やっと効いてきた」

 どうしよう……力が入らなくなってきた。

 俺の力が入らなくなったのがわかったのか、一人がニヤリと笑って太ももに乗ってきた。
 上から見下ろされて、恐怖に慄いた。

「し、獅貴ぃぃーーっ!」

 極限の状態になった時、獅貴の名前を叫んでいた。

「ははっ。名前呼んだって聞こえるわけないじゃん」
「圭虎ぉーっ! 穂鷹ぁーっ!」

 三人の名前を呼んだ。
 なんで俺は、奴隷なのに必死であいつらの名前を呼んでんだ。

「だから、無駄だって。ここ防音設備ばっちりだって知ってるよな?」

 そうか──その為にここに連れてきたんだ。

「あいつらが奴隷なんて助けるかよ」

 馬鹿にするように笑われて、グッと口籠もる。
 そうかもしれない……俺は奴隷だから……。

「同じ事してたんだろ?」

 同じ事……媚薬のせいで体は熱いのに心が冷えた。
 獅貴達も俺を奴隷だと思っているのなら、こうやってやられるのも同じ事か……。

 なんでこんなに泣きたい気持ちになるんだろう……。

「まだ勃たねぇな」

 スラックス越しに俺のモノを触られて背筋がゾクリとする。
 気持ちが悪い!

「勃つわけないだろ……!」
「意地張っちゃって」

 馬乗りになっていたやつにスラックスのベルトを外されそうになって怯える。

 誰か助けて……。

 そう思いながら脳裏に横切ったのは……。

「……し、紫狼ーーっ!」

 気付けば俺は、紫狼の名前も呼んでいた。
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