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遅かれ早かれ(side美夜飛)
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しおりを挟むでも高熱のわりにあまり寒気はしない。
むしろ布団の中は眠気を誘うくらいぬくぬくしていて、それは廣瀬が俺に厚着させていたからということに今さら気づいた。
インナーは二枚とも自分のだけど、一番上に着ている白いシャツは見覚えがあるから、廣瀬のものかもしれない。
窮屈にならないようダボついたものをあえて着せたのかも。
いやな役回りばかりさせてしまったこと、あとできちんと謝っておかなくては。
「ほんと、何したらそんなになるの……」
「こっちが聞きてえよ……。子どもの頃、事故った翌日もこんなだった。そん時はわけ分かんねえんだけど、後から倍の反動が筋骨にくる感じ……」
「そっか。そうだよね……。乱暴にされたら、身体へのダメージは事故並みだ」
「……こんなの、ずっと続くのかな」
「え?」
「何でもない。ちょっと寝る」
何だか変なことを口走ってしまった。
きっと熱でぼんやりしているせいだ。
内心を人前で吐露したことに気恥ずかしくなり、寝返りをうって花岡に背を向ける。
少し間をあけてから、言葉を選ぶような温厚で優しい声が聞こえた。
「……朝日が、兼嗣に歩み寄るつもりなら、ソレは慣れだと思うよ」
「な、慣れるくらいすんのか……。あれを……」
「え、もしかして生々しい話する?」
「しねーよ。あと乱暴にもされてない」
縛られてたわけでもないし。
ケツは痛ぇけど、あんな腕みたいなモノを挿れたわりには、切れてるわけでもなさそうだし。
粘膜が摩擦のせいでまだ違和感があるのと、括約筋が腫れて緩んだような変な感じはするけど、その程度だから。
事後処理はちゃんとしたようで、身体のベタつきもないし、腹も下してない。
筋肉痛と、体内の炎症からの高熱や頭痛さえなくなれば、すぐ治ると思う。
「生々しい話じゃん……」
「……まじ? もう喋るのやめとこ」
「……いや、まあ、聞きたくないってわけじゃないんだよ。でもちょっと想像しそうになるっつーか……。ここ男子寮だからそういう話もたまに聞くけど、基本的に免疫ないし」
「……もしかしてお前、童貞?」
「……え、なに。童貞だけど童貞めっちゃ多いんだぞ。男子校上がりの寮生ばっかだし。えっ、待って。俺には荷が重い話する気?」
「はは、どうだろ。気楽に聞いとけばいいんじゃね」
別に詳しくは言ってないんだけど、こういう話はどうしてもそうなるよな。
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