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受難の前兆(side美夜飛)
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しおりを挟む待て待て待て待て、恐い、恐いってこれ。
これ誰?俺のこと?え?
なんて?何これ?うん?
目玉が飛び出そうなほど見開いて、綴られた文字に目が釘付けになるが、内容が全く頭に入ってこない。
まだ文章は半分以上も続いていたが、これ以上見るのも知るのも恐ろしくて、急いで日記を引き出しにしまった瞬間──、
「あれ? 何してんの……?」
「──っ!!!」
「ん? 朝日だけ? 兼嗣は?」
「っおま……、ッまじ、驚かせんな……っ」
「えっ、なに?」
本当に、足がすくむほどびっくりして、両手で顔を覆った。
危ない。ちょっと泣きそうになった。
ドアの前にいたのは、兼嗣の同室の男だ。
まだ心臓がドキドキしてて、背中に冷や汗がつたう。
ベッドから兼嗣が落ちそうになったときより緊張した。
勝手に人の日記なんて読むから、バチが当たったんだ。
「……か、兼嗣は風呂。俺も、もう戻るわ……」
「え、あ、あぁ……。大丈夫か? なんかあんた、顔真っ青だけど」
「……ん、大丈夫」
「……」
兼嗣と同室の男が入ってくるタイミングで、その横を通って俺は部屋から抜け出した。
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