学園奴隷《隼人》

かっさく

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性奴隷は、青姦させられる。

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期末テストが、始まってしまった。
と言っても『学園の性奴隷』である僕には関係のない話で、特にテストを受ける必要もなく学園長の力によって進級も出来るし、勉強なんかもする必要は無かった。
ただ、それは僕だけの話で生徒達は別だ。この学園はお金持ちの人たちが通う高校と同時に、都会の中でもトップクラスに頭の良い高校だった。『お金を積めば進級できる』なんて甘い考えを持っていては直ぐに退学になってしまう。時には授業をサボって抜け出して来ている生徒達も、この時ばかりは真面目に勉学に励んでいた。その事に驚きを感じつつも、やはりそこは腐ってもお金持ちの息子達なんだなぁと感心を覚えた。
今日は木曜日で、期末テストの四日目だった。テストは全部で五日間続くのだが、その間生徒たちは一切僕のいる教室へ入ってくることは無かった。テストが始まる一週間前からも生徒たちの出入りは少なかったが、テストが始まってからは本当に誰も来なくなった。なので、今日も今日とて僕は一人で本を読んだり、ソファーの上で寛いだりしていた。

お腹が空くと、持ってきたお菓子を食べた。何時もなら
何かを食べるという暇は無いが、誰も来ない日だけは別だ。何時もは休み時間の度に生徒の誰かがここへ来るので、お昼ご飯を食べる暇が無かった。何時もこうなら良いんだけど、と本当に思う。
ただ、一つ問題はあるのだが・・・・・

三時間目のチャイムが鳴ると、直ぐに荷物をまとめて『奴隷部屋』から出た。それは、元々放課後になったら帰っていいというルールがあるからだ。まあ、普段はそうしたくても生徒達が帰してくれないんだけど。
そういう訳で、生徒達が教室から出て下駄箱へ来てしまう前に、そそくさと学校を後にした。誰かに僕の姿を見られれば、何かを言われるに違いない。だって、僕は人ですらない『奴隷』だから。

先生用の下駄箱に来て靴を履いて、玄関の扉の前に来た時に、初めて外に雨が降っている事に気が付いた。私学の広い下駄箱は、外の音が殆ど入らない造りになっているため奴隷部屋に居た時も全く気が付かなかった。

「どうしよう・・・」

傘は、持ってきていなかった。何故なら、天気予報でも予想されていなかった通り雨だからだ。
学園の生徒なら、車で迎えに来てもらうことも出来るだろう。お金持ちなのだから、タクシーを呼びつけることも出来るかもしれない。そもそも雨が降やむまでの間、学園の中に留まり、勉強をしたり友達と話したりする選択肢を取ることもできる。ただ、僕はその全ての選択肢を選ぶ事が出来なかった。何故なら、テストが終わり、寄り道せずに下駄箱へと向かった生徒達が時期にここに来てしまうだろうから。このままあの部屋へと戻ろうとしても、誰かに鉢合わせてしまう可能性が高い。
もう、あんな目には会いたくないのだ。横目で僕を見られ、こちらに届くくらいの音量では無いものの陰口を叩かれ、蔑んだ目を男子にも女子にも向けられる。僕を抱こうとする人は珍しい方で、学園の生徒達の殆どは僕の事をよく思っていない人達だった。例外はあるものの、僕を犯す生徒たちの大半は奴隷部屋に通っていることがバレないよう、コソコソと隠れながら来ていた。それくらい、僕はこの学園には似つかわしくない浮いた存在なのだ。

余り悩んでいる暇は無かった。ゲリラ豪雨の激しい雨の中を走って帰る以外に、僕に選択肢は残されていなかったから。

「・・・・よしっ」

文庫本とスマホくらいしか濡れてはいけないものが入っていない通学鞄を胸に抱き、少しだけ覚悟を決めた後に前屈みになりながら玄関から外へと飛び出した。





「・・・・あれ?」

テストが終わり、友達と一緒に玄関へと向かった時だった。玄関の外から、パシャパシャという水溜まりを踏むような音が聞こえてきていた。

「うわ、雨降ってる」

「本当だ」

まだ昼間だと言うのに、下駄箱へと差し込む光の量が今は極端に少なかった。このまま靴を履くわけにもいかず、下駄箱の前で二人で立ち往生をしていた。

「俺、車呼ぼうかな」

「あ、俺もそうする」

後から着いて出てきた他の生徒たちも、外の光景を見てどうするかを考えているようだった。毎日車で迎えてきてもらっている生徒は一足先に帰っているようだったが、残念ながら俺は家が近いので毎日歩いて学園まで来ていた。
迎えを頼んだ後、車が到着するまでは友達と何気ない会話をしていた。ただ、同時に頭の中では別の事を考えていた。

先ほど聞こえた足音は、一体誰のものだったんだろう・・・・・

足音と同時に、微かに後ろ姿も見えていた。スラックスを履いていたので、男子生徒であったことは間違いない。ただ、それにしては背が低かった。160センチか、もしくはそれすらも無い程に背が低かった。更に言えば、本当に華奢だった。ただ、その後ろ姿も直ぐに大雨に掻き消されて見えなくなってしまったけれど。
そもそも、こんな土砂降りの中を傘も差さずに帰るなんて変だと思う。この学園の生徒なら、普通は俺みたいに迎えを呼ぶか、もう既に到着しているかの二択だろう。もしくは、学園の中に留まるかしかない。

雨が好きで、走って帰りたかったとか??

