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本編
圭虎の苦悩 1 side圭虎
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最近イライラと落ち着かない。
それは、お昼の時間だ。
三人掛けのソファには、真ん中に兎和が座って両サイドに獅貴と穂鷹がいた。
それを見ながら、数日前の穂鷹の報告を思い出す。
『獅貴。私も兎和とやりました』
穂鷹は、ソファに悠々と座っていた獅貴に嬉しそうに近付いてそんな事を言った。
ベッドで千鹿を組み敷いていた所だったけれど、話が聞こえてきて腰の動きが止まる。
『圭虎さん?』
『黙ってろ』
緩やかに腰を動かして千鹿を喘がせて、聞いていない振りをする。
『嘘だろ?』
『キスマーク……胸に付けましたね? 隣に増やしときました』
『勝手に手を出すなよ!』
『ふふっ。兎和の秘密……あなただけが知っているわけじゃないと言う事です』
兎和の秘密?
『僕と同じ手を使ったのか……』
『本当に最高でした……桜色の乳首に、触っただけで赤く染まる肌。恥ずかしそうな顔にイク時の気持ち良さそうに眉根を寄せる顔……』
そんなに良かったのかよ……。
『思い出すなよ。あれは僕のものなんだ』
『これからは私のものでもあります。同じ手を使ったなら、獅貴に文句は言わせません』
『共有しろって? 嫌に決まってるじゃん』
『私だって獅貴にやられるの嫌なんですよ? お互い様でしょう?』
獅貴は、悔しそうに唸る。
『兎和の事を満足させられるのは僕だ』
『ふふっ。中イキもさせらなかったくせに』
『まだ初めてだったから優しくしたんだ! まさか……イカせられたのか⁉︎』
『いいえ……私の方が先にイッてしまいました……』
『ふはっ。だっさ』
『獅貴も同じくせに……』
穂鷹が先にイッただって⁉︎
ますます兎和に興味が湧く。
『──兎和の秘密……あれだけじゃないって知ってるか?』
『もしかして、背中ですか?』
『ちっ。そこまで知ってるんだ……』
『もちろん』
兎和の背中に何かあるのか?
くそ……二人の話が気になってイケない。
『千鹿。もう終わり』
『え?』
『お前じゃもうイケない』
『圭虎さん! 僕はどんなプレイもできます! 飽きたなんて言わないで下さい』
ウルウルとする千鹿を見ても、どうもヤル気にならない。
どんなプレイをしたって兎和じゃない。
さっさと服を着て、千鹿を特別室から出した。
『おい、お前ら。俺も兎和とやらせろよ』
『『ダメ(です)』』
『だから、なんでなんだ!』
『圭虎はその辺のやつでもできる。さっきまでやってたじゃん』
それができなくなっている。
千鹿だけじゃなく、他のやつを相手にしてもそうだった。
悔しいから言わないけどな。
『圭虎はいつも通り他の人でやって下さい』
『圭虎は手を出すな。穂鷹だって他でやれよ』
『嫌です』
二人はまた言い争っていた。
納得いかない。
なんで俺だけやっちゃダメなんだ?
そんな事があって、今も三人を見ていて苛立つ。
いつからか、兎和を想像しないとイケなくなった。
ひどい時は想像してもイケない。
こいつらは、本物でやってるんだよな……。
「獅貴。もっと離れて下さい」
「穂鷹が離れろ」
「あ……これ美味しい」
兎和は、獅貴と穂鷹が睨み合っている真ん中で、普通に食事を進める。
兎和の肩に回された獅貴の腕と腰に回された穂鷹の腕が邪魔そうだ。
「面倒臭いな……」
兎和は、ため息をつくと誰も座っていない椅子に移動した。
「あ! 勝手に移動するなよ」
「そうです! こっちに来て下さい」
二人を無視しながら、黙々と箸を進めていた。
美味しそうに顔を綻ばせて笑う。
なんだ? 胸の奥が熱いような……。
「兎和……こっちも食べるか?」
そっと俺の食べていた物も目の前に移動させてやれば、嬉しそうに笑った。
こんなに美味しそうに食べるやつは俺達の周りで見た事がない。
いつも食べている食事のはずだ。
「圭虎も食べた方がいい。美味しい」
「あ、ああ……」
言われた通りに食事をすれば、いつもより美味しく感じるのは気のせいか?
チラリと兎和を見れば、美味しいよなと言うように微笑まれる。
胸の奥で何かキュッと鳴るようなこの感覚はなんだ?
