恋のヤンキー闇日記

あらき奏多

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犬を飼うということは、(side美夜飛)

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 舌を銜えて啜られ、甘い唾液を吸いあげられ、背筋がぞくぞくと熱く戦慄く。

「はっ、ぁ……っあぅ、ん」

 もっとと強請るように、兼嗣の口付けはだんだん激しく、顔の角度を変えて、何度も何度も食らいつくようになって、頭に響く卑猥な水音と、その感触に没頭する。

 触れたところから、とけそう、全部。
 頭ん中がどろどろになる。
 今がいつで、ここがどこだとか、どうでもよくなるくらいに。

「っふ、ぁ……っ、」

「みーちゃ……」

「っはぁ、ん……、ま、待て……舌、も、だめ、だ……ッ」

 口付けられたまま喋ると、やつの舌で口の中がモゴモゴして、くちゅくちゅいやらしい音が、恥ずかしい。

「んむっ、ぁ……かね、つぐ……っ」

「……んっ、もっと、味わいたい……」

 ちゅっちゅっと音を立てて軽く唇を啄みながら、兼嗣が俺の首筋に指先を滑らせて、言う。

 それ、無意識にやってんのかな。
 喉仏の下、鎖骨の中心の窪んだ皮膚の薄いところを指で擽られたら、声が出そうなくらいにぞくんと震える。

「……っは、ぅ……、だめだって……変な気分になるだろ」

 背けた横顔に、兼嗣の唇が追ってくる。
 身体の力が抜け、やつの腕に縋っていた手がずるずると落ちた。

 粘膜が触れあうと、どろりとした甘美な疼きが、身体のナカにまで響く。
 もっと欲しいって、思ってしまう。

 あのときだってそうだった。
 もう嫌だ、無理だって思ってるのは本当なのに、身体はずっと快楽だけを求めた。

 自分に裏切られたみたいな、心身がバラバラに引き裂かれたような気持ちだった。

 だから今は、取り返しのつかないところまでその気にさせられたら、俺のほうが困る。

「……っは、」

 ひく、と腰が震えて、同時に熱っぽい嘆息が漏れた。
 
 名残惜しむようにゆっくりと唇が離され、目を伏せる。
 やつの痛いくらいの視線を感じ、恥ずかしくて顔を上げられない。


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