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鍛冶師と調教師ときどき勇者
アルバガイスト
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——精霊が治める彼の地に人が生まれ落ちた
欲を与えられし心
破滅と再生を繰り返す
怒りを持って見つめる
慈愛を持って包む
相反する心
割れる
白い種が弾ける
黒い種が生まれる
黒い種は闇となり絶望を運ぶ不穏の種となる
白い種は光となり希望を生む光の種となる
北に不穏の種が生まれ芽吹く時、人々は嘆き続け暗闇に屈する
南に勇気ある者生まれ風吹かす時、人々は光の種の芽吹きを感じる
勇者は禍災を打ち消し、困難な道を切り拓く
灯を掲げる導く者が人々の道標となる
聖に寵愛されし小さき者、その手中に光る種
彼の地の人を救うべく、勇気ある者は応える
風が火を呼び、土は水を運ぶ
不穏の種は絶望と共に枯れる
彼の地に安寧が訪れ、光の種と共に北の地に不穏は眠る
人々は安寧の地を得、繁栄を為す——
重い瞼は、開ききらない。
血の足りない体、黒素の嵐と砂嵐のようなノイズが混じる視界。
生きている。
ハルヲはゆっくりと、視界を動かした。
ピントの合わないボケた視界に、クエイサーの顔が映り込む。
手を伸ばし、優しく頬を撫でた。
覚醒しない意識が、現状の理解を拒む。
体に力が入らない。
何が起こった。
体が重い、まるで自分の体じゃないみたいだ。
視線を足元に向けようと覗き込むと、覆い被さるキルロの姿が目に入った。
頭が一気に動き出す、血の足りない体はクラクラと思考を拒む。
ゆっくりと覆い被さるキルロから這い出ると、クエイサーを呼んだ。
「クエイサー。ここ来て」
ハルヲに寄り添うクエイサーのサドルバッグから、回復薬を取り出し一気に飲み干した。
血の足りない体に効果は薄い、輸液とシリンジを取り出し自らの血管へ輸液をポンプする。
失った血の代わりに輸液が体に回り始めると、少し吐き気を催しながらも意識は覚醒を始めた。
「キノ⋯⋯、こいつは生きているよね」
「うん」
身動きひとつ取らず地面にうつ伏せるキルロを指した。
クラクラと揺れる頭をゆっくりと起こして行く、頭にあった血が一気に下がり視界が白黒に反転する。
目を閉じて、落ち着くのを待った。
そうだ、一角獣に腹を貫かれたはず。
ハルヲは腹部に触れる、穴の開いた服から腹部は剝き出しになっているが、綺麗に閉じている。
また、借りを作ったわ。
漆黒の地面に倒れ込む、キルロを見つめた。
吹き荒れる黒素の嵐の中に漆黒の一角獣が見当たらない。
躯が転がっていない状況に、ハルヲは緊張を持った。
「もう大丈夫。鍵開いたから」
「どういう事?」
「そういうことよ」
「??」
要領を得ないキノの答えにハルヲは困惑しかしない。
そんなハルヲの姿に、いたずらっぽい笑顔を向けた。
「ハルヲ、行こう」
「え? どこに?」
キノの小さな手が、ハルヲの大きくない手をギュっと握る。
ハルヲも握り返すと、キノはゆっくりと黒しかないクレーターの端を目指した。
ほんの数Miしかない距離が、長く感じる。
重い体を引きずり、キノに手を引かれる。
端に辿り着き足元を覗き込む。
ここが断崖絶壁だと何とか理解出来た。
黒素の嵐が視界を覆い一面の漆黒だけが目に映る。
どのくらいの高さが、深さがあるのか、一面の黒が隠す。
漆黒が覆い尽くす世界。
黒一色の世界、夜の黒とも、闇とも違う人が触れてはいけない世界。
ハルヲの直感がそう感じる。
これは人の外にあるもの。
【最果て】か⋯⋯。
逡巡するハルヲをよそに手の中にあったキノの手がするりと抜けた。
「キノ?!」
キノがいたはずの地面に純白の小さな鎧と白銀のナイフが転がる。
「どこ!?」
キョロキョロと辺りを見渡しキノの姿を探す、隠れる物など存在しない。
『ハルヲ。ありがとう』
キノの声が届く。
頭の中に直接響くキノの声。
顔を前に向けると、断崖の先に白く輝く美しい女性を模した精霊の姿があった。
幽体が放つ、真っ白な光にハルヲは目を細める。
具体的に顔があるわけではない、成人の女性の姿をしたそれは、ユラユラとハルヲの眼前で揺らめいていた。
温かな午後の陽射しのような温もり、心地良い風がハルヲの頬を撫でる。
漆黒の世界をポツンと明るく照らす。
それは希望そのもの。
「キノ⋯⋯」
何を言えばいいのか、聞きたい事は山程あるのに言葉が出てこない。
ただ、不思議と混乱はなかった。
幽体となったキノの手が、ハルヲの頬を優しく包む。
ハルヲはその手に自分の手を重ねた。
『マッシュも、ユラも、フェインも、カズナも、エーシャもありがとう。ネインも、シルも、ハルヲのお店のみんなも、アルバの人達もみんな、みんなありがとう』
「うん、うん⋯⋯」
ゆっくりと頬伝う涙を拭う事もせず、ハルヲはずっと頷いた。
『エレナ⋯⋯ずっと友達』
「伝える。必ず」
顔のない姿なのに笑った気がした。
『キルロ、またね。楽しかった』
「うん」
『ハルヲ、キルロをよろしく。みんな大好き⋯⋯』
ハルヲの頬からキノの手が離れた。
一面の漆黒へ白光を放つキノが吸い込まれて行く。
白光は小さくなっていく、ハルヲはその光の点を見つめ続ける。
消えかかる光。
その瞬間、直視出来ない程の大きな白光の柱が立った。
ハルヲは目を固く閉じて腕で顔を隠す。
「うわっ! なんだ、なんだ、眩しいな!」
ユラが余りの眩しさに思わず腕で顔を覆う。
北方に直視出来ない光の柱が現れた。
詳しい事は分からんが、うまくやったに違いない。
マッシュは北方から目を背けつつ、口角を上げた。
シルも、カズナも笑みを浮かべる。
その様子に気が付いた、ユトとマーラから緊張が解けていった。
光は一瞬。刹那、黒素の嵐は止み、一転して透き通るような青空が北から広がっていく。
フェインは、その光景に目をパチクリと丸くする。
ユラは周りを見渡し、何事が起きたのかさっぱりだった。
「あのよ、あのよ、こらぁ一体どういう事なんだ?」
「です⋯⋯、です⋯⋯」
マッシュとシルが顔を見合わせているとカズナが口を開く。
「あのお人好しガ、ハルとふたりでやり遂げたって事ダ」
「はは、今日は良くしゃべるね」
ユトがまたからかうように口を挟んだ。
カズナはユトに向かって、笑みを浮かべつつ一瞥する。
フェインは、目を丸くしたまま顔を紅潮させていった。
「やったのですね! おふたりともさすがです!」
「当たり前よ。私の王子様なんだから、これくらい朝飯前よ」
何故かシルが胸を張った。
その姿にマッシュは吹き出し、マーラは呆れて見せる。
「別におまえさんがやった分けじゃあるまい」
「いいじゃない。みんな誇りましょう」
「あ、でもキルロさんはそういうのイヤがると思いますです」
「確かに。ハルもイヤがりそうだ」
「そう言われちゃうと身も蓋もないじゃないー」
シルは残念そうに頬を膨らまして見せたが、すぐに頭を切り替えた。
弓なりの双眸が柔和な笑みを称え、北を見つめる。
「まあ、あんまり大仰にするとみんなの王子になっちゃうし、言う通りに大人しくしておくわ」
「そいつが賢明だ。さて、迎えに行こう。オレ達が一番乗りだ、そこは譲れないだろう」
一同は頷き合い、抜けるような青空の下、北へと歩き始めた。
救護テントの前で、エレナはその光に目を凝らした。
北方で天まで伸びる一柱の光。
優しい風が黒素の霧を洗い流す。
「キノ⋯⋯?」
口から言葉が零れ落ち、ポケットの上からキノのピアスをギュっと握り締めた。
直感的にこれが別れだと感じる。
そこに寂しさはあったが、悲しみはなかった。
口をギュっときつく締め、また自らの戦場へと戻って行く。
戦場に届くその光は間違いなく希望だった。
俯いていた者も、その光に顔を上げる。
「やったね」
エーシャは光を見ながら、ニヤリと笑みを零した。
黒素の霧が晴れていく。
絶望を司るふたつの龍が、黒素の霧と共にその姿が霞のようにゆっくりと消えて行った。
抗う者達は手を止め、自らの勝利を確信する。
ボロボロの勇者は、安堵と共に膝を落とす。
終わった。
霧が晴れ、空が一面の青に覆われていく様に誰もが天を仰いだ。
「勝ったよ! 私達の勝利よー!」
隻眼のウィッチが鞍上から拳を突き上げた。
天を仰いでいた者達が、顔を見合わせ、感情を爆発させる。
「おおおおおお!」
「やった! やったぞ!」
その歓声は大きなうねりとなる。
抱き合う者、疲れ果て座り込む者、涙を流す者。
ウォルコットはずっと天を仰ぎ続けた。
フィンはその場に座り込み、安堵の溜め息を漏らす。
リグとミルバ、それにオットは期せずして北を見つめ思う。
『やったな(ね)』
ミドラスではハルヲンテイムのみんなが北方から吹く風に北へと視線を向けた。
アルバの畑に精を出す、兎人と小人族達も手を止め北へと向いた。
「うまくいったみたいネ」
マナルは人知れず畑の中で笑みを零した。
北方から心地良いそよ風が吹き抜ける。
安寧をもたらすその風に身を委ねた。
この地に集う者達は感じる、今までとは違う風が吹き抜けたと。
安寧を運ぶ北方からの風に希望を受け取り、誰しもが顔を上げた。
向けられていた絶望は音も無く消えて行き、人々はいつも以上に笑顔を向け合う。
何も知らぬ人々は、何事もなかったかのごとく日常はつつがなく流れていく。
青空が大地の黒を照らす。
拒絶する大地ではなくなった。
黒い嵐も消え、殺伐とした風景に柔らかな光が照らす。
ゆっくりと向かってくる小さな人影と獣の影。
マッシュがいち早く指さすとフェインは駆け出した。
「ハルさーん! キルロさーん!」
その声にハルヲはゆっくりと顔を上げた。
ズルズルと血の足りない体は重く、歩くのもやっとだ。
しかし、その声にハルヲは破顔する。
「クエイサー、もう少しね」
背中にキルロを乗せるサーベルタイガーに声を掛けた。
涙と鼻水でぐしゃぐしゃのフェインがハルヲに飛び込む。
ハルヲの心は安堵に満たされ、体の力が抜けて行く。
ぐったりとするハルヲをフェインは笑顔で抱きかかえた。
「ハルさん! お疲れ様です。もう大丈夫ですよ」
柔らかなフェインの声色が沁みる。
終わったという充足感が満たしていく。
「ハルー!」
シルも満面の笑みで抱き着いた。
誰もが笑顔で迎える。
「でよ、キノはどうした?」
ユラの一言に一同が驚愕の表情を浮かべる。
今、そこ!?
フェインに抱かれたまま、ハルヲは答えた。
「家に帰ったわよ」
「おお! そうか。んじゃ、オレ達の勝ちだ。それとよ、団長は寝ているのか?」
「多分、極度のマインドレスでね」
「そうか、そうか」
現状をようやく把握出来て、ユラも破顔した。
「よし、オレ達も帰ろう」
「ほら、ハル」
シルはしゃがみ込みハルヲに背中を向けた。
「いや、いいわよ。自分で歩くから」
「何言っているのよ。フラフラだったじゃない。ほら、早く」
ハルヲは照れながら、シルに抱きかかえられた。
「ハル、【最果て】はどうだった?」
前を行くマッシュの問いかけに一同の視線はハルヲに向いた。
ハルヲは諦めたように嘆息し、口を開く。
「人の外にある場所って感じだった⋯⋯⋯⋯」
訥々と語り始めるハルヲの言葉に、みんなが耳を傾けた。
未知の地、未知の世界、精霊⋯⋯。
どれもがお伽噺のような現実感の薄い世界。
「あ! そうだ! キノから伝言預かっているよ。みんなありがとうって」
その言葉に少しの寂しさを、照れ笑いでごまかす。
各々がキノの姿を思い出し、少しばかり物思いに耽った。
疲弊がのしかかる重い体も苦にはならない。
終わったという充足感が、足を前に出し、一歩また一歩、確実に歩を進めた。
辿り着くレグレクィエス(王の休養)は、思ったより静かだった。
笑顔も零れているが、悲しみに暮れる顔も散見する。
終わったという充足感が覆ってはいるが、ついた爪痕は簡単に拭える物ではなかった。
【スミテマアルバレギオ】とシル達の合同パーティーの帰還は静かに迎えられる。
破顔するエーシャがひとり出迎えてくれた。
「おかえり。みんなひと休みしよう。聞きたい事は山程あるけど、まずは休みましょう」
「異議なし」
マッシュの言葉に一同は頷き、静かにテントの中へ消えて行った。
子供の笑い声が聞こえる。
心地いい風が吹き抜けた。
ゆっくりと重くなった瞼を開く。
明るい陽射しに、また目を閉じる。
乾いた口の中。
またゆっくりと瞼を開く。
我が家ではない見知った天井が映ると、思考がゆっくりと動き始めた。
夢⋯⋯だったりして。
足元にいつも感じる重さがない。
包帯をぐるぐると巻かれた体が、現実へと意識を引き戻した。
ハルヲの所か。
ゆっくりと体を起こそうと試みたが全く力が入らない。
傍らに視線を移すと、ベッドの脇に頭を投げ出しスヤスヤと眠るハルヲの姿があった。
点滴の繋がる手をそっとハルヲの頭に添える。
「ぅ⋯⋯うん? ああー! あんた、やっと起きた! 全く! 心配したんだからね」
言葉とは裏腹に嬉しそうな笑顔を向けた。
キルロも寝たまま笑顔を向ける。
ひりついた喉から声が出ない、キルロは水を飲む仕草を見せた。
「ああ、ちょっと待っていて」
ハルヲがキルロの首を起こし、くすりのみから水を口へと少しずつ流し込んだ。
喉に水分が吸収されていくのが分かる、体が水分を欲していたのだろう、一気に飲み干してしまった。
「ゆっくり飲みなさいよ」
「ふう。どれくらい寝ていた」
「一年」
「ええ! 本気か!?」
「嘘よ。一週間」
「んだよ。でも、一週間か。悪かったな。また、寝て起きたら終わっているよ。全く、我ながら情けない」
「いつもの事じゃない。気にしなくていいわよ」
「うーん。あ! キノは?」
キルロは視線を動かしキノを探した。
ハルヲはその姿に柔らかな青い瞳を向ける。
「帰ったわよ。無事に。『キルロ、またね』って。だから、また会えるわよ」
「そうか。オレも一言くらい言いたかったな」
キルロは天井を見つめながら言葉を零す、後悔や悲しさは思ったよりない事に自身が驚いた。
ただ、一抹の寂しさだけはどうしようもない。
『またね』という言葉はきっと本当だ。
だとすれば、また会える。
きっとまた出会う。
願いにも似た確信が心を満たす。
「話す事は山程あるわよ」
「聞きたい事も山程あるよ」
ハルヲはキルロの背に手を掛け、ゆっくりと体を起こした。
ベッドの上に起き上がると、開け放しの窓から抜けるような青い空が広がる。
街の喧騒が耳朶を掠め、日常を謳歌する人々の様が伝わった。
「良かったな」
キルロの呟きに、ハルヲが吹き出す。
「なんだよ! 変な事言ってないだろ」
「本当にあんたってお人好しよね」
「意味わかんねえし」
「まあ、いいじゃない。あんたが寝ていた時の話を、まずはしないとね」
むくれているキルロに、ハルヲは笑顔で語り始めた。
ベッド越しに寄り添うふたりを窓からの陽射しが優しく照らしている。
欲を与えられし心
破滅と再生を繰り返す
怒りを持って見つめる
慈愛を持って包む
相反する心
割れる
白い種が弾ける
黒い種が生まれる
黒い種は闇となり絶望を運ぶ不穏の種となる
白い種は光となり希望を生む光の種となる
北に不穏の種が生まれ芽吹く時、人々は嘆き続け暗闇に屈する
南に勇気ある者生まれ風吹かす時、人々は光の種の芽吹きを感じる
勇者は禍災を打ち消し、困難な道を切り拓く
灯を掲げる導く者が人々の道標となる
聖に寵愛されし小さき者、その手中に光る種
彼の地の人を救うべく、勇気ある者は応える
風が火を呼び、土は水を運ぶ
不穏の種は絶望と共に枯れる
彼の地に安寧が訪れ、光の種と共に北の地に不穏は眠る
人々は安寧の地を得、繁栄を為す——
重い瞼は、開ききらない。
血の足りない体、黒素の嵐と砂嵐のようなノイズが混じる視界。
生きている。
ハルヲはゆっくりと、視界を動かした。
ピントの合わないボケた視界に、クエイサーの顔が映り込む。
手を伸ばし、優しく頬を撫でた。
覚醒しない意識が、現状の理解を拒む。
体に力が入らない。
何が起こった。
体が重い、まるで自分の体じゃないみたいだ。
視線を足元に向けようと覗き込むと、覆い被さるキルロの姿が目に入った。
頭が一気に動き出す、血の足りない体はクラクラと思考を拒む。
ゆっくりと覆い被さるキルロから這い出ると、クエイサーを呼んだ。
「クエイサー。ここ来て」
ハルヲに寄り添うクエイサーのサドルバッグから、回復薬を取り出し一気に飲み干した。
血の足りない体に効果は薄い、輸液とシリンジを取り出し自らの血管へ輸液をポンプする。
失った血の代わりに輸液が体に回り始めると、少し吐き気を催しながらも意識は覚醒を始めた。
「キノ⋯⋯、こいつは生きているよね」
「うん」
身動きひとつ取らず地面にうつ伏せるキルロを指した。
クラクラと揺れる頭をゆっくりと起こして行く、頭にあった血が一気に下がり視界が白黒に反転する。
目を閉じて、落ち着くのを待った。
そうだ、一角獣に腹を貫かれたはず。
ハルヲは腹部に触れる、穴の開いた服から腹部は剝き出しになっているが、綺麗に閉じている。
また、借りを作ったわ。
漆黒の地面に倒れ込む、キルロを見つめた。
吹き荒れる黒素の嵐の中に漆黒の一角獣が見当たらない。
躯が転がっていない状況に、ハルヲは緊張を持った。
「もう大丈夫。鍵開いたから」
「どういう事?」
「そういうことよ」
「??」
要領を得ないキノの答えにハルヲは困惑しかしない。
そんなハルヲの姿に、いたずらっぽい笑顔を向けた。
「ハルヲ、行こう」
「え? どこに?」
キノの小さな手が、ハルヲの大きくない手をギュっと握る。
ハルヲも握り返すと、キノはゆっくりと黒しかないクレーターの端を目指した。
