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北へ
突破と足止め
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ドルチェナが横たわるオーク亜種の顔を踏みつけた。
眉間に皺を寄せ、生気を失ったオークに冷ややかな視線を向ける。
造作もない相手。
【スミテマアルバレギオ】と別行動となった苛立ちをオークにぶつけていた。
「次行くぞ!」
ドルチェナの声掛けに、パーティーはだるそうな返事を返すだけ。
さっさと片づけて【スミテマアルバレギオ】に合流する。
それをモチベーションに次のターゲットを睨んだ。
犬人のシモーネが次のオークを前に立ちすくむ。
「こいつ、なんかヤバイ」
いつもの眠そうな目とは違い、厳しい目つきで前方を睨みつけていた。
下顎から突き出る牙の根元から、ダラダラと唾液を落とし、血走った目はどんよりと視線が定まらない。
鼻息はずっと荒く、理性の欠片すら見当たらないその姿に直感が警鐘を鳴らした。
シモーネの警鐘はすぐにパーティーに伝播し、一同の目が険しいものとなる。
気を引き締め、前方を睨む。どんよりとした視線と睨みを利かす【ルプスコナレギオ】の視線が混じり合う。
笑った?!
口を半開きにするオークの姿にドルチェナが、一瞬我が目を疑う。
まさか。
だが、今まで相手にしたものとは明らかに違う、シモーネの警鐘は外した事はない。
「アイツ今笑わなかったか?」
リブロがオークを睨んだまま、口を開いた。
ドルチェナはそれを鼻で笑う。
「モンスターが笑うなんて事があるか」
まるで自身に言い聞かせるように言言い放ち、パーティーへ振り返った。
口元に笑みを浮かべ、冷ややかな目を向ける。
「怪物に笑われる筋合いはない。舐めているなら、その勘違いを分からしてやるだけだ」
オークがゆっくりとにじり寄る。
武器を構える手に力を込めていく。
ハッ、ハッ、と口元から吐き出す激しい息遣いまでもが、笑っているかのように感じ、パーティーの表情は一気に険しくなった。
「行くぞ」
ドルチェナが低いトーンで言い放つと、【ルプスコナレギオ】もゆっくりと、オークへにじり寄って行った。
砂糖に群がる黒蟻のように、ミルバの体に黒いホブゴブリンがまとわりついていく。
大剣を振り回し、体を、首を、両断し、抗う。
塊へ飲み込もうとするホブゴブリンと、させまいと抗うミルバ。
両者の思惑が激しくぶつかり合う。
ミルバの剣にホブゴブリンが次々に沈む、そこにまたホブゴブリンが流れ込む。
ミルバが渦の中心となり、ホブゴブリンの黒い渦が出来上がった。
ざわざわと蠢く。
地面を埋め尽くす、黒。
腕に足に、腹に絡みつく。
頭へ向かって飛び込んで来る。
振り落とし、振り払い、斬り上げた。
剝き出しの皮膚はめくれ、体中に至る所がヒリヒリと痛む。
問題ない。
痛みなど感じぬほどに滾る。
肩で息するほどの疲労も取り合わない。
心臓の拍動は上がっていく。
酸素が足りない。
だから何だ。
どうとでもしろ、我が身に言い聞かせた。
「ぬぐっ!」
頭の後ろから、ホブゴブリンが食いついた。
体はバランスを失い、のけ反る。
一瞬の間。
足に、腕に、体に、ホブゴブリンが絡みつく。
思うように動かなくなる体に頭が冷えていくと、疲労と痛みも襲い掛かった。
力なく振る大剣にホブゴブリンを屠る力は残っていない。
必死にふりほどくも力なく、揺れるだけだった。
頭上にグっと牙が突き刺さる感触。
皮膚が破け、血を垂らす。
さらに食い込む牙に動かない体、振りほどこうと今一度力を込める。
『ギャッ』
頭上から断末魔が聞こえ、頭が軽くなった。
腕も、体も、軽くなっていく。
力を込め直した腕は、再び大剣を力強く振った。
まとわりつく黒いゴブリンどもを吹き飛ばす。
皮膚の破けた頭から流れる血がミルバの顔を汚し、腕で乱暴に拭う。
「すまんな」
大剣を振り続けながら、背中越しに感じる気配に感謝を告げた。
「本当よ! 追っかけたこっちの身にもなりなさいよ! 考えなしに突っ込んで行って、全く、あんたは!」
傷だらけのシルが、声を荒げた。
切っ先は確実に、ホブゴブリンの眉間を貫いていく。
「だから、謝ったではないか。小さい事をいつまでもグジグジと言うものではないぞ」
「小さくないわよ! ヤクラス達が苦労するわけよ」
血飛沫が飛び散り、千切れたホブゴブリンの山を築いていく。
強がってはいるものの、ふたりとも体力の消耗は激しかった。
「シル、背中はまかすぞ」
「あら、奇遇ね。私も今同じ事考えていたわ」
『はぁぁぁあああああ!!』
ふたりの雄叫びが、剣のスピードを上げて行った。
倒れたオークをキルロは見つめていた。
ホブゴブリンの大群は真っ直ぐにレグレクィエス(王の休養)を目指しているのか、キルロ達からは離れていく。
オークに集中出来るのは助かる。
ポンとふいに置かれた手に振り返った。
「な、あっという間だったろ。成長の証ってヤツだな。ハハハ」
マッシュはポンポンと肩を叩いて見せた。
「オレは何もしてないぞ」
「うん? そうなのか? まぁ、成長したって事でいいじゃないか」
「うーん」
煮え切らないまま、次のオークへ飛び込んだ。
カズナが懐に飛び込み、みぞおちを蹴り込むと苦しむオークは前屈みになる。
脳天目掛けユラが杖を振るい、フェインが続けざまに踵を落とした。
ハルヲの矢が視界を奪い、マッシュが刃を口に突っ込んだ。
「どいて! 【炎柱】」
エーシャの詠が、オークの顔面を焼くと、そのままうつ伏せに倒れた。
「な」
マッシュが得意満面にキルロに振り返る。
キルロは膨れっ面でマッシュを睨んだ。
「な。じゃねえよ、なんもしてないんだって!」
「小さい事、気にするな。な!」
「だから、な! じゃねえって」
また肩を叩いて高笑いするマッシュに苦い顔を返した。
次の標的に目を移すと、少し緩んだ空気が一変する。
キルロもマッシュもゆっくりと迫るオークに緊張が走った。
「あれ、マズイわね」
ハルヲがキルロの横で呟いた。
誰もがそう思う。
あの血走り濁った目、間違いない。
何度となく対峙した。
「齧っているよな」
「間違いなくね」
ハルヲが弓を構えるのを合図に一斉に武器を構えた。
「エーシャ、出し惜しみはなしだ」
「まかせて! 【雷光】」
「慎重に! 闇雲に突っ込むな!」
キルロの掛け声に一同が頷き合い、オークを睨んだ。
だらしなく歩く姿が、ことさら不気味に映り、心臓が高鳴りを見せる。
「カズナ、むやみに飛び込むな。遠目からまずは削っていく。ハルヲ!」
キルロの号令に、小さな剛弓が唸った。
超速の矢が、オークの顔を狙い撃つ。
一直線に向かってくる矢を、オークは事もなげに手で払いのけた。
