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絶望の淵
添え木
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あの音は間違いなく足逝っているわね。
ここを離れるしかないか。
ハルヲの逡巡する心をあざ笑うかのように、ドレイクは奮闘するハルヲ達を見下ろす。
足元の二人はまるで邪魔な小石程度にしか思っていないのかもしれない。
小石でも蹴り飛ばすかのように振りまわされる爪を避けるので精一杯だ。
この状態でターゲットを外れていいものか。
「ハルヲ⋯⋯」
少し迷いの見える言葉にハルヲは意を決した。
「フェイン! ユラ! ごめん、マッシュを診てくる!」
フェインが小さく片手を上げて答えた。
急げ!
ハルヲはマッシュの元へと疾走する。
「スマン……ミスった」
上体を起こそうとマッシュが肘をつく。
キルロはそっとそれを諫める。
「何言ってんだ、黙って寝ていろ。今ちゃっちゃっと治すから」
マッシュな顔色が見る見るうちに蒼ざめていく。
歯を食いしばり痛みに耐えているのが手に取るように伝わる。
相当に我慢しているな、これ。
ハルヲの到着をキノとふたり、焦れる思いで待っていた。
「ごめん、遅くなった。スピラ!」
ハルヲの到着と同時に白い影が前線へと駆け上がって行く。
キノ!?
「おい! こら! キノ!!」
「先にこっち! そっち押さえて」
駆け出すキノを見送る事しか出来ず、心がざわつく。
とりあえず急いでマッシュを治さないと。
こっちに集中だ。
マッシュの荒い息づかいが耳朶を掠める。
《トストィ》
麻酔をかけて添え木の準備をする。
マッシュの左足を触診するハルヲの顔が険しくなった。
相当いっちまっているのか⋯⋯。
ハルヲ頼むぞ。
ゆっくりと触診をしながら壊れた足を整えていく、ゆっくりと手探りで。
額に大粒の汗を浮かべ、拭うこともせずに足の修復の為、腕に力を入れているのが見て取れた。
キルロは邪魔にならぬよう静かに見守り、もどかしい時間だけが過ぎて行く。
「その包帯取って」
足の長さと向きを確認し微調整の為にまた力を込める。
骨の感触を確かめると添え木をキツく縛り上げた。
「多分、大丈夫」
それだけ言うとハルヲは肩で息をしながら額の汗を拭い、すぐに前線へと駆け出した。
キルロは頷き詠唱を始める。
《レフェクト・サナティオ・トゥルボ》
大きな白い光の玉をマッシュの左足へ向けていった。
今は、こっちに集中だ。
マッシュの苦しむ様子を見つめ、光玉の行方だけに集中していく。
「⋯⋯フェイン、上に投げて」
キノが表情ひとつ変えず、フェインに向かって淡々と告げる。
動揺するフェインに構う事なく、キノはフェインに向かって一直線に跳ねて行く。
「え!? えええー!?」
飛び込まれたフェインはあたふたとしながらも、反射的に組んだ手のひらでキノの足の裏を受け止めると、勢いのまま思い切り上へと放り投げた。
放り投げられると同時に、もう一度勢いをつけて跳ね上がる。
キノの体は重力が無くなったかのように上へ上へと向かって行った。
空中で静止するとクルッと一回転し、ドレイクの首元に着地を決めた。黒い小山に白い点が浮かび上がる。
「キノ!?」
まるで真っ黒な布にはねた白い染み。
しみのように付着したその点は、許す事の出来ない汚点のように怒り、黒い小山は猛る。
白い点は冷静で無表情、だが違う。
冷たく感じるほどの熱を持つ青白い炎の熱を持つ怒りの塊だ。
白銀に光るナイフを腰から抜き、黒い表皮へと突き立てる。
その染みのような白い点は、ドレイクにとって排除すべき汚点であり異物だった。
小山のような体を振り回し白い点を振り払おうと黒い渦を巻く。
握り締めるナイフをより強く握り、青白い炎をさらにたぎらす。
大地を撹拌する鋭利な爪が激しく地面を抉り、暴れる自重に泥をはね飛ばしていく。
爪との接触はイコールで死を意味する。巻き込まれれば、いとも簡単にその体は大地と共に撹拌されてしまう。
危機を感じた。
足元の二人は左右に跳ねて危機から逃れる。
近づこうにも勢いの増す巨大な爪に、なすすべなく後ろへと跳ねる事しか出来なかった。
「クソ!」
ユラの悔しさが口からこぼれていく。
『ゴォオアアアアアアア』
ドレイクもまた剥がれ落ちない白い染みに怒りの咆哮を放つ。
渦を巻く勢いが増していく、まるで小さな嵐と化していた。
小さな嵐と化したその渦が、木々や岩を巻き上げ目的地のないまま闇雲に進んで行く。
ただただ背中に染み着いた白い点を振り払うが為に嵐と化していた。
嵐を見送るしか出来ないフェインとユラが、悔しさと不安に苛まれる。
勢いの衰えない小さな嵐によって撹拌された進路に、根こそぎ倒れた木や飛ばされた岩が散乱していく。
やがて進路は大きな衝突音をともない岩壁に阻まれた。
嵐と化していたドレイクが自らの堅い表皮で岩肌を削ると勢いは落ち、ゆっくりと動きが止まる。
落とせなかった白い染みが忌まわしい。
右目を鈍く光らせ低く唸る。
キノは青白い炎をさらにたぎらせた。
「なんだ、なんだ、面白そうな事になっているな!」
岩壁の上から下をのぞき込む数人の人影があった。
「あああ!! コラ!! バカ!!」
女の諫める声と共にひときわ大きな人影が岩壁の上からドレイクへ向けて飛び込んで行った。
「あああ、もう」
ヤクラスを筆頭に全員が頭を抱える。
「おらぁぁぁぁぁあああああ!!!」
ミルバが吼える。
大剣を逆手に黒い小山へと飛び込んで行く。
勢いを持ったドレイクの黒い背中に突き刺さろうとしていた。
ミルバの眉間に皺が寄せ、思った以上の堅い表皮に阻まれた切っ先を睨んだ。
『『ゴォオアアアアアア!!!』』
振り払う所か増えていく異物に怒りの咆哮を上げる。
染みがまた増えた。取るに足らない小石程度の存在のクセに自分を苛立たせるそれを睨む。
ミルバはそんなドレイクの睨みなど臆することなく、さらに切っ先を押し込もうと体全体に力を込めようとしていた。脇腹の傷から血が溢れ出し、思うように力が入らない。
つっ!
ミルバを睨む瞳に対し一瞥して悔しさを露わにした。
「⋯⋯オマエはやりすぎ」
眼前の睨む瞳にキノはそれだけ言うと腰からもう一本のナイフを抜き、投げつけた。
キノが青白い炎と化す。
怒りに溢れる瞳に向かい白銀のナイフが一本の白銀の線を描く。
瞬く間も許さない白銀の刃が、右の瞳を射抜くとドレイクは視界を失い暗闇の中へ落ちて行った。
「キノー!!」
ハルヲが叫ぶとフェインが下で両手を広げていた。キノはフェインに向かって飛び込んで行き、フェインがしっかりとそれを受け止める。
「ぬっ! おい誰か受け止めろ!」
「おい! バカ、止めろ!」
ミルバも下に叫ぶと飛び降りた。パーティーメンバー全員で受け止めようとするが、いかんせん巨躯を誇るミルバの体、受け止めるには人数が足りない。
「いってぇ⋯⋯」
パーティーメンバーがミルバの下敷きとなることで、ミルバの体はなんとか事なきを得た。
「いてててて! おい! ちゃんと受け止めろ。また傷が開いたではないか!」
「あんな所に飛び込むからよ!」
ミアンがミルバの理不尽に怒りの声をあげた。
視界の潰れたドレイクが岩壁に体をこすりながらその場で爆ぜる。
まるで見えないものに怯えているようにも見えた。
闇雲に暴れ、吼える。その場から動こうとはしないが、こちらもむやみに近づけない。
せめてマジシャンがいてくれれば、ハルヲは宙を仰ぐ。
「【スミテバアルバ】、マジシャンいないのか?」
ジッカの問いにハルヲ達は黙って首を横に振る。
ユラの魔法では焼け石に水だ。
「そっちは……いないのよね」
ハルヲは爆ぜるドレイクを見つめ仕留める方法を模索する。
ハルヲの表情がみるみる険しくなっていく。
「どうした、どうした揃いも揃ってしけたツラしおって」
後方からの声にハルヲ達が振り向く。
「おおー! すげー! 女の子だけでここまで追い込んだのか?!」
「いやぁ、やっぱり【スミテマアルバ】違うな。いいなぁ、やるなぁ」
「ウチもリーダーにも華があればなぁ」
「ねえからなぁ。無さ過ぎなんだよなぁ」
「やかましい! おまえらはもうちっと緊張感をもてえ!!」
飄々と軽口を叩き合うリグのパーティーに緊張が和らぐ。
「ああ? おまえはなんだってこんな所で寝ころんでんだ」
腹を押さえて呻いているミルバを見下ろし言い放つ。
「いててて、なんだおまえか。まさかおまえみたいなチビに見下ろされるとはな」
「チビは余計じゃ。おまえが無駄にデカイだけだ!」
「無駄とはなんだ! 大体おまえ少しはでかくなったのか? いててて……」
「ガキじゃないんだ! デカくなるか! いてえなら黙ってろ!」
ハルヲ達がやり取りに呆気に取られる。
この緊迫した場面でこの余裕って。
あ、そうか。
攻撃されないんだ! 焦ることはないのか。
うん?!
