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遅かれ早かれ(side美夜飛)
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しおりを挟む──貪る、という表現が一番しっくりくる。
脊椎がぞわりとするような鉄の風味がするキス。
熱したスプーンで脳みそを掻き混ぜられているみたいだった。
「……っ、う、ぅ゙……ッ」
何度も口に吸いついてきて、そろそろ唇が腫れそう。
こんなことを幼なじみにされてるって事実に、迫りあがる吐き気を懸命にこらえる。
口付けながら身体をまさぐる、兼嗣のゴツゴツした手首を掴むが、止まらない。
やつの手は平らな胸を揉みしだき、もう片方はいじられすぎて半端に勃ちあがったモノをぐにぐにとこねくりまわす。
「……っや、だぁ……ってぇ、!」
ぷは、と何とか顔だけ背けて言葉を発する。
水からあがったように口が酸素を求めて大きく開くと、そこに食らいついてきて、首を振って呻いた。
「……ん、もっと、口の中、なめたい……」
互いの間に透明な糸が引いて、ぷつりと切れる。
兼嗣の唇がてらてらと濡れているのが間近で見えて、それが生々しくて目を逸らす。
「も、充分だろが……っ、」
「いいや? みーちゃんは感度、悪いんだね。緊張してるから?」
「っ相手がお前だからだよ……っ!」
ふぅん……とつまらなそうに目を細める兼嗣にカチンとくるが、そんなお前の持ってる薄っぺらい本やエロゲみたいにアンアン言うわけないからな。
ざまあみろ。そしてそのまま萎えろ。
好き合ってもない、合意のない生身の人間に無理やりどうこうしようったって、無理なもんは無理なんだよ。
世の中そう易々とエロ漫画みたいになってたまるか……!
「じゃあさ、どろどろに濡らして刺激したら、少しは気持ちよくなる?」
「は?」
不穏な台詞に、きっと物凄く不細工に顔をしかめると、やつは自分のジャージのポケットから薄いピンク色の見たことのない形の容器を数本、取り出して見せる。
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