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番外 ※ 時間軸はランダムです。結婚後の話もあります。

バレンタインss 2 

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~  side  イルファン&伊織  ~


「あの、今日はバレンタインで、その、イルファンは知ってるかもしれないけど。今日は大切な人に自分の想いとチョコを贈る日なんだ。だから・・・」

プライベートスペースの中、ちょっと不思議そうなかおをしたイルファンと手を繋いだまま、ちゃんと翠色の瞳を見つめて話すために顔を上げて、手に持った綺麗なラッピングに包まれたチョコケーキをイルファンの方へ差し出す。
すぐに受け取ってくれるイルファンの、シャープな目元がふわりと緩んで微笑む。
それが嬉しくて、いつもちゃんと言えたらって想っている事が、自然にふわりと溢れてきたんだ。


「イルファン、大好きだ。俺の大事な唯一の人。遠く離れた場所で生まれたけど、こうして出会えて一緒にいられる事が、奇跡みたいで本当に嬉しくて幸せだ。ずっとこうして一緒に生きていきたい・・・あ、ぁ・・愛いしてる、イルファン・・・・っ・・・んっ・・」

伝えたい事を、全部云えたって思った直後、俺は大好きな人に全身を包まれるように抱き締められていた。あって思ってイルファンの顔を見ようと上向けば、もう目の前には褐色の頬をうっすらと紅潮させた美貌が飛び込んできて、翠色の瞳に吸い込まれる様に目を閉じれば、そのまま唇を奪われた。


「・・・っん・・ふ・・ぅんっ・・・んんっ・・」

静かな室内に、ちゅっちゅってリップ音と、深く舌を絡め合う湿った音と・・・情熱的なキスの合間に漏れる俺の喘ぐような吐息が響く。

背中を支えるように抱き締める腕も、頬と項を指先で撫でてもっと深く唇を合わせようと引き寄せる大きな掌も。
甘く蕩けそうに熱くて、幸せそうに緩んだ綺麗な翠色の瞳も。
情熱的で甘いキスの合間に・・・“ありがとう”“嬉しい”って、“私も愛している”って、囁いてくれる器用な唇も。
大好きで嬉しくて幸せで・・・ちょっと怖いくらいだ。


俺、頑張って良かった。
イルファンも俺も幸せになるなら、いつでもちゃんと照れずに想いを口に出来るように・・・頑張ってみようかなって思うんだ。

幸せなキスに、ちょっとぼぅっとした頭の中で、そんな事を考える。心の高揚と共鳴するように、躰も熱くなってきているけど。今はもうちょっと、こうしていたいって思う。


「・・・イルファン、もっとキス・・・して?俺も、イルファンに、キスしたい」

「・・・ああ、伊織。私も、もっと欲しい」




唇が触れる寸前に、“自室まで・・・お預けとは・・・”って呟きが、目の前の綺麗な唇と・・・ドアの向こうからも聞こえたのは、気のせい・・・かな。


ちょっと笑いそうになりながら、愛しい人の唇に自分の唇で触れて。そのままぎゅうって抱き締め返した。


    Happy Valentine !








~  side ディーノ&サヴィン  ~



「ディーノさんっ!好きです、尊敬してます。そのっ・・・愛して、ます・・・っ」



昨日の“男子会”から戻ってから、何やら落ち着かない・・・何かを心待にする子どもの様な様子だったが。

その、いつもは涼しげな綺麗な顔を赤く染め、微かに甘く香る包みを差し出す俺の恋人サヴィンは。



普段、その耳ざわりの良い声で、この耳で聞く事が困難な、ーーああ単に照れや羞恥の為だとは承知しているから問題無いーー、それにベッドでは快楽に乱れながら睦言で・・・っ、落ち着け俺。



スカイブルーの瞳で俺を真っ直ぐに見つめ、彼の心の内俺への想いを、告げてくれた。

彼から差し出された言葉想い包み甘い香りを同時に己の物にしたくて、どちらも拐うように自分の腕で囲い込む・・・包みは潰さぬ様に掌で、何よりも欲しいサヴィンは両腕と躰で・・・瞬間、こちらに向いた視線に、プライベートルームの扉が閉まる音に、自分が執務室にいたという事実に、その為に自制していたという事に気づいたが。
室内にサヴィンと二人きりになれば、もうそれ自制を保つなど不可能だった。

囲い込んだ、い存在をもっと感じたくて求める欲求のままに、その唇に己のそれを重ねる。
少し触れて、離さなければと頭では理解も戒めもしていても、一度その甘さを味わえば自制コントロールは利かない。
二人きりの室内・・・そうなれば、腕の中の躰も触れるだけだと戒めた筈の唇も、全てが自分のものだと求める己を止める術が無い。

隣室プライベートルームからは、物音は無いものの、こちらと同様に取り込んでいるであろう気配が感じられる。
それなら暫くは、このまま・・・この甘さと熱を、欲しいまま・・・捧げられるままに。可愛らしい言葉告白をくれた恋人サヴィンとの時間を、その返答の甘く囁く時間を過ごしても差し支えないだろう。


・・・だが、これ程に甘く可愛いサヴィン恋人を腕に抱いているのに、ここ執務室では抱擁と口付けここまでが限度だというのが・・・な。


「“・・・自室まで・・・お預けとは・・・”」


・・・隣室の殿下も、同様に苦悩して居られるだろう。

だが今は、愛おしい恋人がくれた甘い時間を味わい尽くし、自室まで理性を保てる様に。溢れそうな想いを口移しで伝えておかなければ・・・な。



   らぶらぶ  Valentine  !




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

なんとか、当日中に間に合いました(^o^;)

この後、それぞれの部屋に戻った後の・・・は、また別で書くかもです。

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