7 / 107
受難の前兆(side美夜飛)
07
しおりを挟むそう思い、俺はベッドからおりて、読んでいた漫画をちゃんと本棚にしまう。と、不意に、いつも鍵をかけている机の引き出しが目に入った。
そういえば、あの薄っぺらいエロ本、あそこに入れてたよな。
あの引き出しは、兼嗣がいつも書いてる日記を保管している場所だ。
さすがに内容まで見たことはないが、俺がいるときでも平然と書いてることもある。
今まで中身なんて見たいとは思わなかったのに、何故だか今日は物凄く気になった。
まあ、鍵がかかっていたら素直に諦めるし……。
言い訳みたいに心のなかで呟いて、忍び足で移動する。
机の一番上の引き出しに手をかけると、そこは俺自身が逆に驚くくらい、あっさり開いた。
……やばい、かな。
こんな、プライベートに土足で踏み込むようなこと。
しかもさっきのエロ本の下に、いつも兼嗣が書いている日記の表紙がもう見えている。
よくある見慣れた大学ノート。
いやいや……これはさすがにだめだろ。
他人の日記見るとか、スマホこっそり見るくらい良くないことだ。
だめだけど……、でも。ここまで来て何もせずに引き返すのも癪だった。
正直、兼嗣に精神的に負かされたような気がしたのが屈辱で、根に持っていた。
あいつはそんなつもりなかったのかもしれないけれど、俺にとって結構な衝撃だった。
だから何か……。単純にムカついたし、あいつの弱味を知りたいと思ってしまった。
どうせあいつは風呂に行っていてしばらくは帰ってこない。
一ページだけ見たら、とっとと部屋に戻ろう。
そう思い、俺はノートを手にして、パラパラと適当なページをめくった。
──××月××日。
今日は学校が休みだったから、朝からみーちゃんの部屋でテレビ見てた。
同室になれなかったのは残念だけど、これはこれで充実してると思う。
朝ごはんの後にテレビ見ながらくつろいでいたら、暇だったのか、寝転んでいたみーちゃんに背中を蹴られた。たまにしてくる。みーちゃんは相変わらず足癖が悪い。
でもちゃんと手加減してくれてるみたいで、痛くないから全然イヤじゃない。
でもちょっと困る。だってかわいい。
俺のことを足蹴にしながら、イタズラっぽく笑うみーちゃん。かわいい。
いつも素足で蹴ってくるの、かわいすぎて、寝転んでるからお腹が丸見えで、無防備で、足首つかまえて腕の中に抑えこんで、爪先から全身まで舐めてやろうかと本気で思った。
まあ今はまだしないけど、いつかは絶対舐めたい。
一体どんな反応するのかなあ。
嫌がるかな……。嫌がるよね。
でももしかしたら、案外可愛い反応するかもしれない。
可愛いって、どんなだろう。
みーちゃんの可愛い顔、いっぱい見てみたい。
昔は黒かった髪は中学のときから金色になってしまったけど、白い肌に似合っていてきれいだ。
ちょっと悪そうな笑顔はずっと、子どものころから変わらない。
たまにふざけて腰や脇のあたりをくすぐったら、いつも顔を真っ赤にして笑いながら、うっすら涙目になるのが、えっちでかわいい。
いつも死ぬ気で我慢してるけど、そのうち爆発しちゃいそう。
もしかして、腰や脇が性感帯なのかな。
今度機会があったら、さりげなく触ってみようと思う。
いつもみたいにじゃれ合ってるときでもいいけど、寝ているときに試してみても──……
「……は…………?」
5
お気に入りに追加
284
あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…




【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。


言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる