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63 商業ギルド

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 商業ギルドの4人は改めて僕の紙を見つめる。

「本当に錬金術師がある。それも未定だけど2つ名持ち」
「それにアタイと同じ『魔物牧場の主』じゃん。初めて見た」
「『異質なテイマー』なんて初めて見たわ」
「さらに『開拓者』と『素材収集家』もちとは。エルネアさんがついてくるはずです」
「オホン!」
「「「「!」」」」

 4人が話しているとエルネアさんが咳ばらいをして注目を集める。

「そろそろケンさんにいろいろ説明してもらっていいでしょうか?」
「ごめん。エルネアちゃん。改めてケンちゃん、私はこの商業ギルドの代表マイラよ。職業は『上級調合師』。商業ギルドはいくつかの部門に分かれていて、様々な職人が作ったアイテムや冒険者が狩って来た魔物の素材を扱ってるの。で、その各部門の部長がアズチ含めたこの3人」
「初めまして。アタイの名はファーラ。商業ギルド農業担当部長で職業はケンと同じ『魔物牧場の主』だ」
「初めまして。私の名はシータ。商業ギルド召喚士・従魔担当部長で、職業は『魔物を親愛する召喚師』」

 各自己紹介したのち僕の職業について話してくれた。

「まず、『錬金術師』という職業はこの街『センター』には一人もいない失われた職業なの。昔は居たんだけど年月が過ぎる事に消えていったわ。で、私は最後の錬金術師を生み出した家系で私も目指してるんだけど転職できないの。だから」

 マイラさんは僕に顔を近づける。その目はおもちゃを見つけたようにキラキラしている。

「あなたには期待してるの。失われた錬金術師の知識を取り戻して。そして私を錬金術師にして。どんな協力もするから」
「えーと、頑張ってみます。質問なんですけど。2つ名って何ですか?」
「2つ名っていうのは、昔一部の錬金術師の職業に付いた熟練者の印なの。有名なのは最高の錬金術師『黄金の錬金術師』ザビア・サンジェルマン様ね。ザビア様は金の錬成に唯一成功した偉大なる錬金術士なの。他にも偉大な錬金術師は居るのよ。例えば」
「マイラさん、その話は今いいのではないですか。まだ話さなければならないことがあるんですから」

 マイラさんが錬金術師の話をしようとした時、アズチさんが口をはさむ。
「!ええ、そうね。もし気になるならこの本を見て、この街を見回っていて」

 マイラさんは【マジックバック】から一冊の本を取り出し僕に渡してきた。本の名前は『歴戦の錬金術師』。

『ジョブクエスト:錬金術の道しるべのフラグを1つ達成しました』

 なんか出た。え?さっきの発生じゃなく、フラグ?何が違うんだ?僕が疑問に思ってるとさらに話は進む。


「次はアタイの番だな。改めてファーラだ。アタイが部長を務める部署は、主に野菜や果物などの食材や家畜とする生き物の取引を受け持ってる。質問だけど何か農業してるか?」
「薬草とかアプリの樹、ジャガイモ、キャベツとか育ててます」
「そうか。あと普通に話していいから。あと従魔契約をせずに、商人から購入せずに友達になった魔物はいる?」
「ミルキーフライかな。コッコ達はどうなるんだろう?一応卵から孵したけど」
「ああ、自分で育てたならコッコも含まれるな。『魔牧場の主』の条件は
 1.自分で野菜を育てる事
 2.魔物と従魔契約せずに友好を結ぶこと
 3.ある程度の強さ
なんだ。ちなみに現在アタイとケンだけどね」
「へえ」
「条件だけど一度知ってしまったら、達成が難しくなるぜ。だって魔物は少しでも邪な考えがあると仲良くなんか慣れないからな」
うーん、だったらこの情報は隠したほうがいいかな。
「詳しい話は今度するぜ。暇なとき受付で呼びな」

『ジョブクエスト:魔物との付き合い方のフラグを1つ達成しました』


「次は私ね。私が担当するのはテイマーやサモナー、調教士などの召喚士に関する取引をしているわ。『テイマー』『サモナー』『調教師』などが一般的な職業なんだけどウルフやイノシシみたいな獣型の従魔を揃えていると『獣好きなテイマー』みたいに変化するんの。私もたくさん召喚士を見てきたけど『異質なテイマー』は初めて見る職業なの。よければ契約した従魔について教えてもらえないかしら」
「シータ、ごめんなさい。ケンさん本当は『開拓者』『素材収集家』関連でバレンタイン邸に行く予定なの。でもザックさんが商業ギルドで登録した方がいいって思ったからこっちに来たのよ」
「そう言えば『開拓者』『素材収集家』も持っていたわね。だったら今度受付に来て。職業や従魔について教えてあげる」

『ジョブクエスト:異質なテイマー?のフラグを1つ達成しました』
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