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犬を飼うということは、(side美夜飛)
03
しおりを挟む「今まではそんなじゃなかったじゃん。どうしたんだよ急に」
「……急じゃ、ないよ」
「……」
「急じゃない。ほんとはずっと、我慢してた。嫌だった。みーちゃんが廣瀬と仲良いのが心配だった。俺のせいで熱だしたのに、俺よりもあいつを頼ったとき、やっぱり敵わないって思ったし、さっきのことだって……っ」
「はやく自分のものにしないとって、思った?」
「っ!」
堰を切ったように話す兼嗣を遮ると、弾かれたように顔をあげる。ぽかんとした情けない双眸を、無表情で見下ろす。
……男心だったら、俺にも分かるよ。
目をつけてた相手を他の誰かに盗られるのが、一番焦るよな。
「で、俺の醜態見れて、それで満足か? こんなもんかって、現実に気づいた?」
「……余計に、諦めつかなくなった」
──何年も前から気が気じゃなかった。だってみーちゃん、いつも自然体だから。
言うこととやることに嘘がないから、そこに惹かれる人間は、たくさんいるんだよ。
よくもまあそんなことを本人に言えるな、みたいな台詞を吐いて、兼嗣は眉を下げたままじっとこちらを見上げる。
「……どうして、レイプじゃないって言ったの?」
あぁ……、お前が廣瀬と花岡の前で宣言したやつな。
何を正直に暴露してんだと、あれは腹立った。
「……俺の矜持の問題」
「そう……、そっか。恥ずかしいもんね、男が男に、なんて知られるの、普通は嫌だよね」
「……はあ? 恥ずかしいとか嫌とかいう話じゃねえから。身体の傷はそのうち癒えるし、行為もいつかは慣れるだろうよ。けどな、そんときの最低な気分っつーのは、もう一生消えねぇんだよ」
あとお前が俺の気持ちを勝手に判断すんな。
推測はしろ。でもお前が決めるな。
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