弱みを握られた風紀委員は天敵に奴隷にされる

おみなしづき

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本編

遊戯室へ

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 次の日には、体調は良くなって学園に登校できた。
 それでもバイトはしばらくはダメだと豹に釘を刺された。
 学園に行けるだけマシだと思って了承する。

 バイトが休みになったので、放課後に時間ができた。
 でも、獅貴達には言わないで、休んでしまって遅れた勉強を進めた。

 二日目で紫狼との約束を守るべきかと思い、その日の放課後は遊戯室の方へ行こうと決めた。
 お昼を食べている時に、その事を伝えようか迷ったけれど、猛反対されるのは目に見えていたのでやっぱり言うのをやめた。

「兎和。あまり無理するなよ」
「ゆっくり食べろよ」
「抱っこしますか?」

 三人が無駄に優しくて怖い。

「もういいから、三人同時はやめて……」
「「「…………」」」

 なんで返事をしないんだ!

     ◆◇◆

 遊戯室ってどこだったか。
 軽く迷子になりながら、紫狼達の溜まり場を無事に発見する。
 中に入れば、こちらも誰かの家みたいだった。
 テレビまであるなんて……あいつら学園に何しに来ているんだ……。

 中には誰もいないかと思いきや、ベッドで寝ている紫狼を発見する。
 今日は時間がある。
 起こすのも悪いと思ってそこにあるソファで勉強でもしようかと考える。
 ふと紫狼の険しい寝顔を見て、また怖い夢でも見ているのかと声を掛けた。

「紫狼? 怖い夢見てるのか?」

 肩を軽く揺すると、またその手を握られた。
 このパターン前にもあったな。
 どうしようかと迷っていれば、握っていた手をグイッと引かれて紫狼の胸の中にポスッと倒れ込む。
 そのまま腕の中に抱き込まれた。
 ドクンッドクンッと紫狼の心臓の音が聞こえる。

 段々と腕の力が強くなっていく。
 ギューッと尋常じゃない力で抱きしめられて苦しい。
 このままじゃ潰される!

 起きているんじゃないかと思って覗き込めば、やっぱり眉間の皺が深い。
 放っておけなくて、そのまま背中に腕を回して撫でてやった。
 俺より大きいのに弟みたいに思える。

「紫狼……大丈夫。怖くないよ」

 そっと撫でていれば、体の力が抜けたのがわかった。
 もう眉間の皺もない。
 すぅすぅと規則正しい寝息が聞こえてきた。
 紫狼の香水なのか、清潔感があるのにセクシーで、甘い石鹸のような香りがする。

 それにしても……こっちの布団もフカフカだな……。
 やばい……体調を崩したばかりで睡魔が……。

 眠ってしまう前に腕から抜け出そうとしたけれど、離れようとすれば優しく抱き込まれて逃げられない。
 何度やっても紫狼の腕から抜け出せない。

 もういいや……体調も悪かったし、遊戯室の訪問はこのまま寝て終わりって事にしよう……。
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