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本編
好きな人 side穂鷹
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兎和を見送って、胸の奥にある感情に微笑む。
今まで感じた事がない暖かいようなくすぐったいような気持ちだ。
まだテーブルの上に置いてあったお膳に嬉しくなる。
優しさというものに触れたのは久しぶりかもしれない。
いや、初めて?
この学園の生徒は、私達を恐れるか、或いは憧れて従う。
下心のある優しさなんてすぐにわかる。
兎和は、私を恐れても憧れてもいない。
印象は、服装を直せだとか、挨拶をしろだとかとうるさい人だった。
面倒だから近付かず、兎和とあまり話す事はなかった。
それなのに、他人と言っていい私の為に学食を持ってきてくれるなんて。
私だったら絶対やらない。
嬉しかったから、兎和と気持ちの良い事を共有してみたかった。
それで迫ったのに、結果はお茶まみれ。
今まで、あんな風に私を扱う人はいなかった。
打算もなく近付く人なんていなかった。
また笑えてくる。
兎和が着ていたブレザーを手に取って、ギュッと抱きしめてみた。
なんだろう……兎和の優しい香りがする。
それと、お茶の香りだ。
言いようのない興奮が湧いてきて勃ってきた。
そこで、ガラリと扉を開けて入ってきたのは、獅貴と圭虎だった。
「ついてくるなよ」
「ちげぇよ。たまたま行く方向が同じなんだよ」
何やら揉めている二人。
テーブルの上にあった二人分のお膳を見て、獅貴に問いかけられた。
「誰かいた?」
「ええ。兎和です」
「「え⁉︎」」
驚く二人に首を傾げた。
「そうか……ここに来ていたんだ。教室で大人しく待つようなやつじゃなかったね……」
「そういえば、獅貴の事を探していましたね」
「すれ違った……」
がっかりする獅貴に疑問が湧く。
「会う約束をしていたのですか? どうして獅貴と兎和が?」
「こいつさ、兎和とやろうとしてたんだ」
答えたのは圭虎だった。
「本当ですか?」
「別にいいだろ」
獅貴は視線を逸らす。
本当なんだ。信じられない。
「俺が途中で入ってきたから、中断したんだ」
「獅貴が途中でやめたって事ですか?」
「そう。びっくりするだろ? しかも俺に手を出すなって言うし」
驚いた。
いつもの獅貴なら、私達が何をしていようが普通にするのに。
兎和のしてる所を圭虎に見せたくなかった?
ふとキスをしただけで真っ赤になった兎和を思い出して微笑んでしまう。
「ふふっ。わかりますね。アレを知ったら……独り占めしたくなりますね……」
「手を出したのか⁉︎」
獅貴に詰め寄られて、クスクスと笑う。
「まだキスだけです」
「はぁ⁉︎ キスしただって⁉︎ 俺だけ何もできてないじゃんか……」
圭虎はいつも通りで微笑ましい。
「圭虎は手を出さないで下さい。私は兎和と付き合いたいんです」
「ダメだ。兎和は僕のものだ」
「獅貴は兎和と付き合っているのですか?」
「付き合ってない。でも、僕のなんだ」
獅貴の独占欲が見れるなんて珍しい。
かと言って、兎和を諦める気なんてないけれど。
「なぁ、穂鷹。さっきからなんで制服なんて持ってるんだ?」
圭虎が不思議そうに問いかけてくる。
「これ、兎和の制服なんです。汚してしまったので綺麗にして後で取りに来てもらいます。でも、買い替えて私のものにしちゃおうか検討中です……」
「で、なんで勃ってんだ?」
「だって、兎和の制服なんですもん。いい匂いがします……」
このままクリーニングに出したくないですね……。
「それ、僕が兎和に返すよ」
「嫌ですよ。獅貴には関係ないでしょう?」
「穂鷹め……兎和を譲る気はないからな」
「私もですよ」
獅貴の睨む顔にクスクスと笑った。
獅貴はチッと舌打ちすると不貞腐れてソファにドカリと座った。
気に入らなかったのか、誰かを呼んですぐにお膳を片付けさせた。
圭虎は、肩を竦めて椅子に座る。
勃ってしまった自分のモノをどうにかしたくて、ふと思いついて拓馬を呼び出す。
すぐにやって来た拓馬に兎和の制服を手渡した。
「裸になってこれだけ着て下さい」
拓馬は疑問に思いつつも、ブレザーだけを着た格好になった。
抱き付けば、お茶の香りがして兎和を思い出す。
「ああ……興奮しますね……」
そのままサワサワと拓馬の体を撫でまくる。
「ははっ。穂鷹って結構変態だよな」
見ていた圭虎が笑う。
「いいでしょう? とても楽しいですよ」
「俺にもやらせて」
「本物じゃありませんし、いいですよ」
こちらに来た圭虎も拓馬に擦り寄った。
二人でベッドに押し倒して上から見下ろして、ブレザーだけを着た兎和を想像する。
「なんか……すげぇ興奮するな……」
圭虎がゴクリと喉を鳴らす。
もしかして、圭虎も兎和を想像しているのかもしれない。
「道具使うのか?」
「いいえ。それはもうやめます」
道具を使わなくても、これだけ興奮するのは久しぶりだ。
拓馬を兎和に重ねて体を撫で回す。
本物はどんな肌触りなのか……あの綺麗な肌に触れてみたい。
心なしか圭虎の手つきも優しくて、笑ってしまいそうになる。
興味のないフリをして、圭虎も兎和を意識している。
そんな事、鈍感な圭虎には教えてあげないけれど。
「挿れますよ……」
と、拓馬に挿れようとした所で、後ろから肩を掴まれた。
振り向けば、獅貴だった。
「僕にもやらせて……」
獅貴も兎和を想像してやりたいんだ。
案外変態じゃないか。
圭虎と目を合わせてブハッと吹き出してしまった。
今まで感じた事がない暖かいようなくすぐったいような気持ちだ。
まだテーブルの上に置いてあったお膳に嬉しくなる。
優しさというものに触れたのは久しぶりかもしれない。
いや、初めて?
この学園の生徒は、私達を恐れるか、或いは憧れて従う。
下心のある優しさなんてすぐにわかる。
兎和は、私を恐れても憧れてもいない。
印象は、服装を直せだとか、挨拶をしろだとかとうるさい人だった。
面倒だから近付かず、兎和とあまり話す事はなかった。
それなのに、他人と言っていい私の為に学食を持ってきてくれるなんて。
私だったら絶対やらない。
嬉しかったから、兎和と気持ちの良い事を共有してみたかった。
それで迫ったのに、結果はお茶まみれ。
今まで、あんな風に私を扱う人はいなかった。
打算もなく近付く人なんていなかった。
また笑えてくる。
兎和が着ていたブレザーを手に取って、ギュッと抱きしめてみた。
なんだろう……兎和の優しい香りがする。
それと、お茶の香りだ。
言いようのない興奮が湧いてきて勃ってきた。
そこで、ガラリと扉を開けて入ってきたのは、獅貴と圭虎だった。
「ついてくるなよ」
「ちげぇよ。たまたま行く方向が同じなんだよ」
何やら揉めている二人。
テーブルの上にあった二人分のお膳を見て、獅貴に問いかけられた。
「誰かいた?」
「ええ。兎和です」
「「え⁉︎」」
驚く二人に首を傾げた。
「そうか……ここに来ていたんだ。教室で大人しく待つようなやつじゃなかったね……」
「そういえば、獅貴の事を探していましたね」
「すれ違った……」
がっかりする獅貴に疑問が湧く。
「会う約束をしていたのですか? どうして獅貴と兎和が?」
「こいつさ、兎和とやろうとしてたんだ」
答えたのは圭虎だった。
「本当ですか?」
「別にいいだろ」
獅貴は視線を逸らす。
本当なんだ。信じられない。
「俺が途中で入ってきたから、中断したんだ」
「獅貴が途中でやめたって事ですか?」
「そう。びっくりするだろ? しかも俺に手を出すなって言うし」
驚いた。
いつもの獅貴なら、私達が何をしていようが普通にするのに。
兎和のしてる所を圭虎に見せたくなかった?