そんな⋯⋯。
誰もが目を剥いた、齧ったら力は出るが俊敏性は落ちるはずでは。
違うのか? 齧っていないのか? いや、あの濁った目は良く知っている、何度となく対峙した。
「ヘッグ! 行くよ」
「クアァッ」
エーシャが特大の雷をオークへと放つ。
オークは反射的に半身にして雷を躱した、エーシャの雷が空へと消えていった。
半身の態勢からさらにオークは体を捻り、エーシャとヘッグに裏拳を向ける。
ユラが反射的に飛び込むと、盾で裏拳を受け止めた。
激しい衝突音と衝撃にユラは顔しかめ、吹き飛んで行く。
「エーシャ下がれ!」
キルロが叫ぶ。
あの反応速度は尋常じゃない、あのスピードを何とかしないと攻撃の糸口が見つからない。
『フーフーブフゥー』
荒い鼻息が、歓喜を想起させた。
明らかな興奮状態に、オークの目が剥いていく。
大きな牙をさかんにガチガチと鳴らし落ち着きない姿を晒す。
オークの不気味なほどの余裕が見える態度。その姿に、迂闊に飛び込めなかった。
「いててて」
ユラがお尻をさすりながら戻った。大きな怪我はなかったようだ。
ユラは大楯を構え直す、その姿に余裕はない。
今の一発で、ヤツの力は推し量れた。
うつろに映る濁った瞳がこちらを凝視する。
『ハアァァァァァァ⋯⋯』
口から白い煙でも吐き出しそうな、長い吐息を漏らすと一気に距離を詰めた。
「避けろ!」
両手を合わし、そのまま【スミテマアルバレギオ】に向かって振り下ろした。
キルロの叫びに散っていく。
地面が振動するほどの力で、地面を抉った。
その一撃に、一同驚愕の表情を浮かべる。
フェインが振り下ろした腕に、拳をねじ込むが硬い筋肉の鎧が跳ね返す。
ハルヲは間髪入れずに矢を放つ、腕や顔に突き刺さるが気にする素振りを全く見せない。
齧って、痛みが麻痺してやがるのか。
キルロも腕目掛けて剣を振りかぶるが、皮膚が少し切れただけで血さえ滲まない。
マッシュの刃もキルロと同様だった。
鬱陶しいとばかりに、群がる【スミテマアルバレギオ】を手で払う。
前の時はどうしたっけ? オークの腕を避けながら思い出す。
口の中を爆発させたんだったか。
ただ、こいつは何か違う。
同じ手が通用するとは思えない。
現にこいつは共食い行為をしてはいないわけで、その時点でこの間の手は使えない。
突破口を探せ、微かなものからでも拾え。
対峙するオークの一挙手一投足を睨む。
眉間に皺を寄せ、生気を失ったオークに冷ややかな視線を向ける。
造作もない相手。
【スミテマアルバレギオ】と別行動となった苛立ちをオークにぶつけていた。
「次行くぞ!」
ドルチェナの声掛けに、パーティーはだるそうな返事を返すだけ。
さっさと片づけて【スミテマアルバレギオ】に合流する。
それをモチベーションに次のターゲットを睨んだ。
犬人のシモーネが次のオークを前に立ちすくむ。
「こいつ、なんかヤバイ」
いつもの眠そうな目とは違い、厳しい目つきで前方を睨みつけていた。
下顎から突き出る牙の根元から、ダラダラと唾液を落とし、血走った目はどんよりと視線が定まらない。
鼻息はずっと荒く、理性の欠片すら見当たらないその姿に直感が警鐘を鳴らした。
シモーネの警鐘はすぐにパーティーに伝播し、一同の目が険しいものとなる。
気を引き締め、前方を睨む。どんよりとした視線と睨みを利かす【ルプスコナレギオ】の視線が混じり合う。
笑った?!
