弱みを握られた風紀委員は天敵に奴隷にされる

おみなしづき

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本編

腕の中には side紫狼

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 ふと目が覚めて見たのは、鷲也と羊助が目を見開いてこちらを覗き込んでいる姿だった。
 いつもなら、気分が悪くて殴っていたかもしれないけれど、今日はそんなことがない。

「お前らぁ、何やってんのぉ?」
「えぇ! 紫狼の寝起きが普通!」
「驚きです」
「だねぇ。今日は気分がいいみたぁい」
「それのおかげだね」

 羊助がそう言いながら指差したのは、オレの腕の中。

「え……? 誰ぇ?」
「誰って……僕達がそれを聞きたかったんだけど。どう見ても気持ち良さそうに寝てるよね?」
「はい。私達は、それを見ていました。紫狼の隣で寝ているのに無事です。紫狼も気持ち良さそうに寝ていました」

 オレが誰かと一緒に寝れるなんて……。
 幼い感じがするけど……少し見覚えが。
 この感じ……ずっと一緒に寝たいと思っていた。

「もしかして……兎和ぁ? 眼鏡ないねぇ」
「兎和⁉︎ なるほど! これが兎和かぁ。僕とは違う可愛さがあるね」
「あ、眼鏡……枕元にあります。外したのか、外れたのかわかりません。けれど、この眼鏡、やっぱり兎和です」

 腕の中の兎和をギュッと抱きしめて感触を確かめる。
 嬉しい。

「あはっ。このまま持って帰りたいなぁ……」
「紫狼の抱き枕だね」
「兎和がいれば、紫狼の寝起き、ずっと良いままです」

 鷲也の言葉に羊助の目がキラリと光った。

「それだ! 兎和をさ、獅貴達の仲間から僕達の仲間にしちゃおうよ!」
「どうやってぇ?」
「紫狼って、兎和が好きなんでしょ?」
「好きぃ? これって好きって事かなぁ? だったら大好きぃ。オレ、今超幸せぇ」
「それなら、やっちゃおう!」

 羊助がニコニコしながらそんな事を言う。

「やっちゃって恋人同士になれば、兎和はもう紫狼のもので、紫狼も兎和も幸せで解決じゃん」
「やったからって付き合えるのぉ?」
「やらないよりいいんじゃない?」

 なんか納得。

「じゃ、脱がすぅ?」

 そっと寝ている兎和を見つめる。
 ふとオレの胸に擦り寄ってきた。
 なんだこの小動物みたいな生き物……可愛い過ぎる。

「やっぱぁ……やめとくぅ……嫌われたらオレやだもん」
「そっか。そういう事もあるのかな」
「大事にするのは良い事です」

 チュッと兎和の頭にキスをする。

「キスなら起きないかなぁ?」
「してみたら?」

 兎和の唇にそっとキスすれば、柔らかい感触に胸がドクドクと鳴る。
 そっと触れるだけのキスを何度もすれば、気分が高揚してくる。
 食べてしまいたい……。

「あ……やばい……これ以上するとやりたくなるぅ」
「それは大変です。終わりにすべきです」
「あと一回で終わりにしよっとぉ。ふふっ、可愛いなぁ」
「あははっ。紫狼が見た事ないぐらい嬉しそうな顔してる」

 もう一度だけ優しくキスをして、兎和が起きるのを待った。
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