「ちょっとアンタ達良さそうなもの持っているじゃない? それ貸してくれない?」
「お……こ、これか。も、もちろん! 構わない、よ、ぜ」
「なに緊張しているんだよ」
「いや、もう⋯⋯目の前で見たら、なんだか⋯⋯もうダメだ……」
我がパーティーながら……。
リグがその姿に額に手を置き嘆息する。
「弩砲じゃ、使え。ヌシ弓師か?」
「なんちゃってだけどね」
リグがすぐに弩砲の展開を指示すると手慣れた手つきで準備が整う。
ヤクラス達ももの珍しそうに弩砲を眺めた。
ハルヲは弩砲を構え、ドレイクへ向けて狙いを定める。
「いけー!」
低い音を鳴らし鋭い一撃がドレイクへ向けて放つ。
その丸太のように太い矢はドレイクの堅い体を貫く。
『『『ゴギャアァァアアァアァァァァ』』』
苦しみを伴う咆哮が体の芯まで震わす。
耳を塞ぎたくなるほどの咆哮が辺り一帯を震わす。
「次!」
ハルヲはすぐに追撃を放つ。
体に刺さる二本の太すぎる矢から血が吹き出す。
暴れれば暴れるほど吹き出す血の量は増えていく。
黒い小山に赤黒い線を描く。
動きが止まった。
いや、止まったように感じた。
飛来してきた矢の方向を見定めると山が動き始める。
全てをなぎ倒し、巻き上げ進む。
襲いかかる小山のような体が弩砲を狂いなく見定めていた。
「避けろ!」
誰かが叫ぶ。
いや、ここで討つ。
ハルヲは落ち着いて突進するドレイクを見定める。
ここで決めろ!
集中を最大限まで上げる。
狙いを定める。
自分の呼吸音だけが響いている。
思ったより冷静だ。行け。
痛みが発する。
視界を閉ざした者、痛みを与える者。
ドレイクは初めて自分の身に危機が訪れているのを感じる。
潰さねばやられる、それは限りなく本能に近い防御心理。
痛みを与える者を潰さねば。
痛みを与えた先に向けて本能のまま突き進む。
黒い暴風となり遮るものを吹き上げ駆ける。
痛みを与えた者への畏怖を吹き飛ばす。
哮る。
畏怖を与える側に立っていなくてはいけない。
駆ける。
全てをなぎ払え。
潰せ。
全てをなぎ払う黒い暴風。
土煙と共に舞い上がる瓦礫。
リグの目が真っ直ぐそれを見つめる。
恐怖に支配されているんだろ、バレバレだわい。
自分のパーティーへ視線を投げるとすぐに反応が返る。
吹き飛ばされるなよ。
盾を構えて暴風の風除けとなろう。
全てをなぎ払う爪が眼前へと迫り来る、畏怖を与える者としての象徴。
恐怖に支配されているヤツなんざビビるか、丸めて捨ててやるわい。
「構えろ! くるぞ!」
「おう」
全ての思いを『止める』それだけに集中する。
余計なものはくれてやれ。
「ハーフドワのパーティーは右に行け!」
ユラが吠えるとリグの隣へと駆け出す。
ユラの目にも畏怖の念などない、ただひたすらに怒りがあった。
盾を構える体に力を込める。
ユラの叫びが届く。
ヤクラス、ミアン、ジッカ、三人が駆け出す。
全てをなぎ払う暴風、土煙を上げ、地響きを鳴らし、悲しい咆哮を上げる。
辛いのなら直ぐに楽にしてやるのに、ヤクラスが黒い長ナイフをくるりと器用に回した。
自らの恐怖をすり潰そうと大きな爪で地面を蹴り上げ叩く。
視界を失った黒いただの塊だ。
勢いだけの塊だ。
止めれば良いだけの話だろ。
だが、触れれば一瞬で土煙と一緒に舞い上がる。
「いくぞ」
ヤクラスの静かな掛け声に足元に滑り込む。
蹴り上げる度に舞い上がる土煙の中へと突っ込んでいく。
狙うは足首の腱。
止めるぞ。
前足が大地を叩く。
蹴り上げようとする足へ盾で突っ込み体ごと抑え込む。
小石がまた邪魔をする。
吹き荒れる風でなぎ払いすり潰せ。
暴風は単純な思考で爪を前へと蹴り上げる。
「踏んばれや!」
ユラが叫ぶ。
蹴り上げる爪と盾が激しい衝突音を鳴らす。
鳴るはずの無い音がドレイクの迷いを呼ぶ。
小石を蹴り上げようと迷いを吹き飛ばそうと力を込める。