口を半開きにするオークの姿にドルチェナが、一瞬我が目を疑う。
まさか。
だが、今まで相手にしたものとは明らかに違う、シモーネの警鐘は外した事はない。
「アイツ今笑わなかったか?」
リブロがオークを睨んだまま、口を開いた。
ドルチェナはそれを鼻で笑う。
「モンスターが笑うなんて事があるか」
まるで自身に言い聞かせるように言言い放ち、パーティーへ振り返った。
口元に笑みを浮かべ、冷ややかな目を向ける。
「怪物に笑われる筋合いはない。舐めているなら、その勘違いを分からしてやるだけだ」
オークがゆっくりとにじり寄る。
武器を構える手に力を込めていく。
ハッ、ハッ、と口元から吐き出す激しい息遣いまでもが、笑っているかのように感じ、パーティーの表情は一気に険しくなった。
「行くぞ」
ドルチェナが低いトーンで言い放つと、【ルプスコナレギオ】もゆっくりと、オークへにじり寄って行った。
砂糖に群がる黒蟻のように、ミルバの体に黒いホブゴブリンがまとわりついていく。
大剣を振り回し、体を、首を、両断し、抗う。
塊へ飲み込もうとするホブゴブリンと、させまいと抗うミルバ。
両者の思惑が激しくぶつかり合う。
ミルバの剣にホブゴブリンが次々に沈む、そこにまたホブゴブリンが流れ込む。
ミルバが渦の中心となり、ホブゴブリンの黒い渦が出来上がった。
ざわざわと蠢く。
地面を埋め尽くす、黒。
腕に足に、腹に絡みつく。
頭へ向かって飛び込んで来る。
振り落とし、振り払い、斬り上げた。
剝き出しの皮膚はめくれ、体中に至る所がヒリヒリと痛む。
問題ない。
痛みなど感じぬほどに滾る。
肩で息するほどの疲労も取り合わない。
心臓の拍動は上がっていく。
酸素が足りない。
だから何だ。
どうとでもしろ、我が身に言い聞かせた。
「ぬぐっ!」
頭の後ろから、ホブゴブリンが食いついた。
体はバランスを失い、のけ反る。
一瞬の間。
足に、腕に、体に、ホブゴブリンが絡みつく。
思うように動かなくなる体に頭が冷えていくと、疲労と痛みも襲い掛かった。
力なく振る大剣にホブゴブリンを屠る力は残っていない。
必死にふりほどくも力なく、揺れるだけだった。
頭上にグっと牙が突き刺さる感触。
皮膚が破け、血を垂らす。
さらに食い込む牙に動かない体、振りほどこうと今一度力を込める。
『ギャッ』
頭上から断末魔が聞こえ、頭が軽くなった。
腕も、体も、軽くなっていく。
力を込め直した腕は、再び大剣を力強く振った。
まとわりつく黒いゴブリンどもを吹き飛ばす。
皮膚の破けた頭から流れる血がミルバの顔を汚し、腕で乱暴に拭う。
「すまんな」
大剣を振り続けながら、背中越しに感じる気配に感謝を告げた。
「本当よ! 追っかけたこっちの身にもなりなさいよ! 考えなしに突っ込んで行って、全く、あんたは!」
傷だらけのシルが、声を荒げた。
切っ先は確実に、ホブゴブリンの眉間を貫いていく。
「だから、謝ったではないか。小さい事をいつまでもグジグジと言うものではないぞ」
「小さくないわよ! ヤクラス達が苦労するわけよ」
血飛沫が飛び散り、千切れたホブゴブリンの山を築いていく。
強がってはいるものの、ふたりとも体力の消耗は激しかった。
「シル、背中はまかすぞ」
「あら、奇遇ね。私も今同じ事考えていたわ」
『はぁぁぁあああああ!!』
ふたりの雄叫びが、剣のスピードを上げて行った。
倒れたオークをキルロは見つめていた。
ホブゴブリンの大群は真っ直ぐにレグレクィエス(王の休養)を目指しているのか、キルロ達からは離れていく。
オークに集中出来るのは助かる。
ポンとふいに置かれた手に振り返った。
「な、あっという間だったろ。成長の証ってヤツだな。ハハハ」
マッシュはポンポンと肩を叩いて見せた。
「オレは何もしてないぞ」
「うん? そうなのか? まぁ、成長したって事でいいじゃないか」
「うーん」
煮え切らないまま、次のオークへ飛び込んだ。
カズナが懐に飛び込み、みぞおちを蹴り込むと苦しむオークは前屈みになる。
脳天目掛けユラが杖を振るい、フェインが続けざまに踵を落とした。
ハルヲの矢が視界を奪い、マッシュが刃を口に突っ込んだ。
「どいて! 【炎柱】」
エーシャの詠が、オークの顔面を焼くと、そのままうつ伏せに倒れた。
「な」
マッシュが得意満面にキルロに振り返る。
キルロは膨れっ面でマッシュを睨んだ。
「な。じゃねえよ、なんもしてないんだって!」
「小さい事、気にするな。な!」
「だから、な! じゃねえって」
また肩を叩いて高笑いするマッシュに苦い顔を返した。
次の標的に目を移すと、少し緩んだ空気が一変する。
キルロもマッシュもゆっくりと迫るオークに緊張が走った。
「あれ、マズイわね」
ハルヲがキルロの横で呟いた。
誰もがそう思う。
あの血走り濁った目、間違いない。
何度となく対峙した。
「齧っているよな」
「間違いなくね」
ハルヲが弓を構えるのを合図に一斉に武器を構えた。
「エーシャ、出し惜しみはなしだ」
「まかせて! 【雷光】」
「慎重に! 闇雲に突っ込むな!」
キルロの掛け声に一同が頷き合い、オークを睨んだ。
だらしなく歩く姿が、ことさら不気味に映り、心臓が高鳴りを見せる。
「カズナ、むやみに飛び込むな。遠目からまずは削っていく。ハルヲ!」
キルロの号令に、小さな剛弓が唸った。
超速の矢が、オークの顔を狙い撃つ。
一直線に向かってくる矢を、オークは事もなげに手で払いのけた。
そんな⋯⋯。
誰もが目を剥いた、齧ったら力は出るが俊敏性は落ちるはずでは。
違うのか? 齧っていないのか? いや、あの濁った目は良く知っている、何度となく対峙した。
「ヘッグ! 行くよ」
「クアァッ」
エーシャが特大の雷をオークへと放つ。
オークは反射的に半身にして雷を躱した、エーシャの雷が空へと消えていった。
半身の態勢からさらにオークは体を捻り、エーシャとヘッグに裏拳を向ける。
ユラが反射的に飛び込むと、盾で裏拳を受け止めた。
激しい衝突音と衝撃にユラは顔しかめ、吹き飛んで行く。
「エーシャ下がれ!」
キルロが叫ぶ。
あの反応速度は尋常じゃない、あのスピードを何とかしないと攻撃の糸口が見つからない。
『フーフーブフゥー』
荒い鼻息が、歓喜を想起させた。
明らかな興奮状態に、オークの目が剥いていく。
大きな牙をさかんにガチガチと鳴らし落ち着きない姿を晒す。
オークの不気味なほどの余裕が見える態度。その姿に、迂闊に飛び込めなかった。
「いててて」
ユラがお尻をさすりながら戻った。大きな怪我はなかったようだ。
ユラは大楯を構え直す、その姿に余裕はない。
今の一発で、ヤツの力は推し量れた。
うつろに映る濁った瞳がこちらを凝視する。
『ハアァァァァァァ⋯⋯』
口から白い煙でも吐き出しそうな、長い吐息を漏らすと一気に距離を詰めた。
「避けろ!」
両手を合わし、そのまま【スミテマアルバレギオ】に向かって振り下ろした。
キルロの叫びに散っていく。
地面が振動するほどの力で、地面を抉った。
その一撃に、一同驚愕の表情を浮かべる。
フェインが振り下ろした腕に、拳をねじ込むが硬い筋肉の鎧が跳ね返す。
ハルヲは間髪入れずに矢を放つ、腕や顔に突き刺さるが気にする素振りを全く見せない。
齧って、痛みが麻痺してやがるのか。
キルロも腕目掛けて剣を振りかぶるが、皮膚が少し切れただけで血さえ滲まない。
マッシュの刃もキルロと同様だった。
鬱陶しいとばかりに、群がる【スミテマアルバレギオ】を手で払う。
前の時はどうしたっけ? オークの腕を避けながら思い出す。
口の中を爆発させたんだったか。
ただ、こいつは何か違う。
同じ手が通用するとは思えない。
現にこいつは共食い行為をしてはいないわけで、その時点でこの間の手は使えない。
突破口を探せ、微かなものからでも拾え。
対峙するオークの一挙手一投足を睨む。
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