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遅かれ早かれ(side美夜飛)
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しおりを挟むさざ波のように身体中を支配する性感が怖くて、指先が真っ白になるまで枕を握りしめて、かぶりを振った。
「ッぁ、あッ、アッ、ゃあ……っひ、ぁアぁあ……ッ!!」
髪を振り乱して、枕に横顔を押し当てる。
腰が絶頂に向かって浮きあがる。
煮えたぎってぐちゃぐちゃになった脳みそは使い物にならない。
「すごい乱れよう……」
前も後ろもぐちゃぐちゃに弄くりまわしながら、兼嗣は高揚したように囁く。
「っ、は……ぁ、っるさい、ばか……っ、ばかっ、ぅうぁ……ッ」
「イくところ、見せて……?」
「……っうぅ゙……、みるなよぉ……!」
理性も矜持もギリギリで、涙で視界が霞む。
イヤイヤと譫言のように悶え、意味のない嬌声がひりつく喉から迸る。
力んで筋張った首筋に歯を立てられ、汗の浮く鎖骨にぬろりと舌が這いずった。
その感触にぞわっと背筋が粟立ち、自身の窪みには指先がねじ込まれる。
鋭い刺激にひっと腰が引けて、逃げた先には尻を貫く指が根元までつっかえて、どこにも行けない腰を、さらにめちゃくちゃにされて。
触られただけで飛び跳ねる、ナカのじんじん疼くところを、コリコリ引っ掻いて、指で挟んで揺すられたら、もう。
「ッ、っ……ッ──! ひ、やァあッ、あっ、あ……っ!」
暴力的なほどの愉悦に、全身がただの熱い芯の塊になったみたいに震えあがり、硬直して。
激しい濁流に追いやられるように、昇りつめる。
内側から押しよせる獰猛な快美に、目の前が白く、鮮烈に弾けた。
「~~っッ! ッあ、ァあ゙……ッ、──っ! ──……ッッ!!!」
声も忘れて、びくびくびくっ、と一層大きく痙攣した。
顔面に白濁が勢いよくかかり、とっさに目を瞑る。
一瞬、キンと耳鳴りがして、何も聞こえなくなって。
魂だけが抜け出したみたいな、身体がなくなってしまったような浮遊感がしばらく続いたあと、ゆっくり、脚をおろして横に倒れる。
操り人形のように全ての力を失って、マットレスに身体が沈みこんだ。
その感触で、自分の肉体を実感する。
よかった。からだ……、ちゃんとある。
長時間無理な姿勢だったせいで、太ももを擦り合わせるとズキズキと腰に響いてあり得ないほど痛かった。
その脚の感覚は、今は痺れてよく分からない。
狭くなった気管支から、ひゅーひゅーと死にそうな自分の呼吸音も聞こえる。
うっすら目を開けると、兼嗣の胸から下が視界に入った。
「っは、は……ぁ、……っ」
「……」
ぎし、とベッドが軋む音に、身動いだ兼嗣を目だけで見上げた。
疲労困憊で、すぐには動けない。
「み、ちゃん……」
「?」
……なんだ、何。
赤面した兼嗣は、何か言いたげに口をわなわなと震わせている。
もしかして、やっと謝る気になったのか、こいつ。
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