恥ずかしいような、照れ臭いような……こんなの今まで感じた事がない。
「兎和。こっち来て」
「お前達の近くじゃまともに食べられない。食事が終わったら行く」
このまま食べ終わらなきゃいい……。
獅貴の所にも穂鷹の所にも行かなきゃいいのに……。
そう思っていても食事が終われば、兎和はまたソファの真ん中に戻ってしまう。
──気に入らない。
「兎和、次はいつ時間ができる?」
「明日の土曜日の午前中なら時間があるかな……」
「やった。また明日連絡するよ」
「ずるいですよ! 私も会いたいです!」
「変な事はなしだからな……」
明日の午前中……俺はどうやってこいつらを出し抜いて兎和に会おうかと考えていた。
それは、お昼の時間だ。
三人掛けのソファには、真ん中に兎和が座って両サイドに獅貴と穂鷹がいた。
それを見ながら、数日前の穂鷹の報告を思い出す。
『獅貴。私も兎和とやりました』
穂鷹は、ソファに悠々と座っていた獅貴に嬉しそうに近付いてそんな事を言った。
ベッドで千鹿を組み敷いていた所だったけれど、話が聞こえてきて腰の動きが止まる。
『圭虎さん?』
『黙ってろ』
緩やかに腰を動かして千鹿を喘がせて、聞いていない振りをする。
『嘘だろ?』
『キスマーク……胸に付けましたね? 隣に増やしときました』
『勝手に手を出すなよ!』
『ふふっ。兎和の秘密……あなただけが知っているわけじゃないと言う事です』
兎和の秘密?
『僕と同じ手を使ったのか……』
『本当に最高でした……桜色の乳首に、触っただけで赤く染まる肌。恥ずかしそうな顔にイク時の気持ち良さそうに眉根を寄せる顔……』
そんなに良かったのかよ……。
『思い出すなよ。あれは僕のものなんだ』
『これからは私のものでもあります。同じ手を使ったなら、獅貴に文句は言わせません』
『共有しろって? 嫌に決まってるじゃん』
『私だって獅貴にやられるの嫌なんですよ? お互い様でしょう?』
獅貴は、悔しそうに唸る。
『兎和の事を満足させられるのは僕だ』
『ふふっ。中イキもさせらなかったくせに』
『まだ初めてだったから優しくしたんだ! まさか……イカせられたのか⁉︎』
『いいえ……私の方が先にイッてしまいました……』
『ふはっ。だっさ』
『獅貴も同じくせに……』
穂鷹が先にイッただって⁉︎
ますます兎和に興味が湧く。
『──兎和の秘密……あれだけじゃないって知ってるか?』
『もしかして、背中ですか?』
『ちっ。そこまで知ってるんだ……』
『もちろん』
兎和の背中に何かあるのか?
くそ……二人の話が気になってイケない。
『千鹿。もう終わり』
『え?』
『お前じゃもうイケない』
『圭虎さん! 僕はどんなプレイもできます! 飽きたなんて言わないで下さい』
ウルウルとする千鹿を見ても、どうもヤル気にならない。
どんなプレイをしたって兎和じゃない。
さっさと服を着て、千鹿を特別室から出した。
『おい、お前ら。俺も兎和とやらせろよ』
『『ダメ(です)』』
『だから、なんでなんだ!』
『圭虎はその辺のやつでもできる。さっきまでやってたじゃん』
それができなくなっている。
千鹿だけじゃなく、他のやつを相手にしてもそうだった。
悔しいから言わないけどな。
『圭虎はいつも通り他の人でやって下さい』
『圭虎は手を出すな。穂鷹だって他でやれよ』
『嫌です』
二人はまた言い争っていた。
納得いかない。
なんで俺だけやっちゃダメなんだ?
そんな事があって、今も三人を見ていて苛立つ。
いつからか、兎和を想像しないとイケなくなった。
ひどい時は想像してもイケない。
こいつらは、本物でやってるんだよな……。
「獅貴。もっと離れて下さい」
「穂鷹が離れろ」
「あ……これ美味しい」
兎和は、獅貴と穂鷹が睨み合っている真ん中で、普通に食事を進める。
兎和の肩に回された獅貴の腕と腰に回された穂鷹の腕が邪魔そうだ。
「面倒臭いな……」
兎和は、ため息をつくと誰も座っていない椅子に移動した。
「あ! 勝手に移動するなよ」
「そうです! こっちに来て下さい」
二人を無視しながら、黙々と箸を進めていた。
美味しそうに顔を綻ばせて笑う。
なんだ? 胸の奥が熱いような……。
「兎和……こっちも食べるか?」
そっと俺の食べていた物も目の前に移動させてやれば、嬉しそうに笑った。
こんなに美味しそうに食べるやつは俺達の周りで見た事がない。
いつも食べている食事のはずだ。
「圭虎も食べた方がいい。美味しい」
「あ、ああ……」
言われた通りに食事をすれば、いつもより美味しく感じるのは気のせいか?
チラリと兎和を見れば、美味しいよなと言うように微笑まれる。
胸の奥で何かキュッと鳴るようなこの感覚はなんだ?
恥ずかしいような、照れ臭いような……こんなの今まで感じた事がない。
「兎和。こっち来て」
「お前達の近くじゃまともに食べられない。食事が終わったら行く」
このまま食べ終わらなきゃいい……。
獅貴の所にも穂鷹の所にも行かなきゃいいのに……。
そう思っていても食事が終われば、兎和はまたソファの真ん中に戻ってしまう。
──気に入らない。
「兎和、次はいつ時間ができる?」
「明日の土曜日の午前中なら時間があるかな……」
「やった。また明日連絡するよ」
「ずるいですよ! 私も会いたいです!」
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