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性奴隷は、女装デートをする。
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「早く入るよ」
「う・・・」
女物の服屋に入ることに躊躇ったが、学園長に手を引かれ無理矢理入らされてしまった。薄めの口紅とグロスだけは塗っているが絶対に女の子の様には見えないと思うし、男がこんな、女の子ばかりの所に入っても良いのかと戸惑った。店内に入ってから周りをちらりと見るが、まだ誰も僕の事を見ていなくてほっとした。
「僕、何も買いたい物が無いです。だから・・・」
「すいません」
「っ!!??」
僕の呼びかけを無視して、学園長は店員さんに話しかけてしまった。店内に入った時から僕たちの事を気にしてていた様で、直ぐにこちらに来て対応してくれた。
「どうかされましたか~?」
「娘の服を買いに来たんですが、今の流行りの服というものに疎くて・・・」
「あらそうでしたか、なら私にお任せください!」
今の学園長は、いかにも娘を気遣う父親そのものだった。帽子と眼鏡をかけ、学園長だと気付かれないように変装をしてはいるが身につけている服はどれも仕立ての良いものばかりで、そのオーラは隠し切れてはいなかった。側から見ると、会社の上役とその娘、と言った感じなのかもしれない。愛想よく笑う美人な店員さんを、僕は恥ずかしくて見られなかった。
「どういう服が欲しいとか、ありますか?」
「あ・・・・」
話しかけられたが、上手く言葉が出てこなかった。それでも必死に脳を回転させて口を開く。
「あの、ズボンがいいです」
「私はスカートの方が似合っていると思うよ」
「!?」
横から学園長が言葉を挟んできた。
「でも僕、ズボンの方が・・・」
「そう?スカートの方が女の子らしくていいと思うけど」
「私もスカートの方がお似合いだと思いますよ?」
何の事情知らない店員さんが、無邪気にそう言った。
性奴隷の僕は、学園長の言葉に逆らえない。
「じゃあ、スカートで・・・」
「畏まりました!なら、良さそうな物を数点持ってきますね!」
そう言って店員さんは店の奥へと消えていってしまった。
「服を買って、どうするんですか?」
「また着ればいいだろう?私がいる時にでも」
「ま、また??」
またするんだろうか、この『デート』とかいう物を。
「別に一人でいる時も着ていいんだよ?」
「だ、大丈夫です!!\\」
一人でなんて、着るわけない。
「お待たせしました~!」
そんな事を話していると、店員さんが戻ってきた。
「どれを着たいとかありますか?」
上の服と下の服、両方持ってきてくれたが全て僕にとっては露出の多い物ばかりだった。悩んだ末に、袖の無い代わりにスカートが長いワンピースを着ることにした。
「これをお願いします」
「畏まりました!試着室にご案内しますね」
試着室へと通される。店の奥側にあるので比較的人が少なく、少しだけ安心した。
「お父様もどうぞ」
「ありがとうございます」
店員さんに言われて、学園長もついてきた。ついてこなくていいのにと思ったが、本当に店員さんには悪気はないだろうから何とも言えない様な気持ちになる。
早速試着室に入り、服を脱ごうとした。服を着る時も相当苦労したが、脱ごうとすると脱ぎ方が分からなかった。薄い女性用の服は無理に力を入れて仕舞えば直ぐに破けてしまいそうで、慎重にならざるおえない。漸く自分の着てきた服を脱げて安心していたら・・・
「大丈夫ですか?もしかしてチャックが上げられませんか??少し開けますね~!」
と言って、突然カーテンが開けられた。
中には、パンツとブラジャーだけしか纏っていない僕がいる。
「っ!?!?!?」
咄嗟に、床へと蹲った。
「大丈夫ですか??」
「あ、あの、あのっ・・・・」
僕が男だと、バレただろうか。ヌーブラは完全にブラジャーに覆われていて、外からはよく分からない。それでも両手で胸を押さえ、隠した。
「大丈夫、ですっ・・・、なので、見ないで下さい\\」
「どうしてですか?」
店員さんも困惑した様に僕の事を見ていた。
「む、胸が、小さいので・・・・」
咄嗟に出た言い訳だったが、僕の言葉に店員さんは優しく笑った。
「そんな事、気にしなくていいですよ!!突然開けてしまってすいませんでした」
やっとカーテンが閉められ、ほっと息を吐いた。恐らくだが、僕が男だと言うことはバレていないだろう。また様子を見られても困るので、急いでワンピースを着た。
「着ました」
「ならカーテンを開けてもらってもよろしいですか?」
「はい・・・」
カーテンを開けると、店員さんは目を輝かせた。
「とってもお似合いですよ!スタイルがとても良いので、何を着てもお似合いになられると思います」
「そうですか・・?」
学園長の方を見ると、似合っていると言うふうに頷かれた。
「なら、これを買ってもいいですか?」
「ありがとうございます!」
学園長は、このワンピースを買うようだった。腕が丸出しなので、腕が太くて男だとバレないか心配だった。
「じゃあ、次は何にしようか」
「ま、まだ買うんですか!?」
これで終わりだと思っていたのに、学園長はまだ買う気らしい。
「他にも、お客様に合う服が沢山ありますので色々持ってきますね!」
嬉々として服を探しに行く店員さんを、僕は止める事ができなかった。
服屋を出た後、僕はぐったりとしていた。あれから何着も着せられ、その度に店員さんに褒められ学園長はその全ての服を買っていた。5着分くらいの大量の服が入った袋を、学園長は今持っている。
「いやぁ、私には息子が一人居るんだけど、実は娘も欲しかったんだよ」
「そうですか・・・」
学園長に息子がいることは有名な話だ。きっと、その息子が学園の後を継ぐのだろう。
「他に行きたいところはあるか?」
「別に無いです」
「なら、今度は靴を見に行こうか」
「まだ買うんですか?でも、荷物が多いので持ち切れないんじゃ・・・」
「それは問題ないよ」
「笹田様、お荷物をこちらに」
「ああ。よろしく頼む」
突然使用人らしきスーツを着た人が現れ、買ったばかりの服を受け取った。
「ほら、行こうか」
「・・・・・・」
ただの買い物に人を使うなんて、庶民の感覚では理解ができなかった。呆けている僕に学園長はもう一度呼びかけて、漸く歩き出す。
店員さんにカーテンを開けられた時、本当に終わったかと思った。あんな出来事があった後なので、女装をして街中を歩く事すら軽く思えてきた。少し前まであれ程恥ずかしくて嫌な事だったはずなのに、少し慣れてきた自分が怖い。似合わない女装をした男子高校生を隣に連れて歩く事が恥ずかしくないのだろうかと学園長を疑問に思うが、もう何も言わずに付いていくことにした。きっと言ってもやめてはもらえないだろうから。
相変わらず周りからの視線を感じる。僕がしたくてしているわけじゃないのに、どうしてこんなに嫌な思いをしなくちゃならないんだと言う思いを込め、恨みがましい目で若い男性の方を見ると、見ていた事がバレた事にどもるように顔を背けられてしまった。
その事に、少しだけ悲しくなりながらまた前を向いて歩いた。
「う・・・」
女物の服屋に入ることに躊躇ったが、学園長に手を引かれ無理矢理入らされてしまった。薄めの口紅とグロスだけは塗っているが絶対に女の子の様には見えないと思うし、男がこんな、女の子ばかりの所に入っても良いのかと戸惑った。店内に入ってから周りをちらりと見るが、まだ誰も僕の事を見ていなくてほっとした。
「僕、何も買いたい物が無いです。だから・・・」
「すいません」
「っ!!??」
僕の呼びかけを無視して、学園長は店員さんに話しかけてしまった。店内に入った時から僕たちの事を気にしてていた様で、直ぐにこちらに来て対応してくれた。
「どうかされましたか~?」
「娘の服を買いに来たんですが、今の流行りの服というものに疎くて・・・」
「あらそうでしたか、なら私にお任せください!」
今の学園長は、いかにも娘を気遣う父親そのものだった。帽子と眼鏡をかけ、学園長だと気付かれないように変装をしてはいるが身につけている服はどれも仕立ての良いものばかりで、そのオーラは隠し切れてはいなかった。側から見ると、会社の上役とその娘、と言った感じなのかもしれない。愛想よく笑う美人な店員さんを、僕は恥ずかしくて見られなかった。
「どういう服が欲しいとか、ありますか?」
「あ・・・・」
話しかけられたが、上手く言葉が出てこなかった。それでも必死に脳を回転させて口を開く。
「あの、ズボンがいいです」
「私はスカートの方が似合っていると思うよ」
「!?」
横から学園長が言葉を挟んできた。
「でも僕、ズボンの方が・・・」
「そう?スカートの方が女の子らしくていいと思うけど」
「私もスカートの方がお似合いだと思いますよ?」
何の事情知らない店員さんが、無邪気にそう言った。
性奴隷の僕は、学園長の言葉に逆らえない。
「じゃあ、スカートで・・・」
「畏まりました!なら、良さそうな物を数点持ってきますね!」
そう言って店員さんは店の奥へと消えていってしまった。
「服を買って、どうするんですか?」
「また着ればいいだろう?私がいる時にでも」
「ま、また??」
またするんだろうか、この『デート』とかいう物を。
「別に一人でいる時も着ていいんだよ?」
「だ、大丈夫です!!\\」
一人でなんて、着るわけない。
「お待たせしました~!」