ほんの数Miしかない距離が、長く感じる。
重い体を引きずり、キノに手を引かれる。
端に辿り着き足元を覗き込む。
ここが断崖絶壁だと何とか理解出来た。
黒素の嵐が視界を覆い一面の漆黒だけが目に映る。
どのくらいの高さが、深さがあるのか、一面の黒が隠す。
漆黒が覆い尽くす世界。
黒一色の世界、夜の黒とも、闇とも違う人が触れてはいけない世界。
ハルヲの直感がそう感じる。
これは人の外にあるもの。
【最果て】か⋯⋯。
逡巡するハルヲをよそに手の中にあったキノの手がするりと抜けた。
「キノ?!」
キノがいたはずの地面に純白の小さな鎧と白銀のナイフが転がる。
「どこ!?」
キョロキョロと辺りを見渡しキノの姿を探す、隠れる物など存在しない。
『ハルヲ。ありがとう』
キノの声が届く。
頭の中に直接響くキノの声。
顔を前に向けると、断崖の先に白く輝く美しい女性を模した精霊の姿があった。
幽体が放つ、真っ白な光にハルヲは目を細める。
具体的に顔があるわけではない、成人の女性の姿をしたそれは、ユラユラとハルヲの眼前で揺らめいていた。
温かな午後の陽射しのような温もり、心地良い風がハルヲの頬を撫でる。
漆黒の世界をポツンと明るく照らす。
それは希望そのもの。
「キノ⋯⋯」
何を言えばいいのか、聞きたい事は山程あるのに言葉が出てこない。
ただ、不思議と混乱はなかった。
幽体となったキノの手が、ハルヲの頬を優しく包む。
ハルヲはその手に自分の手を重ねた。
『マッシュも、ユラも、フェインも、カズナも、エーシャもありがとう。ネインも、シルも、ハルヲのお店のみんなも、アルバの人達もみんな、みんなありがとう』
「うん、うん⋯⋯」
ゆっくりと頬伝う涙を拭う事もせず、ハルヲはずっと頷いた。
『エレナ⋯⋯ずっと友達』
「伝える。必ず」
顔のない姿なのに笑った気がした。
『キルロ、またね。楽しかった』
「うん」
『ハルヲ、キルロをよろしく。みんな大好き⋯⋯』
ハルヲの頬からキノの手が離れた。
一面の漆黒へ白光を放つキノが吸い込まれて行く。
白光は小さくなっていく、ハルヲはその光の点を見つめ続ける。
消えかかる光。
その瞬間、直視出来ない程の大きな白光の柱が立った。
ハルヲは目を固く閉じて腕で顔を隠す。
「うわっ! なんだ、なんだ、眩しいな!」
ユラが余りの眩しさに思わず腕で顔を覆う。
北方に直視出来ない光の柱が現れた。
詳しい事は分からんが、うまくやったに違いない。
マッシュは北方から目を背けつつ、口角を上げた。
シルも、カズナも笑みを浮かべる。
その様子に気が付いた、ユトとマーラから緊張が解けていった。
光は一瞬。刹那、黒素の嵐は止み、一転して透き通るような青空が北から広がっていく。
フェインは、その光景に目をパチクリと丸くする。
ユラは周りを見渡し、何事が起きたのかさっぱりだった。
「あのよ、あのよ、こらぁ一体どういう事なんだ?」
「です⋯⋯、です⋯⋯」
マッシュとシルが顔を見合わせているとカズナが口を開く。
「あのお人好しガ、ハルとふたりでやり遂げたって事ダ」
「はは、今日は良くしゃべるね」
ユトがまたからかうように口を挟んだ。
カズナはユトに向かって、笑みを浮かべつつ一瞥する。
フェインは、目を丸くしたまま顔を紅潮させていった。
「やったのですね! おふたりともさすがです!」
「当たり前よ。私の王子様なんだから、これくらい朝飯前よ」
何故かシルが胸を張った。
その姿にマッシュは吹き出し、マーラは呆れて見せる。
「別におまえさんがやった分けじゃあるまい」
「いいじゃない。みんな誇りましょう」