動かない足にもどかしさと共に小石への畏怖が生まれる。痛みを与える者が近い。
本能が感じると畏怖を振り払うように咆哮を上げる。
ゴツっと爪が暴れようとするたびに盾に当たる音が鳴る。
今一度、盾を握る腕に体に力を込めてなにも出来ないもどかしさと畏怖を与えてやれ。
風が爆ぜる、吼える、全てを踏み潰し亡きものとする。
それは畏怖と恐怖から引きずり出された力。
盾ごと引きずられる、地面に足がめり込む。
「オラアアア!」
リグが勇気を与える叫びを上げる。
今一度力を込める。
動きが鈍い。
足踏みするかのように大地を叩く、推進力としての爪の力は感じられない。
大木に斧を入れている気分だ。
同じ所に何度も刃を当てていく。
削れ。
削がれる肉を嫌がり激しく足を踏み鳴らす。
「なかなかしんどいな」
「やるしかないでしょう」
ジッカが嘆く。
踏み鳴らす足はまだまだ力強い。
小さな痛みが届く。
今一度暴風となり押し進む。
よっと!
大剣を杖がわりにして腰を上げた。
なかなかどうしてしぶとい。
「ウオオオオ!」
ミルバが大剣を振りかぶり駆け出す。
「何やってんだ! 寝てろ!」
何か聞こえたか? まあ、いい。
風を打ち破れ、ひとり激しい炎を燃やした。
壊す。
ミルバは痛みを忘れ、目の前に近づく触れざるものに心を燃やす。
地響きを伴い近づく、ゆっくりと呼吸をする、体の力を抜く、瞳にだけ力をたぎらす。
舞い上がる土と共にその大きな剣を振り上げた。
触れたり終わり? ……知らんな、壊せばいいのだろう。
「アアアアア!!」
爆ぜる。
心を燃やす。
「あの、バカ」
ヤクラスからこぼれる言葉。
固まる体、炎と化したミルバを見つめてしまう。
期待をしてしまう。
その名の通り盾となれ。
押されるな、押せ。
体中の力を盾に向ける。
盾を通じてわかる、怒りより、もどかしさより、畏怖の念。
痛みを受ける事への恐怖。
びびってるヤツに押されるなど名折れ。
「押せー!」
リグの鼓舞に答えよう。
見えない足元を押さえられ動けない恐怖が満たしていく。
畏怖の念を打ち消そうと吼える。
「いけるぞ!」
ユラも声を上げる。
ユラもまた体中を怒りの炎で包み込んでいく。
ビシッ。
バキッ。
一瞬の間だった。
動きが鈍った一瞬の間。
大きな何かが横に飛んでいく。
触れざるもの、その大きな爪が高い亀裂音を鳴らし飛んでいた。
大剣を振り下ろしながら視界の隅に、爪を蹴り上げるフェインの姿が掠める。
ハハ、やるな。
ミルバは口角を上げると剥き出しとなった足へ振り下ろす。
ドレイクの勢いが一気に落ちた、まわりを威嚇するかのように吼える。
それは怯えているようにも見えた。
その瞬間ハルヲの目が見開く。
弩砲から放たれた矢は真っ直ぐにドレイクの眉間へと綺麗な線を描く。
止められた動揺と、すでに失っている視界。そして与えられる畏怖の念にドレイクはなすすべはなく、それを受け入れるしかなかった。
ドス
鈍い音が顔から鳴るとドレイクから力が一気に抜けていく。
眉間からは血が流れ落ち地面へボタボタと落ちていった。
派手に土埃を巻き上げドレイクが崩れ落ちるとただの黒い塊と化す。
ハルヲはそのまま後ろに倒れ込み空を仰ぐ。
「やったな、おつかれさん」
柔らかな声色が響くと目の前にキルロの顔が現れた。
ここを離れるしかないか。
ハルヲの逡巡する心をあざ笑うかのように、ドレイクは奮闘するハルヲ達を見下ろす。
足元の二人はまるで邪魔な小石程度にしか思っていないのかもしれない。
小石でも蹴り飛ばすかのように振りまわされる爪を避けるので精一杯だ。
この状態でターゲットを外れていいものか。
「ハルヲ⋯⋯」
少し迷いの見える言葉にハルヲは意を決した。
「フェイン! ユラ! ごめん、マッシュを診てくる!」
フェインが小さく片手を上げて答えた。
急げ!
ハルヲはマッシュの元へと疾走する。
「スマン……ミスった」
上体を起こそうとマッシュが肘をつく。
キルロはそっとそれを諫める。
「何言ってんだ、黙って寝ていろ。今ちゃっちゃっと治すから」
マッシュな顔色が見る見るうちに蒼ざめていく。
歯を食いしばり痛みに耐えているのが手に取るように伝わる。
相当に我慢しているな、これ。
ハルヲの到着をキノとふたり、焦れる思いで待っていた。
「ごめん、遅くなった。スピラ!」
ハルヲの到着と同時に白い影が前線へと駆け上がって行く。
キノ!?
「おい! こら! キノ!!」
「先にこっち! そっち押さえて」
駆け出すキノを見送る事しか出来ず、心がざわつく。
とりあえず急いでマッシュを治さないと。
こっちに集中だ。
マッシュの荒い息づかいが耳朶を掠める。
《トストィ》
麻酔をかけて添え木の準備をする。
マッシュの左足を触診するハルヲの顔が険しくなった。
相当いっちまっているのか⋯⋯。
ハルヲ頼むぞ。
ゆっくりと触診をしながら壊れた足を整えていく、ゆっくりと手探りで。
額に大粒の汗を浮かべ、拭うこともせずに足の修復の為、腕に力を入れているのが見て取れた。
キルロは邪魔にならぬよう静かに見守り、もどかしい時間だけが過ぎて行く。
「その包帯取って」
足の長さと向きを確認し微調整の為にまた力を込める。
骨の感触を確かめると添え木をキツく縛り上げた。
「多分、大丈夫」
それだけ言うとハルヲは肩で息をしながら額の汗を拭い、すぐに前線へと駆け出した。
キルロは頷き詠唱を始める。
《レフェクト・サナティオ・トゥルボ》
大きな白い光の玉をマッシュの左足へ向けていった。
今は、こっちに集中だ。
マッシュの苦しむ様子を見つめ、光玉の行方だけに集中していく。
「⋯⋯フェイン、上に投げて」
キノが表情ひとつ変えず、フェインに向かって淡々と告げる。
動揺するフェインに構う事なく、キノはフェインに向かって一直線に跳ねて行く。
「え!? えええー!?」
飛び込まれたフェインはあたふたとしながらも、反射的に組んだ手のひらでキノの足の裏を受け止めると、勢いのまま思い切り上へと放り投げた。
放り投げられると同時に、もう一度勢いをつけて跳ね上がる。
キノの体は重力が無くなったかのように上へ上へと向かって行った。
空中で静止するとクルッと一回転し、ドレイクの首元に着地を決めた。黒い小山に白い点が浮かび上がる。
「キノ!?」
まるで真っ黒な布にはねた白い染み。
しみのように付着したその点は、許す事の出来ない汚点のように怒り、黒い小山は猛る。
白い点は冷静で無表情、だが違う。
冷たく感じるほどの熱を持つ青白い炎の熱を持つ怒りの塊だ。
白銀に光るナイフを腰から抜き、黒い表皮へと突き立てる。
その染みのような白い点は、ドレイクにとって排除すべき汚点であり異物だった。
小山のような体を振り回し白い点を振り払おうと黒い渦を巻く。
握り締めるナイフをより強く握り、青白い炎をさらにたぎらす。
大地を撹拌する鋭利な爪が激しく地面を抉り、暴れる自重に泥をはね飛ばしていく。
爪との接触はイコールで死を意味する。巻き込まれれば、いとも簡単にその体は大地と共に撹拌されてしまう。
危機を感じた。
足元の二人は左右に跳ねて危機から逃れる。
近づこうにも勢いの増す巨大な爪に、なすすべなく後ろへと跳ねる事しか出来なかった。
「クソ!」
ユラの悔しさが口からこぼれていく。
『ゴォオアアアアアアア』
ドレイクもまた剥がれ落ちない白い染みに怒りの咆哮を放つ。
渦を巻く勢いが増していく、まるで小さな嵐と化していた。
小さな嵐と化したその渦が、木々や岩を巻き上げ目的地のないまま闇雲に進んで行く。
ただただ背中に染み着いた白い点を振り払うが為に嵐と化していた。
嵐を見送るしか出来ないフェインとユラが、悔しさと不安に苛まれる。
勢いの衰えない小さな嵐によって撹拌された進路に、根こそぎ倒れた木や飛ばされた岩が散乱していく。
やがて進路は大きな衝突音をともない岩壁に阻まれた。
嵐と化していたドレイクが自らの堅い表皮で岩肌を削ると勢いは落ち、ゆっくりと動きが止まる。
落とせなかった白い染みが忌まわしい。
右目を鈍く光らせ低く唸る。
キノは青白い炎をさらにたぎらせた。
「なんだ、なんだ、面白そうな事になっているな!」
岩壁の上から下をのぞき込む数人の人影があった。
「あああ!! コラ!! バカ!!」
女の諫める声と共にひときわ大きな人影が岩壁の上からドレイクへ向けて飛び込んで行った。
「あああ、もう」
ヤクラスを筆頭に全員が頭を抱える。
「おらぁぁぁぁぁあああああ!!!」
ミルバが吼える。
大剣を逆手に黒い小山へと飛び込んで行く。
勢いを持ったドレイクの黒い背中に突き刺さろうとしていた。
ミルバの眉間に皺が寄せ、思った以上の堅い表皮に阻まれた切っ先を睨んだ。
『『ゴォオアアアアアア!!!』』
振り払う所か増えていく異物に怒りの咆哮を上げる。
染みがまた増えた。取るに足らない小石程度の存在のクセに自分を苛立たせるそれを睨む。
ミルバはそんなドレイクの睨みなど臆することなく、さらに切っ先を押し込もうと体全体に力を込めようとしていた。脇腹の傷から血が溢れ出し、思うように力が入らない。
つっ!
ミルバを睨む瞳に対し一瞥して悔しさを露わにした。
「⋯⋯オマエはやりすぎ」
眼前の睨む瞳にキノはそれだけ言うと腰からもう一本のナイフを抜き、投げつけた。
キノが青白い炎と化す。
怒りに溢れる瞳に向かい白銀のナイフが一本の白銀の線を描く。
瞬く間も許さない白銀の刃が、右の瞳を射抜くとドレイクは視界を失い暗闇の中へ落ちて行った。
「キノー!!」
ハルヲが叫ぶとフェインが下で両手を広げていた。キノはフェインに向かって飛び込んで行き、フェインがしっかりとそれを受け止める。
「ぬっ! おい誰か受け止めろ!」
「おい! バカ、止めろ!」
ミルバも下に叫ぶと飛び降りた。パーティーメンバー全員で受け止めようとするが、いかんせん巨躯を誇るミルバの体、受け止めるには人数が足りない。
「いってぇ⋯⋯」
パーティーメンバーがミルバの下敷きとなることで、ミルバの体はなんとか事なきを得た。
「いてててて! おい! ちゃんと受け止めろ。また傷が開いたではないか!」
「あんな所に飛び込むからよ!」
ミアンがミルバの理不尽に怒りの声をあげた。
視界の潰れたドレイクが岩壁に体をこすりながらその場で爆ぜる。
まるで見えないものに怯えているようにも見えた。
闇雲に暴れ、吼える。その場から動こうとはしないが、こちらもむやみに近づけない。
せめてマジシャンがいてくれれば、ハルヲは宙を仰ぐ。
「【スミテバアルバ】、マジシャンいないのか?」
ジッカの問いにハルヲ達は黙って首を横に振る。
ユラの魔法では焼け石に水だ。
「そっちは……いないのよね」
ハルヲは爆ぜるドレイクを見つめ仕留める方法を模索する。
ハルヲの表情がみるみる険しくなっていく。
「どうした、どうした揃いも揃ってしけたツラしおって」
後方からの声にハルヲ達が振り向く。
「おおー! すげー! 女の子だけでここまで追い込んだのか?!」
「いやぁ、やっぱり【スミテマアルバ】違うな。いいなぁ、やるなぁ」
「ウチもリーダーにも華があればなぁ」
「ねえからなぁ。無さ過ぎなんだよなぁ」
「やかましい! おまえらはもうちっと緊張感をもてえ!!」
飄々と軽口を叩き合うリグのパーティーに緊張が和らぐ。
「ああ? おまえはなんだってこんな所で寝ころんでんだ」
腹を押さえて呻いているミルバを見下ろし言い放つ。
「いててて、なんだおまえか。まさかおまえみたいなチビに見下ろされるとはな」
「チビは余計じゃ。おまえが無駄にデカイだけだ!」
「無駄とはなんだ! 大体おまえ少しはでかくなったのか? いててて……」
「ガキじゃないんだ! デカくなるか! いてえなら黙ってろ!」
ハルヲ達がやり取りに呆気に取られる。
この緊迫した場面でこの余裕って。
あ、そうか。
攻撃されないんだ! 焦ることはないのか。
うん?!
「ちょっとアンタ達良さそうなもの持っているじゃない? それ貸してくれない?」
「お……こ、これか。も、もちろん! 構わない、よ、ぜ」
「なに緊張しているんだよ」
「いや、もう⋯⋯目の前で見たら、なんだか⋯⋯もうダメだ……」
我がパーティーながら……。
リグがその姿に額に手を置き嘆息する。
「弩砲じゃ、使え。ヌシ弓師か?」
「なんちゃってだけどね」
リグがすぐに弩砲の展開を指示すると手慣れた手つきで準備が整う。
ヤクラス達ももの珍しそうに弩砲を眺めた。
ハルヲは弩砲を構え、ドレイクへ向けて狙いを定める。
「いけー!」
低い音を鳴らし鋭い一撃がドレイクへ向けて放つ。
その丸太のように太い矢はドレイクの堅い体を貫く。
『『『ゴギャアァァアアァアァァァァ』』』
苦しみを伴う咆哮が体の芯まで震わす。
耳を塞ぎたくなるほどの咆哮が辺り一帯を震わす。
「次!」
ハルヲはすぐに追撃を放つ。
体に刺さる二本の太すぎる矢から血が吹き出す。
暴れれば暴れるほど吹き出す血の量は増えていく。
黒い小山に赤黒い線を描く。
動きが止まった。
いや、止まったように感じた。
飛来してきた矢の方向を見定めると山が動き始める。
全てをなぎ倒し、巻き上げ進む。
襲いかかる小山のような体が弩砲を狂いなく見定めていた。
「避けろ!」
誰かが叫ぶ。
いや、ここで討つ。
ハルヲは落ち着いて突進するドレイクを見定める。
ここで決めろ!
集中を最大限まで上げる。
狙いを定める。
自分の呼吸音だけが響いている。
思ったより冷静だ。行け。
痛みが発する。
視界を閉ざした者、痛みを与える者。
ドレイクは初めて自分の身に危機が訪れているのを感じる。
潰さねばやられる、それは限りなく本能に近い防御心理。
痛みを与える者を潰さねば。
痛みを与えた先に向けて本能のまま突き進む。
黒い暴風となり遮るものを吹き上げ駆ける。
痛みを与えた者への畏怖を吹き飛ばす。
哮る。
畏怖を与える側に立っていなくてはいけない。
駆ける。
全てをなぎ払え。
潰せ。
全てをなぎ払う黒い暴風。
土煙と共に舞い上がる瓦礫。
リグの目が真っ直ぐそれを見つめる。
恐怖に支配されているんだろ、バレバレだわい。
自分のパーティーへ視線を投げるとすぐに反応が返る。
吹き飛ばされるなよ。
盾を構えて暴風の風除けとなろう。
全てをなぎ払う爪が眼前へと迫り来る、畏怖を与える者としての象徴。
恐怖に支配されているヤツなんざビビるか、丸めて捨ててやるわい。
「構えろ! くるぞ!」
「おう」
全ての思いを『止める』それだけに集中する。
余計なものはくれてやれ。
「ハーフドワのパーティーは右に行け!」
ユラが吠えるとリグの隣へと駆け出す。
ユラの目にも畏怖の念などない、ただひたすらに怒りがあった。
盾を構える体に力を込める。
ユラの叫びが届く。
ヤクラス、ミアン、ジッカ、三人が駆け出す。
全てをなぎ払う暴風、土煙を上げ、地響きを鳴らし、悲しい咆哮を上げる。
辛いのなら直ぐに楽にしてやるのに、ヤクラスが黒い長ナイフをくるりと器用に回した。
自らの恐怖をすり潰そうと大きな爪で地面を蹴り上げ叩く。
視界を失った黒いただの塊だ。
勢いだけの塊だ。
止めれば良いだけの話だろ。
だが、触れれば一瞬で土煙と一緒に舞い上がる。
「いくぞ」
ヤクラスの静かな掛け声に足元に滑り込む。
蹴り上げる度に舞い上がる土煙の中へと突っ込んでいく。
狙うは足首の腱。
止めるぞ。
前足が大地を叩く。
蹴り上げようとする足へ盾で突っ込み体ごと抑え込む。
小石がまた邪魔をする。
吹き荒れる風でなぎ払いすり潰せ。