そんな事を話していると、店員さんが戻ってきた。
「どれを着たいとかありますか?」
上の服と下の服、両方持ってきてくれたが全て僕にとっては露出の多い物ばかりだった。悩んだ末に、袖の無い代わりにスカートが長いワンピースを着ることにした。
「これをお願いします」
「畏まりました!試着室にご案内しますね」
試着室へと通される。店の奥側にあるので比較的人が少なく、少しだけ安心した。
「お父様もどうぞ」
「ありがとうございます」
店員さんに言われて、学園長もついてきた。ついてこなくていいのにと思ったが、本当に店員さんには悪気はないだろうから何とも言えない様な気持ちになる。
早速試着室に入り、服を脱ごうとした。服を着る時も相当苦労したが、脱ごうとすると脱ぎ方が分からなかった。薄い女性用の服は無理に力を入れて仕舞えば直ぐに破けてしまいそうで、慎重にならざるおえない。漸く自分の着てきた服を脱げて安心していたら・・・
「大丈夫ですか?もしかしてチャックが上げられませんか??少し開けますね~!」
と言って、突然カーテンが開けられた。
中には、パンツとブラジャーだけしか纏っていない僕がいる。
「っ!?!?!?」
咄嗟に、床へと蹲った。
「大丈夫ですか??」
「あ、あの、あのっ・・・・」
僕が男だと、バレただろうか。ヌーブラは完全にブラジャーに覆われていて、外からはよく分からない。それでも両手で胸を押さえ、隠した。
「大丈夫、ですっ・・・、なので、見ないで下さい\\」
「どうしてですか?」
店員さんも困惑した様に僕の事を見ていた。
「む、胸が、小さいので・・・・」
咄嗟に出た言い訳だったが、僕の言葉に店員さんは優しく笑った。
「そんな事、気にしなくていいですよ!!突然開けてしまってすいませんでした」
やっとカーテンが閉められ、ほっと息を吐いた。恐らくだが、僕が男だと言うことはバレていないだろう。また様子を見られても困るので、急いでワンピースを着た。
「着ました」
「ならカーテンを開けてもらってもよろしいですか?」
「はい・・・」
カーテンを開けると、店員さんは目を輝かせた。
「とってもお似合いですよ!スタイルがとても良いので、何を着てもお似合いになられると思います」
「そうですか・・?」
学園長の方を見ると、似合っていると言うふうに頷かれた。
「なら、これを買ってもいいですか?」
「ありがとうございます!」
学園長は、このワンピースを買うようだった。腕が丸出しなので、腕が太くて男だとバレないか心配だった。
「じゃあ、次は何にしようか」
「ま、まだ買うんですか!?」
これで終わりだと思っていたのに、学園長はまだ買う気らしい。
「他にも、お客様に合う服が沢山ありますので色々持ってきますね!」
嬉々として服を探しに行く店員さんを、僕は止める事ができなかった。
服屋を出た後、僕はぐったりとしていた。あれから何着も着せられ、その度に店員さんに褒められ学園長はその全ての服を買っていた。5着分くらいの大量の服が入った袋を、学園長は今持っている。
「いやぁ、私には息子が一人居るんだけど、実は娘も欲しかったんだよ」
「そうですか・・・」
学園長に息子がいることは有名な話だ。きっと、その息子が学園の後を継ぐのだろう。
「他に行きたいところはあるか?」
「別に無いです」
「なら、今度は靴を見に行こうか」
「まだ買うんですか?でも、荷物が多いので持ち切れないんじゃ・・・」
「それは問題ないよ」
「笹田様、お荷物をこちらに」
「ああ。よろしく頼む」
突然使用人らしきスーツを着た人が現れ、買ったばかりの服を受け取った。
「ほら、行こうか」
「・・・・・・」
ただの買い物に人を使うなんて、庶民の感覚では理解ができなかった。呆けている僕に学園長はもう一度呼びかけて、漸く歩き出す。
店員さんにカーテンを開けられた時、本当に終わったかと思った。あんな出来事があった後なので、女装をして街中を歩く事すら軽く思えてきた。少し前まであれ程恥ずかしくて嫌な事だったはずなのに、少し慣れてきた自分が怖い。似合わない女装をした男子高校生を隣に連れて歩く事が恥ずかしくないのだろうかと学園長を疑問に思うが、もう何も言わずに付いていくことにした。きっと言ってもやめてはもらえないだろうから。
相変わらず周りからの視線を感じる。僕がしたくてしているわけじゃないのに、どうしてこんなに嫌な思いをしなくちゃならないんだと言う思いを込め、恨みがましい目で若い男性の方を見ると、見ていた事がバレた事にどもるように顔を背けられてしまった。
その事に、少しだけ悲しくなりながらまた前を向いて歩いた。
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