「あ、でもキルロさんはそういうのイヤがると思いますです」
「確かに。ハルもイヤがりそうだ」
「そう言われちゃうと身も蓋もないじゃないー」
シルは残念そうに頬を膨らまして見せたが、すぐに頭を切り替えた。
弓なりの双眸が柔和な笑みを称え、北を見つめる。
「まあ、あんまり大仰にするとみんなの王子になっちゃうし、言う通りに大人しくしておくわ」
「そいつが賢明だ。さて、迎えに行こう。オレ達が一番乗りだ、そこは譲れないだろう」
一同は頷き合い、抜けるような青空の下、北へと歩き始めた。
救護テントの前で、エレナはその光に目を凝らした。
北方で天まで伸びる一柱の光。
優しい風が黒素の霧を洗い流す。
「キノ⋯⋯?」
口から言葉が零れ落ち、ポケットの上からキノのピアスをギュっと握り締めた。
直感的にこれが別れだと感じる。
そこに寂しさはあったが、悲しみはなかった。
口をギュっときつく締め、また自らの戦場へと戻って行く。
戦場に届くその光は間違いなく希望だった。
俯いていた者も、その光に顔を上げる。
「やったね」
エーシャは光を見ながら、ニヤリと笑みを零した。
黒素の霧が晴れていく。
絶望を司るふたつの龍が、黒素の霧と共にその姿が霞のようにゆっくりと消えて行った。
抗う者達は手を止め、自らの勝利を確信する。
ボロボロの勇者は、安堵と共に膝を落とす。
終わった。
霧が晴れ、空が一面の青に覆われていく様に誰もが天を仰いだ。
「勝ったよ! 私達の勝利よー!」
隻眼のウィッチが鞍上から拳を突き上げた。
天を仰いでいた者達が、顔を見合わせ、感情を爆発させる。
「おおおおおお!」
「やった! やったぞ!」
その歓声は大きなうねりとなる。
抱き合う者、疲れ果て座り込む者、涙を流す者。
ウォルコットはずっと天を仰ぎ続けた。
フィンはその場に座り込み、安堵の溜め息を漏らす。
リグとミルバ、それにオットは期せずして北を見つめ思う。
『やったな(ね)』
ミドラスではハルヲンテイムのみんなが北方から吹く風に北へと視線を向けた。
アルバの畑に精を出す、兎人と小人族達も手を止め北へと向いた。
「うまくいったみたいネ」
マナルは人知れず畑の中で笑みを零した。
北方から心地良いそよ風が吹き抜ける。
安寧をもたらすその風に身を委ねた。
この地に集う者達は感じる、今までとは違う風が吹き抜けたと。
安寧を運ぶ北方からの風に希望を受け取り、誰しもが顔を上げた。
向けられていた絶望は音も無く消えて行き、人々はいつも以上に笑顔を向け合う。
何も知らぬ人々は、何事もなかったかのごとく日常はつつがなく流れていく。
青空が大地の黒を照らす。
拒絶する大地ではなくなった。
黒い嵐も消え、殺伐とした風景に柔らかな光が照らす。
ゆっくりと向かってくる小さな人影と獣の影。
マッシュがいち早く指さすとフェインは駆け出した。
「ハルさーん! キルロさーん!」
その声にハルヲはゆっくりと顔を上げた。
ズルズルと血の足りない体は重く、歩くのもやっとだ。
しかし、その声にハルヲは破顔する。
「クエイサー、もう少しね」
背中にキルロを乗せるサーベルタイガーに声を掛けた。
涙と鼻水でぐしゃぐしゃのフェインがハルヲに飛び込む。
ハルヲの心は安堵に満たされ、体の力が抜けて行く。
ぐったりとするハルヲをフェインは笑顔で抱きかかえた。
「ハルさん! お疲れ様です。もう大丈夫ですよ」
柔らかなフェインの声色が沁みる。
終わったという充足感が満たしていく。
「ハルー!」
シルも満面の笑みで抱き着いた。
誰もが笑顔で迎える。
「でよ、キノはどうした?」
ユラの一言に一同が驚愕の表情を浮かべる。
今、そこ!?