ふとキスをしただけで真っ赤になった兎和を思い出して微笑んでしまう。
「ふふっ。わかりますね。アレを知ったら……独り占めしたくなりますね……」
「手を出したのか⁉︎」
獅貴に詰め寄られて、クスクスと笑う。
「まだキスだけです」
「はぁ⁉︎ キスしただって⁉︎ 俺だけ何もできてないじゃんか……」
圭虎はいつも通りで微笑ましい。
「圭虎は手を出さないで下さい。私は兎和と付き合いたいんです」
「ダメだ。兎和は僕のものだ」
「獅貴は兎和と付き合っているのですか?」
「付き合ってない。でも、僕のなんだ」
獅貴の独占欲が見れるなんて珍しい。
かと言って、兎和を諦める気なんてないけれど。
「なぁ、穂鷹。さっきからなんで制服なんて持ってるんだ?」
圭虎が不思議そうに問いかけてくる。
「これ、兎和の制服なんです。汚してしまったので綺麗にして後で取りに来てもらいます。でも、買い替えて私のものにしちゃおうか検討中です……」
「で、なんで勃ってんだ?」
「だって、兎和の制服なんですもん。いい匂いがします……」
このままクリーニングに出したくないですね……。
「それ、僕が兎和に返すよ」
「嫌ですよ。獅貴には関係ないでしょう?」
「穂鷹め……兎和を譲る気はないからな」
「私もですよ」
獅貴の睨む顔にクスクスと笑った。
獅貴はチッと舌打ちすると不貞腐れてソファにドカリと座った。
気に入らなかったのか、誰かを呼んですぐにお膳を片付けさせた。
圭虎は、肩を竦めて椅子に座る。
勃ってしまった自分のモノをどうにかしたくて、ふと思いついて拓馬を呼び出す。
すぐにやって来た拓馬に兎和の制服を手渡した。
「裸になってこれだけ着て下さい」
拓馬は疑問に思いつつも、ブレザーだけを着た格好になった。
抱き付けば、お茶の香りがして兎和を思い出す。
「ああ……興奮しますね……」
そのままサワサワと拓馬の体を撫でまくる。
「ははっ。穂鷹って結構変態だよな」
見ていた圭虎が笑う。
「いいでしょう? とても楽しいですよ」
「俺にもやらせて」
「本物じゃありませんし、いいですよ」
こちらに来た圭虎も拓馬に擦り寄った。
二人でベッドに押し倒して上から見下ろして、ブレザーだけを着た兎和を想像する。
「なんか……すげぇ興奮するな……」
圭虎がゴクリと喉を鳴らす。
もしかして、圭虎も兎和を想像しているのかもしれない。
「道具使うのか?」
「いいえ。それはもうやめます」
道具を使わなくても、これだけ興奮するのは久しぶりだ。
拓馬を兎和に重ねて体を撫で回す。
本物はどんな肌触りなのか……あの綺麗な肌に触れてみたい。
心なしか圭虎の手つきも優しくて、笑ってしまいそうになる。
興味のないフリをして、圭虎も兎和を意識している。
そんな事、鈍感な圭虎には教えてあげないけれど。
「挿れますよ……」
と、拓馬に挿れようとした所で、後ろから肩を掴まれた。
振り向けば、獅貴だった。
「僕にもやらせて……」
獅貴も兎和を想像してやりたいんだ。
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