15 / 38
15:芽生えたのは
しおりを挟む「は、ぁあ……っあ、や、だぁ」
枕に頬を押し付けて、力の入らない手でシーツを掻いて、強い快楽に耐える。
気持ちいい、いいけど、攻め抜かれたことなんて今まで経験したことのない俺には、どうしても強すぎる。
「っひぁ、ぁ、も、だめ、だってぇ……っ」
「何言ってるんですか、ここも、こんなに美味しそうなのに」
そう言って、ぷつりと尖った乳首をきゅっと摘まれて。
親指と人差し指でくにくに潰すように揉み込まれて、引っ張る。
その甘い刺激が思考を麻痺させて、快感だけを下半身へ伝える。
下も、触ってほしい。
だらだらと涎を垂れ流す自身は、実は突き入れられた時からほとんど放置されていた。
太ももや尻や背中には愛撫してくるくせに、わざとそこだけ外してるんじゃないかと思っていたが、実際は分からない。
後ろからの刺激にぴくぴくと反応するモノを慰めたくて、俺は自分のそれにゆっくりと手を伸ばす。
「……まだ、だめですよ」
自身に向かっていた手首をガシッと掴まれたかと思えば、耳許で咎めるように低く囁かれて、ギクリと心臓が跳ねた。
「っあ、ぁ……も、いやだぁ……」
お願いだ、触らして。
胸と後ろだけでも充分気持ちいいし、ちんこまでぴくぴく動いて喜悦の声を上げている。
……でも、それだけじゃ無理。
さすがに前を扱かないと、イけないんだよ。
「っうぇ、やぁ……」
これ以上我慢を強いられるのは限界だった。
触りたくて、気持ちよくて、でも物足りなくて。
そう思う自分が浅ましくて情けなく思うのに、衝動は抑えられない。
色んな感情が混沌して思考がぐちゃぐちゃだ。
だから余計に、なりふり構わず恥ずかしい台詞を言えたんだと思う。
「もっ、触りたい、ぐちゅぐちゅして、ぁっ……ぅ、イきた……っ」
ぐす、とうつ向いて鼻をすする俺に兄ちゃんは仕方ないですねぇ、と呆れたように呟く。
相手の名前を呼ぼうとして、ふと、俺は、この人の名前すら知らないことに気付く。
そんな初対面の男にこんなことを許してるなんて、尻軽女か……。
いや俺、男だけどさ。
まあ、尻だけに。とか、つまんねぇよな。
「っはぁ、あ……っま、え……」
「……なんです?」
「な、まえ……教え、てっ」
「ふふ、今それ言います? 遅いでしょ」
こんな時だって言うのに、兄ちゃんは情事が見え隠れする色っぽい表情で、だけどおかしそうに笑った。
うるせえ、俺だって今更だとは思ったよ。
もう少しタイミング考えろよ、ともな。
けど、気になったんだから仕方ない。
名前すら知らないやつに犯されてるなんて嫌だし。
「僕は、坂田って言います。坂田祐介」
さかた、ゆうすけ。
名前が分かった瞬間、何故か一気に親近感というか、心に残っていた不信感みたいなものが消える。
なんだ、この気持ち。
「っあ、ゆ、すけ……ッ」
「……っ、急に名前呼ばれたら、なんか凄いキますね」
ああ、分かるかも、なんとなく。
1
BLサイト集です→B L ♂ U N I O N
お気に入りに追加
131
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる