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遅かれ早かれ(side美夜飛)
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しおりを挟むぼろん、と飛び出したそれを目の当たりにした瞬間、卒倒しそうな目眩とともに、全身の血の気が引いた。
「──む、りだ……。むり、むり、なんだそれ……っ」
信じがたい光景に、声が、呼吸が震えた。
「……俺のちんちん、みーちゃんに挿れたい……」
「……っいや、」
ふるふると小さく首を横に振る。
ちんちんっつーか……、魔羅!それ、魔羅だわ!
痩せてる女の腕の太さくらいはある。
よく今までパンツに収まってたな?
平常時もこんなだっけ?
いや、そんなことはなかったはずだ。
膨張率が規格外で、これは幻覚なんじゃないかと自分の目を疑う。
腹につくほど屹立し、グロテスクに血管の浮き出た赤黒いそれ。
テラテラと怪しく濡れていて、何となくクリーチャーや醜いモンスターを想起させて、釘付けになる。
いっそ作り物みたいな現実味のないサイズに、見たくもないのに目が離せない。
「……はあ、みーちゃん、みーちゃん……っ」
余裕のない必死な顔で息まいて、左右に開いた双丘の中心に熱い切っ先が宛がわれる。
性急すぎるそれに、ハッと我に返る。
──抵抗、しないと……っ!
「っい、やだッ、兼嗣っ、かねつ──ッッ!!!」
ブチブチと、身体を切り裂かれたみたいだった。
背骨に熱された鉄杭が突き刺さったような衝撃に、目を見開いたまま硬直した。
ぐんっと背筋が伸びる。
あげた脚の付け根が、押し入ってくる腰が、自らの上体を支える肘が、油の切れた機械みたいにミシミシと壊れそうに軋む。
「うあっ、み、ちゃ……きっつ……ッ、!」
「はぁ……っ、は……ッ、──!」
声も出せずに、干上がった魚のようにパクパクと口だけが動いた。
焼石みたいな熱しか感じない中心から、手足の末端までぶわりと総毛立って。
尋常じゃない汗が、背中や髪の内側までドッと吹き出す感覚がする。
心の準備も、何もなかった。
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