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本編
制服を着てきた
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紫狼は、俺に近付くとニコニコと笑う。
「ピアスも……学園にいる間は取ったらどうだ?」
「兎和が取ってくれるのぉ?」
「耳を引きちぎっていいなら」
「あはっ。やっぱり面白ろぉい。兎和ぁ、最近こんな所に入り浸ってるってぇ、本当?」
紫狼は、特別室を指差して首を傾げた。
入り浸っている……そう思われているのか……。
「あいつらの仲間になったんじゃないよねぇ?」
「そんなわけないだろう」
奴隷だし……。
「じゃ、オレ達と行こうよぉ」
すると、紫狼に腕を掴まれる寸前で、左腕を掴まれて後ろにグイッと引っ張られた。
驚いてそちらを向けば、獅貴達だった。
獅貴達も今来た所なんだろう。
いつもここでサボっているわけでもないらしい。
それよりも、獅貴の格好を見て驚いた。
「獅貴……制服着れたんだな……」
お昼の時は着ていなかったのに、制服を着ている。
ボタンは外してあるけれど、ブレザーを着ていた。
ネクタイも緩められているけれど、つけているのを初めて見た気がする。
穂鷹は元々制服を綺麗に着ていた。
ネクタイがループタイだったり、シャツがカラフルだったのが、今は指定の物だ。
圭虎は、獅貴と同じ開けたブレザーにシャツで、ネクタイをしていない格好だった。
圭虎なりに頑張ってるみたいだ。
「兎和、もっと褒めて欲しいんだけど」
「──次は髪だな」
「嬉しいくせに」
クスクスと笑う獅貴に思わず微笑んでしまう。
「お。いい顔見れたね。その顔を見る為に着たんだよ」
「恥ずかしい事を言うな」
「じゃ、行こう」
獅貴に掴まれていた腕を引かれたら、今度はグイッと右腕を引っ張っられた。
右腕の方を見れば紫狼だった。
左腕を獅貴に掴まれていて、右腕を紫狼に掴まれている。
なんだこの状況……。
「獅貴ぃ、汚い手で兎和に触るなよぉ」
「紫狼の手の方が汚れてるんだから離せよ。その髪も、同じ色にするなよ」
「はぁ? 同じじゃないしぃ。オレのが明るいしぃ」
「改名しろよ。同じ【し】のつく名前ってだけで気分悪い」
「それ、こっちのセリフなんだけどぉ」
子供みたいな言い合いだな……。
バチバチという音が聞こえてきそうなほど睨み合っている。
穂鷹は鷲也を見てクスクスと笑っている。
「ふふっ……空気も読めない野蛮人は、さっさとどこかへ行って欲しいですね」
「その敬語、私と被ってます。同じキャラは、二人も必要ないです」
「同じじゃありませんよ。あなたみたいにロボットみたいな喋り方はしませんから」
「私の方が綺麗な敬語を使います。インチキ敬語はやめて下さい」
こっちはこっちで笑顔同士でバチバチと……。
「圭虎、どうして僕とは、やってくれないの?」
「お前みたいな学園一のビッチ、食いたくもない」
「えぇ! 圭虎にそれ言われたら、おしまいだよ!」
「お前のアナル、ユルユルだろ?」
「それがぁ、挿れるとみんな昇天しちゃうんだ! そう言う圭虎のちんちんはやりすぎて真っ黒だもんね?」
「それ、嘘だぜ。俺のちんこ真っ黒じゃねぇもん」
「あははっ! ヤリチンは認めるんだね」
こっちもこっちでバチバチやってる。
しかもこいつら卑猥……。
「兎和は僕達の所に来たんだ。紫狼は邪魔者だからさっさと向こうへ行って」
「はぁ? 獅貴こそオレの邪魔するなよぉ。調子に乗るのはやめてくれなぁい」
距離を詰めた二人は、掴み合いになりそうな勢いだった。
「おい! 二人とも離せ!」
強めに言えば、二人はグッと堪えて同時に離される。
「紫狼、俺は獅貴達に会いに来たんだ。悪いけれど、用がないならもういいか?」
「えぇ? どうして獅貴達の所に行くのに、オレ達の所に来てくれないのぉ?」
それは奴隷だから……って言えたら楽なのに……。
引き下がろうとしない紫狼にはぁっとため息をつく。
「わかったから……今度時間がある時に行くよ……」
「兎和⁉︎」
獅貴からの抗議の視線は気づかない方向で。
「本当ぉ⁉︎ オレ、待ってるよぉ!」
紫狼に尻尾が生えていたらブンブンと振っていそうな勢いだ。
大型犬に懐かれているみたいだ。
「時間がある時だからな」
「はーぁい。兎和、またねぇ。鷲也も羊助も、用は終わったから行くよぉ」
紫狼達は、踵を返してヒラヒラと手を振って行った。
ホッと息を吐く。
「兎和、まさか本当にあいつらの所に行かないよね?」
「時間があったらって言った。俺にそんな時間はない」
「だよね!」
獅貴の機嫌がちょっと良くなった。
まぁ、約束した手前、時間ができたら行くけれど。
圭虎が紫狼達が行った方向を見ながら問いかけてくる。
「兎和はなんであんな奴に気に入られてんだよ」
「俺もよく分からない……」
気に入られるような事をした記憶がない。
「本当に嫌いです」
笑顔でそんな事を言う穂鷹が怖い。
「紫狼のやつ、また新しい時計してたぞ。獅貴が買おうとしてたやつ」
「もう絶対買わない」
本当に仲が悪かったみたいだ……。
「あいつらの話はいいよ。兎和、さっさと入ろう」
そもそもここに来ているのも、強制なんだけれど……と、思っても言わないでおいた。
「ピアスも……学園にいる間は取ったらどうだ?」
「兎和が取ってくれるのぉ?」
「耳を引きちぎっていいなら」
「あはっ。やっぱり面白ろぉい。兎和ぁ、最近こんな所に入り浸ってるってぇ、本当?」
紫狼は、特別室を指差して首を傾げた。
入り浸っている……そう思われているのか……。
「あいつらの仲間になったんじゃないよねぇ?」
「そんなわけないだろう」
奴隷だし……。
「じゃ、オレ達と行こうよぉ」
すると、紫狼に腕を掴まれる寸前で、左腕を掴まれて後ろにグイッと引っ張られた。
驚いてそちらを向けば、獅貴達だった。
獅貴達も今来た所なんだろう。
いつもここでサボっているわけでもないらしい。
それよりも、獅貴の格好を見て驚いた。
「獅貴……制服着れたんだな……」
お昼の時は着ていなかったのに、制服を着ている。
ボタンは外してあるけれど、ブレザーを着ていた。
ネクタイも緩められているけれど、つけているのを初めて見た気がする。
穂鷹は元々制服を綺麗に着ていた。
ネクタイがループタイだったり、シャツがカラフルだったのが、今は指定の物だ。
圭虎は、獅貴と同じ開けたブレザーにシャツで、ネクタイをしていない格好だった。
圭虎なりに頑張ってるみたいだ。
「兎和、もっと褒めて欲しいんだけど」
「──次は髪だな」
「嬉しいくせに」
クスクスと笑う獅貴に思わず微笑んでしまう。
「お。いい顔見れたね。その顔を見る為に着たんだよ」
「恥ずかしい事を言うな」
「じゃ、行こう」
獅貴に掴まれていた腕を引かれたら、今度はグイッと右腕を引っ張っられた。
右腕の方を見れば紫狼だった。
左腕を獅貴に掴まれていて、右腕を紫狼に掴まれている。
なんだこの状況……。
「獅貴ぃ、汚い手で兎和に触るなよぉ」
「紫狼の手の方が汚れてるんだから離せよ。その髪も、同じ色にするなよ」
「はぁ? 同じじゃないしぃ。オレのが明るいしぃ」
「改名しろよ。同じ【し】のつく名前ってだけで気分悪い」
「それ、こっちのセリフなんだけどぉ」
子供みたいな言い合いだな……。
バチバチという音が聞こえてきそうなほど睨み合っている。
穂鷹は鷲也を見てクスクスと笑っている。
「ふふっ……空気も読めない野蛮人は、さっさとどこかへ行って欲しいですね」
「その敬語、私と被ってます。同じキャラは、二人も必要ないです」
「同じじゃありませんよ。あなたみたいにロボットみたいな喋り方はしませんから」
「私の方が綺麗な敬語を使います。インチキ敬語はやめて下さい」
こっちはこっちで笑顔同士でバチバチと……。
「圭虎、どうして僕とは、やってくれないの?」
「お前みたいな学園一のビッチ、食いたくもない」
「えぇ! 圭虎にそれ言われたら、おしまいだよ!」
「お前のアナル、ユルユルだろ?」
「それがぁ、挿れるとみんな昇天しちゃうんだ! そう言う圭虎のちんちんはやりすぎて真っ黒だもんね?」
「それ、嘘だぜ。俺のちんこ真っ黒じゃねぇもん」
「あははっ! ヤリチンは認めるんだね」
こっちもこっちでバチバチやってる。
しかもこいつら卑猥……。
「兎和は僕達の所に来たんだ。紫狼は邪魔者だからさっさと向こうへ行って」
「はぁ? 獅貴こそオレの邪魔するなよぉ。調子に乗るのはやめてくれなぁい」
距離を詰めた二人は、掴み合いになりそうな勢いだった。
「おい! 二人とも離せ!」
強めに言えば、二人はグッと堪えて同時に離される。
「紫狼、俺は獅貴達に会いに来たんだ。悪いけれど、用がないならもういいか?」
「えぇ? どうして獅貴達の所に行くのに、オレ達の所に来てくれないのぉ?」
それは奴隷だから……って言えたら楽なのに……。
引き下がろうとしない紫狼にはぁっとため息をつく。
「わかったから……今度時間がある時に行くよ……」
「兎和⁉︎」
獅貴からの抗議の視線は気づかない方向で。
「本当ぉ⁉︎ オレ、待ってるよぉ!」
紫狼に尻尾が生えていたらブンブンと振っていそうな勢いだ。
大型犬に懐かれているみたいだ。
「時間がある時だからな」
「はーぁい。兎和、またねぇ。鷲也も羊助も、用は終わったから行くよぉ」
紫狼達は、踵を返してヒラヒラと手を振って行った。
ホッと息を吐く。
「兎和、まさか本当にあいつらの所に行かないよね?」
「時間があったらって言った。俺にそんな時間はない」
「だよね!」
獅貴の機嫌がちょっと良くなった。
まぁ、約束した手前、時間ができたら行くけれど。
圭虎が紫狼達が行った方向を見ながら問いかけてくる。
「兎和はなんであんな奴に気に入られてんだよ」
「俺もよく分からない……」
気に入られるような事をした記憶がない。
「本当に嫌いです」
笑顔でそんな事を言う穂鷹が怖い。
「紫狼のやつ、また新しい時計してたぞ。獅貴が買おうとしてたやつ」
「もう絶対買わない」
本当に仲が悪かったみたいだ……。
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