フェインに抱かれたまま、ハルヲは答えた。
「家に帰ったわよ」
「おお! そうか。んじゃ、オレ達の勝ちだ。それとよ、団長は寝ているのか?」
「多分、極度のマインドレスでね」
「そうか、そうか」
現状をようやく把握出来て、ユラも破顔した。
「よし、オレ達も帰ろう」
「ほら、ハル」
シルはしゃがみ込みハルヲに背中を向けた。
「いや、いいわよ。自分で歩くから」
「何言っているのよ。フラフラだったじゃない。ほら、早く」
ハルヲは照れながら、シルに抱きかかえられた。
「ハル、【最果て】はどうだった?」
前を行くマッシュの問いかけに一同の視線はハルヲに向いた。
ハルヲは諦めたように嘆息し、口を開く。
「人の外にある場所って感じだった⋯⋯⋯⋯」
訥々と語り始めるハルヲの言葉に、みんなが耳を傾けた。
未知の地、未知の世界、精霊⋯⋯。
どれもがお伽噺のような現実感の薄い世界。
「あ! そうだ! キノから伝言預かっているよ。みんなありがとうって」
その言葉に少しの寂しさを、照れ笑いでごまかす。
各々がキノの姿を思い出し、少しばかり物思いに耽った。
疲弊がのしかかる重い体も苦にはならない。
終わったという充足感が、足を前に出し、一歩また一歩、確実に歩を進めた。
辿り着くレグレクィエス(王の休養)は、思ったより静かだった。
笑顔も零れているが、悲しみに暮れる顔も散見する。
終わったという充足感が覆ってはいるが、ついた爪痕は簡単に拭える物ではなかった。
【スミテマアルバレギオ】とシル達の合同パーティーの帰還は静かに迎えられる。
破顔するエーシャがひとり出迎えてくれた。
「おかえり。みんなひと休みしよう。聞きたい事は山程あるけど、まずは休みましょう」
「異議なし」
マッシュの言葉に一同は頷き、静かにテントの中へ消えて行った。
子供の笑い声が聞こえる。
心地いい風が吹き抜けた。
ゆっくりと重くなった瞼を開く。
明るい陽射しに、また目を閉じる。
乾いた口の中。
またゆっくりと瞼を開く。
我が家ではない見知った天井が映ると、思考がゆっくりと動き始めた。
夢⋯⋯だったりして。
足元にいつも感じる重さがない。
包帯をぐるぐると巻かれた体が、現実へと意識を引き戻した。
ハルヲの所か。
ゆっくりと体を起こそうと試みたが全く力が入らない。
傍らに視線を移すと、ベッドの脇に頭を投げ出しスヤスヤと眠るハルヲの姿があった。
点滴の繋がる手をそっとハルヲの頭に添える。
「ぅ⋯⋯うん? ああー! あんた、やっと起きた! 全く! 心配したんだからね」
言葉とは裏腹に嬉しそうな笑顔を向けた。
キルロも寝たまま笑顔を向ける。
ひりついた喉から声が出ない、キルロは水を飲む仕草を見せた。
「ああ、ちょっと待っていて」
ハルヲがキルロの首を起こし、くすりのみから水を口へと少しずつ流し込んだ。
喉に水分が吸収されていくのが分かる、体が水分を欲していたのだろう、一気に飲み干してしまった。
「ゆっくり飲みなさいよ」
「ふう。どれくらい寝ていた」
「一年」
「ええ! 本気か!?」
「嘘よ。一週間」
「んだよ。でも、一週間か。悪かったな。また、寝て起きたら終わっているよ。全く、我ながら情けない」
「いつもの事じゃない。気にしなくていいわよ」
「うーん。あ! キノは?」
キルロは視線を動かしキノを探した。
ハルヲはその姿に柔らかな青い瞳を向ける。
「帰ったわよ。無事に。『キルロ、またね』って。だから、また会えるわよ」
「そうか。オレも一言くらい言いたかったな」
キルロは天井を見つめながら言葉を零す、後悔や悲しさは思ったよりない事に自身が驚いた。
ただ、一抹の寂しさだけはどうしようもない。
『またね』という言葉はきっと本当だ。
だとすれば、また会える。
きっとまた出会う。
願いにも似た確信が心を満たす。
「話す事は山程あるわよ」
「聞きたい事も山程あるよ」
ハルヲはキルロの背に手を掛け、ゆっくりと体を起こした。
ベッドの上に起き上がると、開け放しの窓から抜けるような青い空が広がる。
街の喧騒が耳朶を掠め、日常を謳歌する人々の様が伝わった。
「良かったな」
キルロの呟きに、ハルヲが吹き出す。
「なんだよ! 変な事言ってないだろ」
「本当にあんたってお人好しよね」
「意味わかんねえし」
「まあ、いいじゃない。あんたが寝ていた時の話を、まずはしないとね」
むくれているキルロに、ハルヲは笑顔で語り始めた。
ベッド越しに寄り添うふたりを窓からの陽射しが優しく照らしている。
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