暴風は単純な思考で爪を前へと蹴り上げる。
「踏んばれや!」
ユラが叫ぶ。
蹴り上げる爪と盾が激しい衝突音を鳴らす。
鳴るはずの無い音がドレイクの迷いを呼ぶ。
小石を蹴り上げようと迷いを吹き飛ばそうと力を込める。
動かない足にもどかしさと共に小石への畏怖が生まれる。痛みを与える者が近い。
本能が感じると畏怖を振り払うように咆哮を上げる。
ゴツっと爪が暴れようとするたびに盾に当たる音が鳴る。
今一度、盾を握る腕に体に力を込めてなにも出来ないもどかしさと畏怖を与えてやれ。
風が爆ぜる、吼える、全てを踏み潰し亡きものとする。
それは畏怖と恐怖から引きずり出された力。
盾ごと引きずられる、地面に足がめり込む。
「オラアアア!」
リグが勇気を与える叫びを上げる。
今一度力を込める。
動きが鈍い。
足踏みするかのように大地を叩く、推進力としての爪の力は感じられない。
大木に斧を入れている気分だ。
同じ所に何度も刃を当てていく。
削れ。
削がれる肉を嫌がり激しく足を踏み鳴らす。
「なかなかしんどいな」
「やるしかないでしょう」
ジッカが嘆く。
踏み鳴らす足はまだまだ力強い。
小さな痛みが届く。
今一度暴風となり押し進む。
よっと!
大剣を杖がわりにして腰を上げた。
なかなかどうしてしぶとい。
「ウオオオオ!」
ミルバが大剣を振りかぶり駆け出す。
「何やってんだ! 寝てろ!」
何か聞こえたか? まあ、いい。
風を打ち破れ、ひとり激しい炎を燃やした。
壊す。
ミルバは痛みを忘れ、目の前に近づく触れざるものに心を燃やす。
地響きを伴い近づく、ゆっくりと呼吸をする、体の力を抜く、瞳にだけ力をたぎらす。
舞い上がる土と共にその大きな剣を振り上げた。
触れたり終わり? ……知らんな、壊せばいいのだろう。
「アアアアア!!」
爆ぜる。
心を燃やす。
「あの、バカ」
ヤクラスからこぼれる言葉。
固まる体、炎と化したミルバを見つめてしまう。
期待をしてしまう。
その名の通り盾となれ。
押されるな、押せ。
体中の力を盾に向ける。
盾を通じてわかる、怒りより、もどかしさより、畏怖の念。
痛みを受ける事への恐怖。
びびってるヤツに押されるなど名折れ。
「押せー!」
リグの鼓舞に答えよう。
見えない足元を押さえられ動けない恐怖が満たしていく。
畏怖の念を打ち消そうと吼える。
「いけるぞ!」
ユラも声を上げる。
ユラもまた体中を怒りの炎で包み込んでいく。
ビシッ。
バキッ。
一瞬の間だった。
動きが鈍った一瞬の間。
大きな何かが横に飛んでいく。
触れざるもの、その大きな爪が高い亀裂音を鳴らし飛んでいた。
大剣を振り下ろしながら視界の隅に、爪を蹴り上げるフェインの姿が掠める。
ハハ、やるな。
ミルバは口角を上げると剥き出しとなった足へ振り下ろす。
ドレイクの勢いが一気に落ちた、まわりを威嚇するかのように吼える。
それは怯えているようにも見えた。
その瞬間ハルヲの目が見開く。
弩砲から放たれた矢は真っ直ぐにドレイクの眉間へと綺麗な線を描く。
止められた動揺と、すでに失っている視界。そして与えられる畏怖の念にドレイクはなすすべはなく、それを受け入れるしかなかった。
ドス
鈍い音が顔から鳴るとドレイクから力が一気に抜けていく。
眉間からは血が流れ落ち地面へボタボタと落ちていった。
派手に土埃を巻き上げドレイクが崩れ落ちるとただの黒い塊と化す。
ハルヲはそのまま後ろに倒れ込み空を仰ぐ。
「やったな、おつかれさん」
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