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忠犬が狂犬になった理由(side美夜飛)
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しおりを挟む俺には、痛む傷を嘆く隙さえ、与えてくれないのか。
「冗談じゃねえよ……っ、」
そんな顔をするくらいなら、楽しくもねえなら、ハナからこんな真似すんじゃねえよ。
アホか、この凡クラ変態野郎が。
本当に、本当に無意味だ。
その無意味な行為に、ただ利用されるこっちの気持ちも、少しは考えろよ。
「っ、き、らい……っ、お前なんか、大っきらいだ……っ」
浮き出た鎖骨を噛まれ、鋭利な痛みに喉奥で呻くと、歯型のついたそこにぬるりと熱い舌が這う。
服の中に手が入ってきて、腹を撫で、胸にまで上がって、まだ柔らかい乳首に触れて。
ゆるりとそこを摘むと、ぶわっと身体中に、熔岩ような血液が勢いよく巡った。
「……だいすきだよ、みーちゃん」
「ふ、ぁ……ッあ……っ」
じゅわり、先端から滲む先走りで、下着が湿る感覚がした。
身体が、もう。
自分の意思とは関係なく、変わってしまったんだと突きつけられる。
大きらいだ、お前なんて、本当に心底きらい。
情けなくて、不甲斐なくて、涙が出てきた。
ぼろぼろとみっともなく、自分では制御できないくらいに。
「やだ……っ、やだ……、いやだって言ってんだろ……っ!」
いくつもの冷たい雫が火照った頬をつたっていく感触が、ただただ虚しさを増長させる。
弱者のように咆えることしかできない自分が、みじめだった。
上半身をまさぐった大きな手は下のジャージに伸びていき、兼嗣の身体が邪魔で脚を閉じきれず、下着の内側まで侵入を許してしまう。
乾いていたはずの指が、俺の萎えた自身に触れた途端、ぬるりと滑る。
俺は、濡れるようにできた身体じゃない、はずなのに。
ぬめりを絡めとった長い指が、そのまま後ろに触れ、すぐさまぬちゅりとねじ込まれる。
「っひ……ぁ、いてぇっ、痛、ぃあ……っ、」
ゆっくり、けれど問答無用に体内へ指が挿入される。
慣れるはずもない不快な感覚に、きゅう、と健気に指の輪郭を締めつける。
……ああ、また。またあんな目にあうのか。
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