2 / 107
受難の前兆(side美夜飛)
02
しおりを挟む不審に思って手探りでゴソゴソと漁ると、その固くて角ばったやつが、枕の下ってより、シーツの下にあることに気づいた。
その時むずりと芽生えたのは、イタズラ心。
こいつはいつもエロ本の類いを全力で隠してくる。
だからこれはたぶん、しまうのを忘れていたんだろう。
黙っていれば分からないと思い、しめた顔で俺は四隅がゴムで止めてあるシーツの下に手を突っ込んだ。
ちょうど枕の下あたりの位置──、冊子のような本みたいなものに指先が触れる。
一体こいつが普段どんなネタで抜いているのか、純粋に不純な好奇心がわいて、からかってやろうと引っ張り出してみると、それはなんの抵抗もなくするりと出てきた。
普通の雑誌よりは小さくて、単行本より大きい。が、それにしても随分と薄っぺらい。
でも表紙を見ると明らかなエロ漫画だ。左上には“R18”のロゴがある。
巨乳でいかにもな萌え系イラストの小麦肌ギャルが、全身にあやしい白濁をかぶって、嬉しそうなアヘ顔で惜しげもなくを胸さらし、肉感的な両足を開脚させている。
一応水着のような面積の小さい布で最低限のところだけ隠されているが、溢れんばかりのでっかい乳は丸出し。
こんなんリアルであるわけねーだろ。
くっきりとした日焼け跡は、そういうフェチでもあんのか?しかもパイパンて。
まあもともと、あいつがこういうアニメのキャラを好きなのは知っていたが、まさかズリネタにまでしていたとは。
今さら引きはしないが、エロゲだけでなく本まであるとは思わなかった。
やっぱ現実の女に興味ないんかなあ、とはちょっと思った。
本を手にして、俺はまた仰向けに脚を組んで寝転び、薄いそれをパラパラとめくる。
過激で誇張しまくったヤリまくりイキまくりの漫画を流し見ながら、ふと、ハッと我にかえる。
ひょっとしなくてもこれ、今、俺が寝てるこの布団で、毎回オナってんの……?
同室の人間がいるから機会は限られるだろうが、その思考に行きついてしまったせいで、もうなんか一気にぞわわっとムズ痒くなって。
子どもの頃からの幼なじみだからこそ感じてしまった妙な生々しさと気恥ずかしさに、思わず言ってしまった。
「お前、いつもこれで、ここで抜いてんの?」
「えー、なにー?」
穏やかで間延びした、いつもの調子の声が聞こえる。
5
お気に入りに追加
284
あなたにおすすめの小説

身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;



好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる