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番外 ※ 時間軸はランダムです。結婚後の話もあります。
イオリの観察日記 1 ディーノ&サヴィン編
しおりを挟む※ディーノとサヴィンが、くっつくか~くっつかないか~ぎりぎり・・・くらいの頃の話です。
俺はいつも、執務室ではイルファンの隣に座っているから、室内全体の侍従の皆の様子が良く見えるんだ。だから、作業が捗っているかとか難しそうな案件の処理をしているっぽいとか・・・その、サボってる?とか・・・丸見えなんだけどね。
向かって右側の、ディーノさんとサヴィンさんの仕事中の様子も、ばっちり見えるわけで。
・・・あんなに仲睦まじく仕事をしているのに、なんで皆はあの2人の関係に気付かないのかなって、不思議でしょうがない。
まして、何であの2人が恋人関係になっていないのか、全く分からないんだけど。
お互いに、お互いを特別扱いし合っているのに・・・あんな瞳で見つめ合ってるのに、何で?!
だって、イルファンとディーノさんが不在の執務室で侍従仲間がサヴィンさんに、“ディーノさんの鉄面皮の恐怖”とか“王宮内の怒らせてはいけない人物”とか、ちょっと本人には聞かせられない話を 普通にしちゃってるんだ。・・・まあ、俺も一緒に聞いてるけど。
それを聞くサヴィンさんは別に怒ったりしないし、笑って会話しているけどね。別段、悪口ってわけでもない、結局は“物凄く怖くて怒らせたらヤバイけど、王宮内で一目も二目も置かれている、第三王子殿下の優秀な侍従頭”って話だし。
この前も、執務室で仕事中いちゃいちゃしてるのを見て、ちょっと羨ましくなったんだ。俺は仕事をしながらイルファンといちゃいちゃして、その上で円滑に予定通りに仕事を進めるなんて出来ないもん。
あの2人は、それがきちんと出来て成り立っている上に、執務室内でも他の侍従に迷惑な雰囲気を出したりしない・・・って云うか、ディーノさんとサヴィンさんのやり取りで、皆の職務態度が引き締まるんだ。
・・・何故なのか、さっぱり解らないけど。
俺は、微笑ましかったりちょっと照れちゃうし・・・羨ましくて、デスクの下でイルファンと手を繋いだりしちゃうんだ。
「・・・サヴィン、この書類を再度精査しろ。ん・・?そのファイル全てだ。それに、この案件・・・お前、その頭と目は飾りか?」
「はいっ!ディーノさん、すみませんっ!」
ディーノさんは、本当にサヴィンさんを良く見てるんだなって思う。
イルファンからチェックが入る前に、ちゃんとフォローしてるし。ちょっとイジワルな事言うのだって、“好きな子は気になるし、ついついイジワルしちゃう”んだなぁって微笑ましいもん。
あのディーノさんが、そんな可愛い事するなんて。“鋼鉄製、鉄壁の鉄面皮の冷徹侍従頭”なんて言われてるのに、サヴィンさんを注意する時のディーノさんて、ちょっと楽しそうに目元をイジワルく緩めているの、皆は気付かないのかなあ。
サヴィンさんは、注意を受けて焦っているのに、何だか嬉しそうに見えるんだ。
・・・気付いていないな。皆、“私は無関係です”って看板立てて自分の仕事に没頭している風に、顔を上げないもん。
「これは?・・・そうか、その脳内は休みボケが抜けないのだな。よし、その脳を使い物になる程度に起こしてやろう。・・・体術か?暗器か?古武術か・・・型ではなく組手と実践の方が目も覚めるだろう、来い」
「はいぃぃぃっ?!ディーノさんっ!・・・でも、この書類は・・・っ」
あ、会話してるだけじゃ足りなくなったのかな・・・躰で会話しちゃうの?!うわぁっ・・・!なんかヤラしいよ?!それ、執務室の風紀的に大丈夫?!
2人の堂々とした“いちゃつき”に、俺が内心で“きゃーきゃー”して“ひやひや”していると、隣に座ったイルファンが、ちらりと俺を見た。
イルファンも同じように、あの2人のいちゃいちゃを心配しているのかなって思ったけど。
「ああ、良いぞ。ディーノ、サヴィンの寝惚けた頭を起こして来い。私の宮の訓練場を使って良い。来週にはイオリを伴い外出するのだ、有事に備え鍛練を怠るなど許さん。そうだな、就業時刻まで・・・ゆっくりして来れば良い」
俺は、他人事なのに恥ずかしくてしょうがない。だって、2人きりで・・・ゆっくりしてこい、なんて・・・っ!あ、訓練だよね?俺、えっちな事なんて考えてないよ?!
俺だったら“これって、もう公開処刑に近い程に恥ずかしい”って内心で悶えていると。
執務室内の・・・と云うか、侍従の皆の空気が凍った。
皆の顔には“終わったな”とか“死ぬなよ”って書いてある。どれもこれも、地獄の過密出張と山積みの書類を渡された時の同僚を見る顔と、その時の当事者の顔みたい。
・・・何でだよ?
皆、なんで怖がってるの?あの2人が一緒に訓練なんて、俺はえっち・・いや違う!甘い雰囲気になっちゃって、戦闘訓練なんて出来るのかなって思うくらいなのに・・・?
う~ん・・・あ、そうか。皆はあの2人が想い合ってるって、気付いてないもんな。でも、毎日こんなに執務室でいちゃついてるのに、何で気付かないんだろう。
俺は、ちょっと楽しそうなディーノさんと、涙目になるくらい嬉しそう(だと思う)サヴィンさんが執務室から出て行くのを見ながら、しきりに首を傾げてたんだけど。
その後、イルファンに残念な子を見るような目で“イオリ、あれは多分サヴィンには伝わっておらん。今頃、訓練場でサヴィンはぐったりしている筈だ”って言われた。
えっ・・ぐったりって・・・こんな時間に?!って、また恥ずかしくなった俺を見たイルファンが、また溜め息と・・・ニヤリとその美貌に悪い笑み(すっごく格好良いんだ!)を浮かべて言うことは。
「何を考えている?・・・他の者達の事に気をやって、その様に可愛らしい貌をするなど・・・赦せぬな。イオリのその可愛い表情は私だけのモノであろう?・・・ふむ、ではイオリの気が他に向かわぬ様に・・・してしまわねばな・・」
「ん?ぇっ?・・・わぁっ!」
“暫し席を外す。各自、職務を進めておけ”と、皆に指示を出したイルファンが、俺をさっと立たせると颯爽と執務室を出る。ドアの外に出た所で、さらりと横抱き(所謂、お姫様抱っこだ・・・)にされた俺は、わけが分からないままイルファンの自室に・・・寝室のベッドにサラワレて。他の事なんて考えられない程に、イルファンでいっぱいにされた。
“愛している”“可愛い”って、いっぱい躰に刻み込まれて。どうしようもなく気持ち善くて、えっちに反応しちゃう俺に、“可愛いぞ?・・・愛するイオリ、私だけの・・・”って、掠れたテノールで耳朶に直接、唇で囁かれたら・・・俺ダメになっちゃって、もうその後の・・・っ・・思い出しちゃダメだ・・
俺、昼間の・・・本当は仕事の時間なのに、それすらも頭から消えちゃってて。
その後、俺とイルファンも就業時間ギリギリまで、執務室に戻らなかった。俺に至っては、それこそぐったりして、動けなかったんだけど、ね・・・もうっ・・・!!
でもさ、ディーノさんとサヴィンさんて、本当にらぶらぶで・・・見てて羨ましくなっちゃう、よな?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
感想とリクエストをくださった、貴女様へ。
こんなんですが、どうぞ~✨
サヴィンの、「イオリ、違うっ!・・・違わないけど、違うっ・・・!!」って云う、半泣きの声が聞こえたとか・・・(笑)
ディーノさんは、好きな子をイジメるのも好きな様です。
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