断言してもいい。そんな馬鹿は、この学園には絶対に居ない。
なら、考えられる可能性は一つだ。あの少年は、この学園の奴隷である『笹田隼人』なのだろう。

笹田隼人・・・・・

一度だけ、廊下ですれ違ったことがある。今から二ヶ月前くらいのことで、その日は俺が日直の当番だった。日直は花の水換えが仕事のひとつにあり、何時もよりも大分早くに学校に着いていた。教室に行き、花の入った花瓶を持って近くの手洗い場へ水を変えに行った帰りの事だった。運動部しか居ないような朝早い校舎で、黒髪の生徒が俺の前から歩いてきた。サラサラのストレートの黒髪に、長い前髪。低い身長に、うつむき加減の顔。その特徴的な見た目で、直ぐにこの子が笹田隼人だと気が付いた。
入学当初、学園の奴隷だと言う笹田隼人はよく話題にされていた。ただ、俺も実際に会うのは初めてだったのでつい顔をじっと見てしまった。けれど、低い身長と長い前髪も相まってよく見ることは叶わなかった。精々、顔の色素の薄さに気が付くくらいしか出来なかった。その時、その事に気を取られていて花瓶から一本花が落ちたことに気が付いていなかった。

「ぁ、あの・・・!」

「え?」

聞こえようによっては女の子の声かと聞き間違う声で呼び止められ、振り向いた。まさかとは思ったが、思った通り笹田隼人が俺を呼び止めたようだった。

「落としましたよ・・・?」

「・・・・ああ、ありがとう」

笹田が手に持った桜の枝を見て、漸く自分が花を落とした事に気が付いた。差し出された花を手に取ろうと手を伸ばしたところで、笹田の前髪から顔が微かに見えている事に気が付いた。

「・・・・・・?」

手を出したところで何時までも花を取ろうとしない俺を、笹田は不思議そうな顔で見ていた。
恐らく、落ちた花を拾いあげようと屈んだ拍子に前髪が乱れたのだろう。日本人らしい黒髪の隙間から、ぱっちりとした大きな瞳や、整った小ぶりな鼻筋が見えた。

「・・・・・ぁっ・・」

俺が顔を見ていたことに気が付いたのか、ばっと顔を伏せ、早く取れと言わんばかりに花を俺の方へ差し出してきた。

「ありがとう」

感謝の言葉を述べながら花を受け取るが、笹田は俺の顔を見ようともしなかった。

「ご、ごめんなさぃ」

顔を隠しながら、微かな声で言われた謝罪の言葉を聞いた。

「どうして」

俺が謝るのなら分かるけれど、わざわざ拾ってくれた笹田が謝る筋合いは何処にも無いはずだ。それに、それ程に整った顔を隠す理由も分からなかった。恥ずかしそうにしているのならまだ理解はできるが、笹田の言葉通り、本当に申し訳なさそうに顔を伏せている理屈が分からない。

「失礼します」

俺が引き止める間もなく、笹田はUターンをして早足に去っていってしまった。



その出来事があってからというもの、俺は度々笹田の事を思い出す。クラスメイトの『笹田隼人は、チビで凄く不細工らしいよ』という根も葉もない噂を聞く度に、口を挟んで弁解したい気持ちになった。ただ、そんな事は本当にはしない。いや、出来ないと言った方が正しいかもしれない。学園の中では、笹田隼人は触れては行けない話題になってしまっていたからだ。お金持ちが多く通う歴史ある学園には、そんな存在は本来いてはいけない。俺がどれだけ笹田の事が気になっていても、俺にはあの部屋の扉を開ける勇気は無かった。もし誰かに見られたらと思うと、一瞬にして俺がゲイだという噂が広まるだろうから。

「そういえばさ・・・」

「どうした?」

今まで話していた友達が、小声になった。

「笹田隼人。あいつ、目が見えないらしいよ」

「・・・・・・」

そんなわけは無いと思う。あの時出会った少年は、しっかりと俺の方を見ていた。今まで聞いてきた笹田に関する噂は、そのどれもが笹田には当てはまっていないものだった。
けれど・・・・・

「あ~、そうなんだ?だから前髪が長いのかもな」

今日も俺は、知らないふりをする。実は本当に綺麗な顔立ちをしている事とか、すれ違いざまにジロジロと顔を見てきた人にも優しい事とか、そういう事を知っている人は少なくてもいいと思うから。





部屋に訪れる生徒たち以外にも、実は隼人に興味を持つ人が多いことを、隼人は知る由もなかった・・・・・
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